俳句③「俳句手帳から」…春(2) | 獏井獏山のブログ

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  「春」(51100句)

・清書する 窓に春風 誘いて

・雪解せし 道に降るなり 春の雪

・春雪や 残る根雪の その上に

・石垣を 鹿の子斑に 春の雪

・濠の水 温む万朶の ネオン映え

・春寒や 小股急ぎの 右左

・春の霧 流れ止まざる 山なびく

・子を連れて 帰る野道や 鳥雲に

・陽の庭に 姪のブランコ 尽きもなや

・高殿に 憩う終日 山笑う

・逃げ水に 遊べる子等の 浮き沈み

・春闘の 闘士 汽車待つ 黙しつつ



(福井に遊ぶ

・踏青や 二山ひかえし 永平寺

・北陸の 田の広ごりや 春の雪

・大野市へ 雪の深みへ 汽車走る

・土地人の 自転車巧し 春吹雪

・蓬々と して 山野舞う 春の雪

・雪虫と 違う 照る野の 春の雪

・山肌の なべて園びぬ 春の雪

・気比の春 朱の鳥居に 我が触れり

・鳥居の朱 陰る春昼 盛る時

・風光る 花嫁 鳥居 くぐる時

・参道に 女の子の闊歩 風光る

・気比の宮 灯篭古りし 春の灯

・寄進者の 名札欠く間や 風光る

・長命の 春水賜い 気比を辞す

・御浄水 取るに注連吹く 春の風

・浜に添う 気比の松原 春寒し

・庭の 記念の一樹 いま芽吹き

・干潟寄り カモメの群舞 彼岸西風(にし)

・多潟なる 敦賀湾見つ 春惜しむ

・谷急に 残雪 流れ形せる

・片駅は 露天 三方の 湖霞む

・箱庭の 如き山並み 春あした

・四方の山 霞む 青戸の 入江かな

・山霞む 青戸の入江 松まばら 

・高浜や 春田に鳶の 降り立ちす

・高浜や 春山曇り 鳶あまた

・高浜や 鳶舞う空ゆ 春の雨

・高々と 鳶舞う 木々の 芽に触れず

・松原を 遥かに春の 凪ぎをゆく

・貝寄風の もっとも強く 蘇洞門吹く

・岩山の 随所に小滝 蘇洞門萌ゆ

・寺の春 せせらぎの音も 深山ぶり

・湿りある 春風来たり 明通寺

・深山なる 仏にまみゆ 春心

・山のどか 剝げし明王 寺を守る

・堂内の 御仏暗し 春曇り

・彼岸西風 訪ねし末寺 人を見ず

・彼岸西風 夙に立ち去る 田舎寺