漫⑭「子供の頃の遊び」(個別) | 獏井獏山のブログ

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(漫⑭ ・「ラムネ(ビー玉)」の続き)

 

「ヤンマ獲り(蜻蛉釣り)」

 虫取り網を使ってトンボやヤンマを獲る方法については誰でも知っているので説明の必要性はない。唯一つ、余り知られていないヤンマの獲り方があった。夏、村の周辺には緑一色の青田が広がっていた頃の話だ。その頃、薄緑色の尻尾を持ったヤンマが青田の上を遊泳している状況がよく見られた。1枚の田圃を囲んだ道路や畦道にジッと立って待っていてもヤンマは近付いては来ない。網の届かない田圃の中央辺りを悠然とクルクル大きな輪を描いて遊泳しているだけである。そんな手の届かない所を遊泳するヤンマを虫取り網を使って捕獲する方法が1つだけあるのだ。その方法とは、畦道に立った儘、ヤンマに向って網を左右に激しく振るだけである。糸で編まれた網の動きが、ヤンマの目には虫の集団飛翔と映るのか、ヤンマは此方に向かって突進してくる。そして約1mまで近付いた所で虫の姿は無く人が立っていることに気付いたヤンマは急転換して逃げに入る。将にその一瞬を逃さず捕獲するのである。激しく振り続ける網の動きとヤンマを捕獲するタイミングが成否の分かれ道である。