詩⑨「ロボット・2」
朝の早よから電車にすし詰められ
揉まれ そのうえ足まで踏まれ やがて又
墓場の片隅にポイとばかりに振り落とされて
権威ある技師のスイッチに操られ
1日中 手足の休めるヒマもなく
甘いお酒の香りも知らず
頭を縦に振ったり横に振ったりしたものか
肩が凝り くったくたに働き疲れたロボットが
ほら カヒン!カヒン!と咳をした
詩⑩「終電車」
世時のいとなみに疲れたる我が激情の
時として燃え上がらんとするをも忘れ果たせしに
車窓に顔を寄すれば 人家の屋根は闇に沈みゆきたり
空黒く 天暗し
走る終電車の劈(つんざ)き風をも伴わず
飛び去りゆく人家 底に沈みゆく様よ
其処にのみ居場所を求めんとする我が心…ああ如何にせんや
我が心 人家と共に暗き夜のしじまに沈みゆくを 如何にせんや
かかる吾を救わんと 一条の光与えて ライト輝けるプラットホームに
今宵 最終の電車はすべり込みたり
詩⑪「元日の光」
真天一下 飛行船よ 僕の頭上に落ちて来い
元日の朝 僕は一人で日向ぼっこをしていた…
雲なき空のその奥の彼方に ちぎれ雲も見えない
思わず合掌せずにいられようか 敗れ果て腐り切らんとする我が心
「今朝は癒えたのか?」と問うたところで何の返事もない
けれど僕は いい時に いいケジメを見付けたものだ
元日の日の光は燦々と 耳に喧しいぐらいに僕に向って光線を与えるのだ
…飛行船よ もう一度飛び立つのだ
僕の心を乗せて 太陽に行きつくために