俳句②「俳句手帳から」…春(1) | 獏井獏山のブログ

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「春」(150句)

・近付けば 数を増したる 春の山

・花曇り 昼も灯ともす ビルの中

・掘り返す 地の腸や 春の泥

・地下鉄の 完成近し 春の泥

・ふるさとは 坂多くして 春の水

・わが庵は 坂急にして 春の水

・大いなる 山に驚く 蛙かな

・陽炎の 織りなす綾に 蝶飛べり

・春風の 中に李白の 詩を吟ず

・名所無き 河内野の春 萌出ずる

・工場の 居並ぶ上の 空を蝶

・梅園の 蕾の可憐 人少な

・春立つや 向き変えて雲 流れけり

・公園に 恋人たちの 朧かな

・梅園や 娘ら集う 茶筵に

・笹子なく 書斎の小窓 開けるさに

・麦踏みの 危うく避けし 雲雀の巣

・窓の陽に 春を感じる 書斎かな

・春殖や そぞろ歩きの 中之島

・春泥に 真白きブーツ 汚される

・浅春の 大楠 雨に 煙るなり

・芋植うや 金剛の村 灯り初む

・ものの芽の 家を取り巻く 垣根かな

・初蝶の それと舞い來し 草の宿

・釣り人の 集う野池や 水温む

・草の葉に 降りて融けたり 春の雪

・手に頬に 淡きもの降る 春の雨

・柔かと 見るや鋭き 木の芽かな

・金剛の 頂に降る 春の雪

・岩山の 岩貫く一樹 芽吹きをり

・音立てて 春泥を打つ 雨に遭う

・浅春の けぶるが如き 豪雨なり

・春めくや そぞろ人出の 河内の野

・渡り來し 花の釣り橋 揺れ止まず

・公園の 緑ひそかな 囁きよ

・春めきて 釣り人多き 野池かな

(福井に赴任して)

・北陸へ 赴任の朝の 初桜

・転勤の 我が心惹く 桜花かな

・左右より 波寄る 春の雄島橋

・春潮の さすがに荒き 東尋坊

・飛び込みし 海女に春潮 高かりし

・春潮の 波間に海女の 見え隠れ

・水鏡 緑の城址 さかしまに

・木の枝に 上着干しつつ 春惜しむ

・田を耕す 北陸の春 急なりし

・明日こそは 心ゆくまで 朝寝せむ

・麗らかや 池を囲める 釣天狗

・新道の 舗装果てなく 陽炎えり

・地に居ても 天に声する 雲雀かな

・朝霞 流れ止まざる 山なびく