漫⑬「子供の頃の遊び」(個別) | 獏井獏山のブログ

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(漫⑫ ・「ベッタ(面子)」の続き)

 

「ラムネ(ビー玉」)

 (ベッタとラムネは当時の2大遊びで、この2つが交互に流行ったといっても過言ではない。この2つの間に「独楽」「宝取り」馬乗り」等々が入ることはあるがそれは短期間で、大きく見ると1年を通して「ベッタ」と「ラムネ」が2~3ヶ月単位で交互に流行ったのだ。)

 「ラムネ遊び」にも色々な遊び方はあるが、中心は次のような遊びである。

:「当てっこ」は遊びとしては単純だが、「ラムネ」の基本的な遊びであ

る。1対1か精々3人で、お互い相手のビー玉を自分のビー玉で当てるゲ

ームである。敢えて言えばこれにも作戦と技術がある。初めは約3mの間

隔でビー玉を地面に置き先後を決めて打ち合うが、3mも離れている玉を

いきなり狙う者は居ない。無謀に構わず打ったりすると大概当たらず、外

れた玉は道路と家の間に添って作られてある排水堰で止る。そこは相手の

玉の位地から50センチ以内になるので、簡単に充てられるのだ。なので

お互いは10~20㎝間隔で相手に近付く場所に玉を置く。相手も同じこ

とをする。こうして間隔が2.5mに狭まった辺りが勝負どころである。大概

の子は2.5mで確実に当てる練習を積んでいるが、当たる確率は半々である。

・「ラムネ」には色々な遊びがあるが、子供が12人と集まってきて最初

に始めるのが「当てっこ」と決まっている。そのうに56人になると初め

て別の次の遊びに移るのだ。

:「三角出し」これは地面に1辺30㎝ぐらいの正三角形を描く。例えば

5人でする場合、1人3個のビー玉を出し合う。お互い2mぐらい離れた

場所に立ち、ジャンケンで決めた順に、三角の中に入った15個のビー玉

を狙う。中の玉に当てて三角の外に出した分は貰える。しかし打った玉が

三角の中で止ると、その時点で失格となってゲームは残った者で続けられ

る。故に、これも「当てっこ」同様、一旦自信のある距離の地点まで自玉

を力を抜いて転がすのが作戦の1つで、最適の場所に止めるのが技術であ

る。

:「壁垂れ」例えば3人でする場合、1人5個のビー玉を出し合う。壁(要

するに家の塀)から3m離れた地点に横線を引く。ジャンケンに勝った順

に15個の玉を壁に向って投げる。壁に強く当たり過ぎて1個でも線を越

して手前の領域に入ると失格で次順の子が投げる権利を得る。壁当てに成

功すると、近い玉から順に「当てっこ」の要領で当てる。命中した玉は貰

えるし、外れるまで打ち続けられる。外れた所で次順に代る。1回の壁当

てで15個全部を当てることも少なくない。

:「握り」これは色々の「ラムネ遊び」で疲れた時か、雨で外に出られな

い時にする遊びだが、面白味では最右翼かもしれない。2~4人でするの

が適当である。例えば4人を例にとると、…お互い手の中に握ったビー玉

を後ろ手に隠して好きなだけの個数を片手に握ったまま前に突き出す。決

めた順に4人の合計玉数を推定して当てるゲームである。2番以下の者は

先の者と違う数を云わなければならない。皆が答え終えた所で手を開いて

数を確認する。正解者が全ての玉を貰う。何方かというと、後で応える方

が有利のようだ。その為に1番に当たった者が時に危険覚悟で大きなハッ

タリを利かす事がある。駆け引き計算上は少なく握る方が当てられた時

の被害が少ないので、出来るだけ少なく握るものだ。そこで1番の者は

大概「4個」か「5個」という。しかし当りを外すために数個も握る者も

居る。その為に後攻めが有利になるのだが、1番手が勝負なしに持ち込ん

で次の勝負で最後攻めを得る作戦で、10数個を手一杯に握るのだ。しか

し、…ここで又しかしである。この作戦も何度もやっているうちに見破ら

れて1番手が自分は1個を握って「12個」などと答える状況が生じた。

上には上、下には下だ。そこでもっとズル賢いのは握り手を膨らませて

手の中に握った1個しかない玉を親指と人差し指の間から少し見せて、

如何にも沢山握って隠し切れないように偽装するのである。

・この「握り」は場合によって大勝する事もあるので、雨の日は何時間も

続く、見方によれば「ラムネ」の中で最も身の入る遊びだったように記憶

する。