おおかみたちは はりねずみを みつけて  こっそりと しのびよった |   心のサプリ (絵のある生活) 

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画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
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しずかな おはなし

 この「しずかな おはなし 」の作者、サムイル・マルシャークは、すごい人ですね。

 哲学者にして、詩人。   

 ウィリアム・ブレイクなどの詩をロシアに紹介した人。

 細かなことは知らないが、ユダア人の子供達とのふれあいがきっかけで、児童文学、児童のための詩などを発表するようになったとあります。

 「森は生きている」などの物語りも、彼らしいストーリーですが、やはりさまざまなる世界に伝わる伝説のシードから流れをくんでいるよう。

 わがままな 女王。

 欲張りな  継母と、その娘。

 やさしい心を持つ みなし子。   

 世界に伝わる童話、言い伝え、伝説、神話、などなど、よく似た話があるものです。

 そして、その欲張りな継母と娘の指示により、我がままな女王が言った「真冬に4月に咲く花のマツユキ草をとってきたものには褒美をやろう」ということで、みなし子の女の子が厳しい真冬に森の中にいかされるわけですね。

 ところが、ここもやはり種=シードがあって、凍え死ぬ寸前に彼女は明るい火を見いだす。

 それは、12月の妖精?たちが、たき火をしていたのですね。

 そして、ある美しい童話のパターンが・・・

 なぜかみなし子がやさしい子だ、ということをちゃんと知っているのですね。

 きちんと自分のしていることを見守ってもらえるという嬉しいという心理がきちんと書かれています。

 それで、一時間だけ春の時間をくれるという話で、マツユキ草を無事とっていくことができたみなし子は、ほめられ、その継母と強欲な娘がまた森のなかにはいっていく・・・

 はなさかじいさん?   笑い。強欲なものは必ずその報復を受ける・・・

 その作家のサムイル・マルシャークさんが書いた絵本を今読んでいました。

 「しずかな おはなし」

 物語りとしては、ほとんど、展開はありません。

でも、以前紹介した、トルストイの「三ひきのくま」の挿絵を書いた、ウラジミル・レーベデフの絵が

 読むもののこころをホッとさせてくれますね。

 マンガっぽい絵でもなく、かといって、細密画でもなく、生きた動物そのものの息づかいが感じられるやさしい線です。

 訳が、うちだりさこさんで、三ひきのクマでも、訳者となっておりますね。

 ただ、ここでも、ハリネズミのおかあさんとおとうさんと、こどものハリネズミが森の中を歩いていて、こわいおおかみに出会う。  

 おおかみも生きるのに必死なので、ばったり出会って、なんとか食らおうと思ってハリネズミの頭や手足をさがすのですが、

 あたまを おかくし   まるくおなり!!

この文体がいいですねえ。

 普通だったら、「ぼうやあたまをしっかりかくしてまんまるくなりなさい」、などと書くでしょう。

 この、おかくし、とか、まるくおなり、とかいう言葉の選び方にうちださんのセンスの良さを感じます。

 もりの  とりや  けものたちは

 ぐっすり ねむっていたけれど

 しずかな よるの くらやみに

 めを さましている にひきの  おおかみ

 おおかみたちは はりねずみを みつけて

 こっそりと しのびよった

 とうさんと かあさんは きがついて

 からだの はりを さかだてた

 幼児虐待のニュースがまったく珍しくない昨今、なにやら、人間が動物から学ぶことが多いという事はよく考え見ると、皮肉でもあり、不思議なことですね。

 自然は偉大です。

実は、この題名、「しずかな おはなし 」

親が子を森の中で生き抜く知恵をしずかにこどもにはなしているようには思えませんか?

大声をはりあげたり、なぐったりするのではなくて、

ただ しずかに 生きる知恵を はなしていく・・・・・

自然の中に生きぬく知恵とはそんなしずかで平凡だけれども偉大なものなのかもしれません。

この絵本のさいごにこう書いてあります。

そっと

そっと

そっと

 

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