上から ↓


ハンガリー債券市場は上記低迷した経済指標よりもスロバキア・コルナ切り上げニュースが

大きく影響。投機的色合いを持つ資金もなだれ込み、ハンガリー・フォリント上昇と共に

債券市場は買い一色。

午後落ち着いたものの利益確定売りの少ない中、イールド・カーブ全体に急上昇し、

2  10年債利回りは約 20 bp 低下の大幅高で終わっている。

 

  

  ル/対  

117.60

- 0.10

02年国債

7.38 %

-20.0 bp

フォリント/対  

0.636

+ 0.01

10年国債

6.66 %

-19.0 bp

フォリント/対米ドル

HUF 184.95

+ 2.250

原油価格

$ 56.59

$ - 0.52

フォリント/対ユーロ

HUF 245.95

+ 3.300

 価格

$ 654.30

$ + 0.40





先月任期満了で退任となったスザッパリー・ハンガリー国立銀行副総裁および政策決定

理事の後任としてカルバリツ氏 (Ferenc Karvalits) が時期副総裁の一人 (副総裁は 3)

としてジュルチャーニ首相およびシモール・ハンガリー中銀総裁によって承認された。 

カルバリツ新副総裁は、現在 ハンガリー、FHB抵当銀行 (FHB Land Credit & Mortgage

Bank) の総裁で、まだ 42歳。 同氏の経歴は過去の通り。

2004 -   FHB Land Credit & Mortgage Bank 総裁

2004 - 2005年  ハンガリー内閣 経済アドバイザリー委員会 アドバイザー  

2002 - 2005 Central European International Bank 副会長

1996 - 2002年  ハンガリー国立銀行 各部署を歴任。 

その後スラニー前総裁の下、理事を経験。

 と、金融市場での経験も豊富だ。 またハンガリー金融関係者のコメントによると、政府との

パイプも太く、現政権に近いハト派的志向を持っていると述べている。 3 3日に新総裁と

なったシモール氏も中立穏健派と見られ、今後の同中銀による金融政策運営は やや政府寄りに

なるかもしれない。

なおハンガリー国立銀行 13名の理事のうち、アダメクツ副総裁とアゥス副総裁の 2名が

今年 7月に任期満了による退任を迎えることになる。 両氏共にタカ派で知られた副総裁である。


                                  - to be continued -



上から  ↓



昨日のハンガリー債券市場は欧州中銀による利上げ ( + 25 bp 3.75 % ) があり、かつ

追加利上げの可能性も残したため東欧諸国の金融市場の動向を心配する向きもあったが、

以外に冷静な動きに終始。 

ハンガリー国内では 1月の鉱工業生産が発表されたが、

 

    

前月比

前年比

前月比

前年比

1

鉱工業生産指数

- 0.4 %

+ 10.5 %

12

+ 2.2 %

+ 14.0 %

市場予測を下回る数値となり、6ヶ月ぶりの前月比マイナス。 ハンガリー中央統計局によると、

国内需要の落ち込みを輸出が補ったものの、賄いきれなかったと述べている。 ただ依然として

輸出の伸びに著しいものがあり、昨年 9月以来 年率ベースでは 5ヶ月連続 2桁の伸びと

なっている。

ECBの利上げ効果がハンガリーの輸出に影響を与えるのは、当分先のことかもしれない。

さらに政府経済調査局 ( Ecostat ) 公表のレポートによると、「 欧州で最も高いハンガリーの

金利は、今年 7月から低下傾向に入るであろう。 ハンガリー中銀は 昨年 10 8.0 %

引き上げられ、9ヶ月連続据え置いた政策金利を、今年 6 もしくは 7月に利下げに

転じるであろう  と述べ、「 財政赤字削減を柱とする増税と燃料費の上昇で、同国 1月の

CPI + 7.8 % へと上昇。  さらに 34月に + 9.0 % とピークを迎え、6月には + 7.2 %

へと沈下する 」とし、今年年央からハンガリーの金利は下落トレンドに入ると予測している。

                                     - to be continued -




上から  ↓


ハンガリー国債は上記予想外に低調であった 1 鉱工業生産指数と政府調査局の金利


予測を取り込み、ECBの利上げ措置であく抜け。 2年国債は 7.0 bp 10年債は 4 bp もの

金利低下となり、フォリントも対ユーロでは強含みで引けを向かえた。

  ル/対  

117.20

+ 1.45

02年国債

7.63 %

- 7.0 bp

フォリント/対  

0.614

+ 0.008

10年国債

6.87 %

- 4.0 bp

フォリント/対米ドル

HUF 190.80

- 0.085

原油価格

$ 61.64

$ - 0.18

フォリント/対ユーロ

HUF 250.70

+ 1.900

 価格

$ 655.50

$ + 2.60




先週金曜日 ( 3 2 )、は現在対ユーロで 30 パーセントの取引バンドが設定されて

いるハンガリーフォリントに対し、レンジ制限をかけないフリー・フロートになるのではとの

噂が流れ、フォリントは + 0.7 % 上昇した。 今週に入ってもこの観測が持続され、

フォリントは底堅い動きを継続。 しかしながら昨日は政府から これを否定するコメントが

発表された。

21世紀に入ってから、ハンガリー・フォリントは下記の通り数々の波乱含みの推移を経験

している。

* 2001 1001

1995 3月から 6年間維持されていたクローリング・ペッグ制度 (米ドル 30 %

ECU 70 % のバスケットに対し、月間 1.9 % ずつフォリント切り下げを実施 )

廃止し、対ユーロでパリティーからの有効バンドを + / - 2.25とした後、新たに

パリティーを 276.1 で設定。 また新有効バンドを + / - 15 %へと広げた。 

(事実上 変動相場制の導入)

* 2003 1

10 %以上のフォリント高が続き、フォリントはバンド上限を推移。政府・中銀は 総額

52億ユーロの買い / フォリント売り介入で為替市場を操作し、同時に政策金利を

8.5 % から 6.5 % へと引き下げ実施。

* 2003 56

  ハンガリー当局は今度は逆に総額 38億ユーロの売り / フォリント買戻しを実施し、

投機資金を沈静化。 6 4日に為替介入を終了した。 当時フォリントは 対ユーロで

256と、4.0 % 下落。 1月の介入レベルを割り込んだ。

* 2003 6 4

   ハンガリー当局は 2.2パーセントのフォリント切り下げを実施。 そのパリティーを

対ユーロで276.10 から 282.36 とし、+ / - 30 % の有効バンドを設定。 

追加措置として基準金利を 2回、合計 300 bp 引き上げ、9.50 % とした。 

結果フォリントは 対ユーロで270 を割り込んで強まった。

* 2003 11 12

   財政赤字拡大とヘッジ・ファンドのフォリント売りが重なり、政府・中銀はフォリント防衛に

錯綜。 国内金利が急上昇する中、公定金利はさらに 300 bp 引き上げられ、 12.50 %

にまで達した。 当時 対ユーロで 270以下で推移していたフォリントは、 265へと上昇。

* 2006 6

 財政赤字拡大。 ジュルチャーニ首相の機密録音テープが暴露され、大規模市民デモが

拡大。 フォリントは初めて中心バンド 282.36 を割り込み 285.15 (2006 6 29)

まで急落。  その後緊急財政改革法案が制定され、大幅増税などが実施されたことにより、

昨日は 252と安定推移している。

  

ハンガリー政府・国立銀行は以前からフォリント高を好んでいるようだ。 自国輸出による

景気維持よりも、原油や国内消費製品の輸入価格上昇を懸念し、インフレを払拭したいと

する意向が強い。 ただ 3 2日に退任したヤライ・ハンガリー前中銀総裁は、「国内外の

経済動向に合致するようこの通貨有効バンドの維持に対して議論しても良いのではないか」

とのコメントをしばしば発していた。

ところが昨日ジュルチャーニ首相およびバレス財相は、「 30 % の有効バンドの廃止は

現在のところ廃止する必要はない。 同国中銀が上程するのであれば考慮しても良い」 

コメント。 新しく就任したシモール中銀総裁も中立やや政府寄りの意見を持っているため、

当面完全フロートまでの道のりは遠のいたようだ。

 

ただ昨日のフォリントは新興諸国の通貨の買い戻しが大きく見えたこともあり、フォリントは

対ドルおよびユーロに対して強含んで引けている。  ハンガリー国債はほとんど変わらず。


昨日のハンガリー債券市場は 3年および 15年のハンガリー国債の入札が実施された。 

新興国金融市場の混乱がまだ冷めていないためその成り行きに注目が集まったが、

ハンガリー国債落札結果

平均利回り

応札額 (Bil)

落札額 (Bil)

倍 率

3年債

/C

6.75%

04-12-2010

7.80 %

317.54 Bil

90.0 Bil

4.23

15年債

/A

6.00%

11-24-2023

6.60 %

34.8 Bil

20.0 Bil

1.74

3年ハンガリー国債の落札倍率は 4.23倍と 1月に実施された同一銘柄の落札倍率

1.41倍を大きく上回る大好調の結果となった。  ただ 15年債は市場およびハンガリーの

先行き不透明感とイールド・カーブのインバートを反映してか、1.74倍と前回 1月の

3.12培を下回った。

また経済指標では、ポーランドと同様に 2月の P.M.I. が発表になったが、

  

  

    

前月比

前月比

2

P. M. I.

53.0

1

54.6

前月比若干の低下。 構成項目のうち、最近のフォリント高が影響しているのか、輸出が

- 4.2、増税による物価高で購買総数が – 3.7 と落ち込みを見せており、これが全体数値の

下げ要因として働いている。


                                                - to be continued -




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さらにハンガリー中央統計局は 2006年第 4四半期の国内企業投資伸び率を発表。

 

  

ハンガリー

年 率

年 率

Q-4

企業投資伸び率 ()

- 4.5 %

2006

- 2.0 %

4四半期は建設部門が – 5.6 %、機械設備投資が – 2.7 % と落ち込んだことにより、

全体の数値のマイナス要因となった。  

また2006年通期では、製造設備投資が – 5.1 %、不動産および企業活動投資が

- 4.1 % の下落となり、前年の数値を下回った。

ただ上記 2つの経済指標の落ち込みは、債券市場にとっては好ニュース。 3年債落札の

良好な結果とともに債券買いを誘発し、イールド・カーブ全体に 1 3 bp 利回りを

押し下げている。

  ル/対  

117.80

- 0.95

02年国債

7.80 %

- 1.0 bp

フォリント/対  

0.608

- 0.001

10年国債

6.97 %

- 3.0 bp

フォリント/対米ドル

HUF 193.47

- 0.870

原油価格

$ 62.00

$ + 0.21

フォリント/対ユーロ

HUF 254.67

+ 0.130

 価格

$ 665.10

$ - 7.40


END


2001年から 6年間、ハンガリー中銀に就任していたヤライ総裁の任期がきたる

3 2日に任期満了となる。 その後任として 2 15日にジュルチャーニ首相から

任命されていたアンドラス・シモール氏 ( Andras Simor ) が正式に次期ハンガリー

中銀総裁として承認された。

シモール新総裁は現在デロイッテ・トッチェ・トーマツ会計事務所会長を務める 52歳。 

昨年夏にハンガリー通貨統合委員会のアドバイザーとして参加しており、ジュルチャーニ

首相の目に止まったようだ。  またその経歴として、

1986-1989年 大学卒業後、ハンガリー国立銀行、エコノミスト

1989-1998年 オーストリア・クレディタンスタルト ハンガリー支店で公共引受を担当

1998-2002年 ブタペスト証券取引所 会長 (兼務)

1998-現在   デロイッテ・トッチェ・トーマツ ハンガリー会計事務所 会長

を歴任し、現在に至っている。 またシモール新総裁は 2001年に 欧州ビジネス・

ウィーク誌で、「欧州域内トップ 50のマネージャー」としてランク・インされたこともある。

そのキャラクターであるが、シモール新総裁は中立 穏健派。 ヤライ現総裁はハンガリー

蔵相を歴任しその後中銀総裁として現職に就いたが、社会党とは対峙する野党第一党

であるフィデス青年市民同盟党員でもあるため、現政府との関係に見えない壁が生じていた。

シモール氏が新中銀総裁に就任することによりハンガリー中央銀行が政府寄りに傾く

可能性が残るものの、すでに同国の財政赤字を第一の問題として取り上げていることや、

ハンガリー国立銀行出身、その知名度など、金融市場の受け止め方はいたって好感

されている。  

昨日執り行われた議会証言で シモール氏は、「中銀は大幅上昇が見込まれているインフレ

( ピーク 8.9 % 前後の予測) に注視しなければならない。また中期的目標 ( 3.0 % )

達するよう監視に勤める」と述べ、「物価安定のために通貨の安定にも注意を払いたい」と

語っている。

またハンガリー国立銀行は新興国の中でも最も独立した中央銀行の一つとして数えられて

いるため、ヤライ現総裁の金融政策手段を当面継承した舵取りを行うと考えられる。

正式就任は来月からになるが、増税に伴うCPIの上昇、財政赤字問題など、目先の課題に

早急に取り組む必要性に駆られるであろう。 


                                        - to be continued -


上から ↓


また昨日ハンガリー中央銀行は 四半期インフレ報告書を公表した。 同報告書によると、

ハンガリーのインフレ上昇は増税や公共料金の引き上げで今後数ヶ月間続き、ピークは

年率約 + 9.0 % 前後にまで達するとし、今年第 3四半期から下落に転じると予測している。

2四半期の平均インフレは年率 + 8.8 %、第 3四半期平均 + 7.2 %、第 4四半期

+ 5.1 % と年後半にかけて急速に下落していくとし、2008年は + 3.4 % と中銀の中期

目標である + 3.0 % に近づくと見ている。その他項目は下記のとおり。 

( カッコ内は昨年 11月時予測 )

2007

( 2007 )

2008

( 2008 )

年率平均 C.P.I.

7.4 %

( 6.9 % )

3.4 %

( 4.1 % )

年率コア・インフレ

5.6 %

( 6.1 % )

3.3 %

( 4.0 % )

民間部門 賃金上昇率

7.3 %

( 7.3 % )

7.0 %

( 7.0 % )

G. D. P.

2.5 %

( 2.5 % )

2.6 %

( 2.4 % )

個人消費支出

- 0.9 %

( - 0.9 % )

0.5 %

( 0.0 % )


 



                                                       - to be continued -