俳句⑤「俳句手帳から」…夏(1) | 獏井獏山のブログ

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「夏」(1~50句)

・タクシーの 群れて憩える 木下闇 

・田植え歌 我が生まれし土 愛しけれ

・田植え歌 子等唄い居り われ植うる

・待ち雨に 青田たちまち 濡れ光る

・吾子生る 報せを 初夏の 風の中

・吾子生る 日々に緑の 濃くなりぬ

・万緑を 背に 窓越しに 吾子を見る

・緑背に 眠れる吾子を 覗き見る

・深緑に 吸い込まれ来て 禅の寺

・果てしなき 青田の原と なりにけり

・竹林に 太鼓響くや 夏祭

・トンネルを 出て若狭なり 梅雨晴れる

・浜松や 山峡の田も 植え終えし

・田植え終え 山野を埋めし 緑かな

(ひでり)(がわ) 砂塵巻き上げ バス走る

・旱河 死蟹の如く クレーン車

・薫風の 電車走れば 咽るほど

・故郷の 人思わせる 西瓜の実

噴水の 頂き 天に 届かんと

・噴水の 頂きくずれ くずれ落つ

・畦に 子を 置いて草刈る 女あり

・薫風や 堤に人と 耕運機

・炎天の 寺の屋根なる 拡声器

・降りしきる 雨 噴水は 水噴かず

・脈々と 湧くもののあり 土用波

・何か我が 胸を打つなり 土用波

・遠き日の 友の訃報や 走馬燈

・先ずは斯く 蚊やりを焚いて 床に入る

・四五百の 蚊の群なせる 彼我の宙

・島の子の 泳ぎは 潜ることばかり

・河童らは 岩の間に間に 潜り居り

・泳ぐ子等 川の流れに 身を任せ 

・幼き子 手足もがきて 泳ぎ居り

・微風だに 夕闇暮れて 止みにけり

・踊る手の しな競わせる 母娘かな

・風鈴や 蕎麦湯すすれる 老舗庭

・風薫る 車窓に展け 近江の湖

・炎天や 成田参道 坂長し

・風涼し 三味の音 二階 座敷より

・濠の影 瓜切草の 五色咲き

・土産屋の 裏に川あり 菖蒲咲く

・怒声また 昂ぶり極め 競べ馬

・馬を曳く 細き目の奥 輝かせ

・(細き目を 光らせ 馬丁 馬を曳く)

・負け馬の 面ひた垂れ 曳かれ去る

・照り返る 真昼の舗道 毛虫這う

・舗道這いし 毛虫土塀を 攀じ始じむ

・鯉幟 高架電車の 窓に触れ

・矢車に 強き風 鯉 下ろされる

・咲き誇る 躑躅の左右 人往来(いきき)

・駅前の 花壇の所在 花つつじ