弱いものこそ、花をさかせよ |   心のサプリ (絵のある生活) 

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画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
至高体験の刻を大切に
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 ベストセラーは、読まない。ひねくれた主義なのだが、気に入った文体の作家を見つけては、古き時代の作品を芋づる式に読む。

谷崎潤一郎、三島由起夫、永井荷風、正宗白鳥、瀬戸内晴美、開高健、吉行淳之介、立原正秋、小林秀雄、花田清輝、鈴木大拙、源氏物語、ポー、深沢七郎、太宰治、などは、ずーと、すこしずつ、好きなチーズの塊をワインにあわせて切り取り食べるようにして、読んでいるのだが、そのなかで、村上春樹は、まさに、フランスパンのようにたまに読みたくなる。
 「海辺のカフカ」でも、15歳の少年は、よく古典を読んでいる。これだけ古典を読む15歳はいないだろうから、この少年は最近の村上春樹のことを書いていると思えば良い。
 フィットネスや、森の小屋、図書館、皆彼の最近の体験だろう。
 好きなシーンは森の中で空から降ってくる雨の中でのからだを洗うシーンが好きだ。
 ちなみに、これだけ小説の好きなヒロインが出てくる小説は珍しいのはないか。シェークスピア、日本の古典、アラビアンナイト、夏目漱石全集を読む少年なんてほぼ、いないだろうね。
 三島由起夫ははっきり「私の作品には本好きなヒロインやヒーローは出てこない」と断言しているくらいだから、村上春樹の主義がはっきりしてくる。

 ただ、個人的には三島の肉体主義は過激すぎる。彼の精神主義への嫌悪は、少し、コンプレックスを感じる。村上春樹のフラジャイルなものへの偏愛の方が、今はとけ込めるし、これからは、このような感覚は大切だと自分では思っている。


     花でも草でも樹々でも見てみると
     根っこに固くて強くてふんばっているものがあり
     てっぺんで花咲くもの、人をほほえみさせるものは、
     フラジャイルで
     軽く、繊細で、すぐに風でもふきとんでしまうような
     小さなものだ

     死は固くて、こわごわとしていて、つっぱっている
     だからそのような性格の人は死の友達だ  
     樹々の根っこにこそふさわしい人達だ
     もちろんそんな人たちもいなくてはこの世界は 
     なりたたないのだが
     皆なるべくならばそんな人種にはなりたくないと
     思いつつある世界に変化しようとしているの
     ではないだろうか
  
     命は繊細ですぐに泣きフラジャイルでみずみずしい

     人は生まれた時はやわらかくふれるだけでも
     敏感な水のようなソフトさがある
     死ぬ時は人はかたくなりこわばって氷のように
     冷たくなる

     花でも草でも樹々でも見てみると
     根っこに固くて強くてふんばっているものがあり
     てっぺんで花咲くもの、人をほほえみさせるものは、
     フラジャイルで
     軽く、繊細で、すぐに風でもふきとんでしまうような
     小さなものだ

     そのような美しいもの命を感じさせるものこそ
     魂の上位にあってもらいたい

           老子から   huruhon