【映画酷評】ドラクエユアストーリーのオチとメッセージにキェー―――ッ!!!【029】 | 天風呂(アメブロ)

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ミュウツーの逆襲エボリューションを1人で観に行った時
親子連れとか多くて
「あぁ僕もあのぐらいの子供居ても
 おかしくない歳になったんだな」と しみじみ思いました。
りょうさまです。

 



ドラゴンクエスト ユア・ストーリー の
ラスト15分について語ります。
ネタバレします。

詳細については色んな方が説明してるので
視聴者さんはそれを把握している、という前提で語る。




ドラクエVに関しては僕はDS版を2周やった程度で
「大好きなドラクエを台無しにされた」とかそういう怒り方はしないです。

ドラクエのメインのシリーズは
システムもストーリーも面白いんだけど
ドラクエを題材にした二次コンテンツに関しては基本 期待してない。

ドラクエっていうブランドが売りなんであって、
それらからドラクエ要素を抜いても面白いのかっていうと
大半はそこまで面白く無いと思う。

3年前にゲームセンターで稼働したスキャンバトラーズも
バトルロードの再来だと思って期待してやったら ガッカリしたし。

だから映画に関してもそんなに期待はしてなかった。





ラストのメッセージと、
作り手の、上手い事言ってやったみたいな
勘違いが透けて見えたのがムカついた。



ラストのオチが、
これまで冒険してきたこの世界は実はVRゲームの世界で
主人公はゲームを遊ぶ普通の人だったんだ、ってことが発覚して。
現実世界の視点を持った人物が
このゲームの世界に介入してきて世界を壊して説教してくる。
「大人になれ」と。

この脚本家はこのアイデアを

きっと秀逸な発想だとでも思ったんだろうな。



こんなアイデアを面白い、奇抜な発想だと思うような奴が
ファンタジー世界にチートキャラクターを放り込んだ話が
面白いとでも思って作るんだろうな。


僕はそういう
「主人公、自分が一番強くて、世界の皆が認めてくれる」
みたいな感じの作品を
「ジブセカ系作品」って呼んでるんだけどね。


「賢者の孫」っていう ジブセカ系作品があったんだけど。


現実世界の感性を持った主人公がファンタジー世界に放り込まれて
その世界の魔法使いの見習いみたいな人達の
呪文の詠唱や必殺技を叫ぶ場面に立ち会わせて
「恥ずかしい」「中二病発表会かよ」なんて感想を言うんだけど


これに似たイヤ~な感じを覚えた。


ファンタジー系の世界の構造を

俯瞰的(メタ)な視点から把握してる立場が
わざわざその世界の中に入って

その視点を持ち出して冷笑するみたいな。


仮に、その世界を「作品」として完結させて俯瞰的に見て
現実世界の人間が、「この世界しょうもないな」といった
感想を言うのはしょうがない。


ただ、その世界に入っていって
その世界の住人にそれを言いに行くのは違うでしょと。。。

まぁ…そういう表現するにも微妙な所で
賢者の孫の場合はあくまで主人公は
心の中でそう思っただけ。

ユアストーリーの場合は 主人公は
ファンタジー世界の住人というよりは
むしろ現実世界の住人寄り。


おもちゃ箱の中に籠って遊んでたら
箱の中に勝手に入って来られて
「こんな遊びばっかしてんじゃない」と説教される感じ。


何でそんな風に言われなきゃいけないの?って話だよ。




一応、この作品の中では
「ゲームは意味が無い」なんて言ってくる奴は「敵」側で、
それを否定するのが「主人公」側っていう構造にはしてあるけど。

僕はこの話を作った人の価値観は
むしろ敵寄りなんじゃないの、って疑ってる。


だって僕みたいな ゲームを好きでやってる人間にとって
この敵の主張ってナンセンスなんだよ。
「これ全部作り物」って分かってやってるから。

終われば無になる娯楽に意味があるかとか…
じゃあ現実の人生における努力や成長だって
終われば無になるのは同じだよなとか…

何もかもが全て意味が無いという前提で
何かしらに意味を見出そうとしてる。
ある程度の回答に行き着いてる。既に。

その回答を、こんな遅れた価値観の奴に
説明してやるために言語化するプロセスが最早面倒くせぇんだよ。

それを今さら「作り物は意味が無い」みたいな
こっちはとっくに通り過ぎた問題を今更持ち出してきてさぁ…。



1:敵「ゲームは無意味だ」
 ↓
2:主「そんなことは無い!」
 ↓
主人公の勝利

って流れで
ドラクエをやる人間を最終的に肯定している、
って形にはなってるけど。

1が出た時点で 作り手に対して
「え、そんな風に思ってんの?」って思っちゃうんだよね。

だってそもそも敵の言い分も主人公の言い分も
両方 作り手一人によって生み出したやり取りだから。





この映画のキャッチコピーが
「君を、生きろ。」なんだけど。

キャッチコピーに二人称を含めて
読み手、観客に語り掛けてくるのはよくある。
ドラえもん映画もそういうのが多いし。

この映画の場合、観た後だとその意味が全く変わる。
「君を、生きろ。」って。

うるせぇよ!

 

娯楽含めての

人生なんだよ!





この主人公が働きもせずにずっと
ゲームばっかりやってる引きこもりなら
ゲーム世界に入って来られてまで説教されるのも分かる。

けどコイツ一応働いてるよね。
自由時間にゲームに夢中になってる時まで否定される必要無いよな。






このラスボスは
真理を突いたことを言っている立場だと
自分で思ってるようなキャラクターって感じだったけど。
デスゲームの主催者とかによくいるタイプ。




僕の価値観なんですけど。
人間の言動は大きく分けて
「まじめ」と「はしゃぎ」の2パターンがあると思う。

「はしゃぎ」のターンで重要なのは
周りに迷惑をかけないとか
同調できない人には無理強いしないことだと思う。
それさえ守れてれば はしゃいでもいい。



過去の動画で説明したけど【015】

自分が「まじめ」、つまり物事を静観する視点で
他人の「はしゃぎ」つまり遊んでる所を見て
人格なりを批判するのって
何だかすごくズルいことだな…って見方もあるなと思う。






例えば、小学生の夏休みに
遊びの合宿が行われるってことになって
みんな何かしらの遊び道具を持ち寄ることになってて
1人だけ勉強道具を持ってきて勉強し出して
周りの遊んでる子に
「お前らもっと将来のこととか考えた方がいいんじゃないの」
って説教するような。

その子にも「はしゃぎ」モードの時が無いわけではない。
ただ「はしゃぎ」モードの子が居る中に
自分だけ「まじめ」モードで介入すれば周りより上に立った気になれる、
って思ってるだけ。

本当に嫌なら来なきゃいい。


このラスボスって悟ってる奴でも何でもない。
「価値観が遅れてて、
 厄介なことに力を持ってる、
 かまってちゃん」だなと思った。

単純に性格が悪い奴。友達居なそう。
(僕も居ないけど。)




僕が劇場では前の方で見てたんだけど。
終わって振り返ったら20代か30代の男の人が多かったけど
みんな目が死んでた。

親子連れの子とか居たんだけど 小学生ぐらいの子が
「普通に終わった方が良かった」とか言ってた。





「マジ」だとか「クエスト」なんて単語が出てくるのにも違和感あった。
「マジ」とか現代の日本人の言葉を

ファンタジー世界の住人が使う辺りとか。

 

「クエスト」って言葉もドラゴンクエストの世界では

実はあんまり出て来ない。
ドラクエの主人公って
ハンターズギルドで依頼を受注して…て感じじゃなく
直接人からお願い事をされたり
自分で情報集めて目的を見つけるタイプだから。
その目的を「クエスト」って呼ぶのが変なんですよね。
色んなゲームをやってるゲーマーが言い慣れた言葉だから

そう呼んだ感じ。

ラストのオチで実はゲームプレイヤーでした、ってなって
あぁ、だからかとは思ったけど。



あとなんか
「自分の本当の心が」どうとか言い出すあたりがピクサー映画っぽさを感じた。
ピクサー映画は 現実の問題や 人生の向き合い方を
メッセージ性として込める際 もっと上手くやるけどね。




ーー

一応貶した以上
フォローすべきところはフォローするのが
僕のスタンスだから言うけど。


まぁたしかに、「ゲームはくだらない、意味が無い」みたいな
こういう風に言ってくる奴は居たよ、実際。
僕の父親がまさにそうだったんだけどね。
僕と僕の弟のゲーム、漫画、アニメの趣味をバカにしてくる。



僕はそのせいもあって、

自分の趣味にあんまり胸を張れる方では無かった。

そして19歳の時に専門学校に通い出して。
そこでは同世代の子も 果ては先生方も
普通にゲームやアニメや特撮モノの趣味を大っぴらに語ってて
それを恥ずかしいって思うような様子が全く見えなくて。
(ゲーム・アニメの専門学校だから当然ではあるが)

僕の趣味が子供っぽいんじゃなくて、
父親の価値観が遅れてたんだな、って気づいた。



父親も本当はそういう趣味が無かったわけではないようで
「子供の頃、ゴジラの映画が見たかったけど
 同級生にバレると恥ずかしいから
 自転車で隣町の映画館にまで観に行った。」
とか言ってたことがある。


あぁ、父親はそういう方向に進んじゃったんだな。と。
自分の趣味を秘めるような。


そんな子供時代の僕や父親のような、
「自分の趣味に自信が持てない」段階の人間に向けてなら
良いメッセージだったかもしれないね。

まぁでもユアストーリーの主人公みたいな
スーファミで育ったような年頃の大人、
且つ ゲームってものが世間的に認められてきた今のこの時代に
そのメッセージは完全にタイミングを逃してるっていうか
10年遅かったなって思う。




今となっちゃ
ゲームが公式スポーツになったり、
テレビが、殺人犯の動機をゲームに結びつけようとしようものなら
その番組かテレビ局の方が非難を浴びたり。

「ゲームは意味が無い」「所詮子供のおもちゃ」って価値観が
少数派か、古い価値観になってきてる。

あんなこと言ってた父親も今や70超えてて
どうせこれから弱って死にゆく世代だし。
戦う必要すらも無いんだよ。


その価値観を脅威みたいに描いてさぁ…。
まぁ、いざその価値観をしてる奴が力を持って脅威となった時
こちらゲーマーは、それに対してどんな答えを出すか、っていう風に
考えるきっかけにはなったかもしれないね。



あとは、良かったと思う所としては
ヒロインが可愛い。
プロポーズのシーンの感情の描写だとか。

戦闘シーンも良かった。
ゲーム版ではコマンド入力して交代で攻撃し合う感じだけど
映像だと臨場感があったし。
実際はこんな風に戦ってるのかなーとか。

これらはゲームじゃ出来ない、映画ならではの演出だったなと。

スライムの半透明な感じとかキラーパンサーの毛並みとか。
天空のつるぎって可動式だったんだ、とか。

でも映像部分の良さって脚本と全く関係無いよな…って。

あとゴールドオーブのくだりは端折っちゃ駄目だろって思った。




主人公の現実世界の回想シーンとかは良かった。
クリスマスにドラクエVを買ってもらって
カセットにフーって息を吹いて
楽しそうに遊ぶシーン。
これだけでショートムービーを作ったら絶賛されてたと思う。



なんかこの監督は本当はゲームに興味無かったんだけど
あんまり頼まれるから仕方なく作ったみたいな感じらしくて。
なんかそれで色々と納得した。
だからかー…って。

まぁ…映画を見た後、
色んな意味でドラクエVをまたやってみたくはなった。









そもそもこの敵の言う「大人」とはどういうことか?



少なくとも
「ゲームやアニメや漫画や特撮を卒業すれば=立派な大人」
ではないよ。


漫画アニメなどの娯楽に興味を無くしたぐらいで、
逆に酒や煙草に手を出すようになったぐらいで、
そういう抽象的な何かを取り入れるか 手を引くかしたぐらいで
大人になれるって考え方をする方がよっぽど甘いよ。


ゲーム漫画を散々バカに父親が
立派な大人かというと全くそんなこと無いし。




4年前に小池和夫って人が
「こんな趣味で居たら大人とは言えないんだ」
みたいなことをツイートして顰蹙を買った。
大激怒してた人も居る。

でも僕は結構、頷ける所もあるなと思った。
まぁ確かにジャンクフードやアプリに

夢中になってばっかじゃアカンよなと。
でも、美味いし楽しいからやっちゃうんだけどね。


ユアストーリーの敵の場合は
「自分と趣味の異なる特定の相手を一方的に批判する」形

だから嫌いなんだけど
小池和夫さんの場合は

はんば自戒のつもりで言ってるようにも見えた。
自分自身も含めて「こんなんばっかりじゃダメだよな」って

言ってるような。

むしろこういう意見にキレて食って掛かる事の方が
大人になれていないってことじゃないかと思う。





先程「この主人公は仕事も趣味もちゃんと両立させてるのに」って

話をしたけど。

まぁこの主人公独身っぽい感じはするし
「ゲームの世界で結婚しても現実世界のお前は…」
っていう説教として受け取ると
まぁ耳が痛い所はある…。

自分もドラクエVの世代交代の物語に感動して

大人になったにも関わらず
現実世界での 嫁探しと結婚と世継ぎを残す所は

結構諦めてる所もあるし。

好きな人間と結婚して 子供とポケモン映画観に行くのが夢だったけど
夢で終わるだろうなって思ってるし。
こういう解釈だと確かに突き刺さってくる。
確かに大人としてアレかもな。



結局こういう風に何だかんだ考えさせられてしまってる時点で
この監督の思惑通りになってしまってるのかもね。







最後に、「批判」ってものに対しての僕の見解。

「この映画はクソだ」って言うのはしゃあないと思う。
だってそれは感想だから。
高評価するのも低評価するのも見た人間の自由。



その次、
「この映画は観に行くべきじゃない」っていう意見。
そういう意見は違うだろ、って声もあったんだけど。
僕はセーフだと思う。
それだってただの感想だし。低評価を表す比喩に過ぎない。
強制力は無いから、そういう意見を聞いた人も
観たければ観に行けばいいし、観たくないと思ったら止めればいい。

僕は「観に行くべきじゃない」とは言わないけど。





最後に、
「この映画を面白いなんて言う奴はおかしい、どうかしてる」

っていう意見。
これはちょっと違うんじゃないかな、と思う。
人によって感想は違って当然なんだから
自分と評価が合わないからその人を悪く言うってのは良くない。

逆も然り。
「自分は面白いと思った。酷評する奴がゴミ!」
っていう風に言うのも良くない。

批判の内容にもよるけどね。