―――2011年2月12日投稿―――――――2021年2月22日更新――――――

 

のだめカンタービレの中からのクラシック音楽紹介。 今回はいよいよガーシュイン作曲「ラプソディー・イン・ブルー」です。

この曲は、エンドタイトルに使用されているのでご存知ですよね。


本編でも随所に使用されていますが、曲の中間部の叙情的なテーマが使われるため、印象的なシーンが多いように思います。

 

たとえば、第3話で千秋が、「きみは大事なことに気づいてない。 誰一人欠けることなくがんばってください」というシュトレーゼマンの言葉の意味に気づくシーン。

 

「オーケストラにはいろんな人間がいる。 プロオケともなればそれこそ、いろんな国の演奏者がいろんな事情をかかえてやってくる。 マエストロはそれを俺に伝えようとしていたのか。」


第5話でのSオケ和製ビッグバンド+のだめマングースの演奏も楽しいですね。

でも、極めつけはやはり最終話での「大川ハグ」でしょう。

 

いなくなったのだめを追いかけて大川までタクシーを飛ばす千秋、途中で携帯がつながり、留学のことを千秋に話すのだめ、このあたりでガーシュインのロマンチックなメロディが流れてきます。

 

「のだめも、ピアノがんばります。 そうすればいつか、ミルヒーと先輩みたいに同じ舞台でコンチェルトできるかもしれないし。 千秋先輩が指揮で、のだめがピアノで、フィラデルフィア管弦楽団。 その公演が大成功して、先輩とのだめのゴールデンペアには世界中から出演依頼が来るんですよ。 あ、そーだ。 ニューヨークフィルとラプソディー・イン・ブルーもいいですね。 先輩とだったらヴァイオリンソナタも。 他にもいっぱい。 楽しいこと・・きゃ!」


いきなりハグ+告白され、頭がパニックになるのだめ。 ようやく思いついた一言「メリークリスマス」。

見ているほうが照れてしまいそうなシーンですが、名場面だと思います。

 

さらに、曲調が少し変化するタイミングで現れる船。 船上からのだめの父親が「なんばしよっとかー!」と叫び、曲はいきなり「フィガロの結婚」序曲に切り替わり、千秋は白目。 選曲うまいです。

 

アメリカの作曲家であったジョージ・ガーシュインは、ポピュラー音楽、クラシック音楽両面で活躍しました。 ラプソディー・イン・ブルーは彼の作品の中でも、クラッシックの音楽要素とジャズ感覚をうまく組み合わせた傑作として知られています。


曲の冒頭はまず、クラリネット・ソロが低いトリルから音階を駆け上がっていく、特徴的なグリッサンドから旋律が開始されます。 この冒頭からジャズのムードがただよいます。 この旋律は、オーケストラに引き継がれ、その後、ピアノソロがカデンツァ的に活躍する部分となります。

 

中間部は、テンポを落として静かで甘い旋律が奏され、ロマンティックな雰囲気をかもし出します。 終盤で再度テンポアップし、最初のテーマを再現しながら華麗に盛り上がって終わります。

 

この曲は、ヨーロッパのオーケストラ曲とはずいぶん異なるので、やはりアメリカ人指揮者などジャズのフィーリングを持った演奏者が得意としています。

 

↓レナード・バーンスタイン指揮・ピアノ/ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団

ラプソディー・イン・ブルー~ガーシュウィン・アルバム/フィードラー(アーサー)
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アーサー・フィードラー指揮/アール・ワイルド(ピアノ)/ボストン・ポップス管弦楽団。
この曲は、ジャジーなムードを強調するあまり、わざとらしくなったり、逆にクラッシク寄りになって、面白みの無い演奏になることも多いですね。
でも、この演奏は自在なテンポで大胆に演奏しているのですが、全体としては自然で端正な演奏に聞こえます。 ピアノのアール・ワイルドも雰囲気たっぷりです。
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー/アンドレ・プレヴィン
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アンドレ・プレヴィン指揮・ピアノ/ロンドン交響楽団。
さすがにジャズピアニスト出身のプレヴィンらしく、ジャズの香りたっぷりのピアノを聴かせます。 それに対してロンドン交響楽団の響きがシンフォニックで奥行きがあり、スケールの大きな演奏になっています。
ガーシュウィン:パリのアメリカ人/デュトワ(シャルル)
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シャルル・デュトワ指揮/ルイ・ロルティ(ピアノ)/モントリオール交響楽団。
フランス風ガーシュイン。 このコンビで聴くとどうしてもそう思ってしまいますね。 オーケストラの響きは例によって色彩感あふれ、ダイナミックな演奏です。 この曲にジャジーな雰囲気を求めない人には最高の演奏かも。 録音も最上級。