古典派フルート四重奏曲38選(一人一曲)  | 室内楽の聴譜奏ノート

室内楽の聴譜奏ノート

室内楽の歴史の中で忘れられた曲、埋もれた曲を見つけるのが趣味で、聴いて、楽譜を探して、できれば奏く機会を持ちたいと思いつつメモしています。

 何年も前から、室内楽を楽しむフルート奏者がいつも当惑するのは、会に参加するたびに「またモーツァルトのフルート四重奏か!」と(紳士淑女の皆さんは決して口には出しませんが)つい顔に出されてしまうことです。

「世界で一番はモーツァルト」とは十分認めつつも、太陽を周回する惑星たちのように、古典派時代には二番手、三番手の作曲家だっていたはずだと思って、楽器としては門外漢の私が探索を始めることにしたのです。それは料理人ではないのに各地の旨い物を訪ね歩くグルメ趣味人の行動に似通っています。



古典派時代には、フルート四重奏曲というジャンルが弦楽四重奏曲のスタイルの完成と並行して人々にもてはやされていたということを改めて再認識しました。もちろん「モーツァルト以外は駄作だ」とこれらに見向きもしないご意見もあります。しかし往年の名手、ランパル、ニコレ、グラーフをはじめ多くの演奏家がこれらの楽譜の発掘、校訂やレコード録音に取り組んでいたこともわかったのです。

ここ数年の楽譜サイト Imslp の充実、Youtube 等の音楽配信サービスの隆盛などで、意外にも沢山の作品が、楽譜も、音源も、無料で手に入る環境に激変しています。

前置きが長過ぎましたが、こうして作曲家一人一曲くらいは聴いて演奏して楽しめる曲があるだろうと自分勝手に選んでいくと、いつのまにか38人になっていました。その中にはこれまで聞いたこともないような作曲家もいます。以下に、作曲家の生年順に列記いたします。

01 ジャルディーニ Giardini  D  Op.25-3
02 アーベル Abel  B  Op.8-2
03 ウェントリンク Wendling  G  Op.10-1
04 グラーフ Graaf  d  Op.12-3
05 カンナビヒ Cannabich  F  Op.1-5

06 バッハ(フリートリヒ) J.C.F. Bach  B  W.VI.B42

07 ハイドン(ヨーゼフ) J. Haydn  D  Op.5-1, Hob.II; D9 (クイケン)

08 ゴセック Gossec  G  Op.14-3 (ニコレ)

09 バッハ(クリスチャン) J.C.Bach  C  WB58

10 ハイドン(ミヒャエル) M.Haydn  D  P.117 (フルーリ)

11 ジョルダーニ Giordani  D  Op.2-5

12 ヴァンハル Vanhal  B  Op.7-2

13 アイヒナー Eichner  d  Op.4-3
14 パイジェッロ Paisiello  G  Op.23-5
15 シュターミッツ(カール) C.Stamitz  D  Op.4-3 (ランパル)
16 カンビーニ Cambini  a  Op.17-3
17 チマローザ Cimarosa  G  No.2
18 カンパニョーリ Campagnoli  e  No.4
19 ホフマイスター Hoffmeister  c  Op.16-2
20 フィオリッロ Fiorillo  e  Op.4-6
21 ヴィオッティ Viotti  c  Op.22-2
22 モーツァルト Mozart  D  K.285 (グラーフ)
23 ヴラニツキー(パウル) P.Wranitzky  a  Op.28-3
24 プレイエル Pleyel  D  Op.20-1 B.381
25 ロッラ Rolla  a  Op.2-1 BI_428
26 ドヴィエンヌ Devienne  G  Op.2-1
27 クロンマー Krommer  D  Op.17 (グラーフ)
28 ダンツィ Danzi  d  Op.56-2
29 ギロヴェツ Gyrowetz  D  Op.11-1
30 ライヒャ Reicha  C  Op.98-2 (ニコレ)
31 シュナイダー Schneider  g  Op.69-3
32 ドッツァウアー Dotzauer  a  Op.38

33 リース Ries  e  Op.145-2
34 フェスカ Fesca  G  Op.38 (No.2)
35 フュルステナウ Fürstenau  As  Op.60 (No.2)

36 ロッシーニ Rossini  B  No.3

37 メルカダンテ Mercadante  e

38 ドニゼッティ Donizetti  g  No.6


これらの38曲は全部、楽譜がPDFで入手でき、演奏も無料で聴けるのです。

 

楽譜は Imslp またはそれに準じるクラウド・ストレージ(例:KMSAなど)で入手できます。 

KMSA:古典派室内楽譜面倉庫(別館・管+弦)= https://goo.gl/ybXFQX

 

音源集は Youtube のプレイリストにまとめてありますので、興味のある方はのぞいて見て下さい。全員が18世紀内に生まれた人々です。
Youtube Playlist : フルート四重奏曲 一人一曲選= http://bit.ly/2CU0K3W

 


作曲家一人一曲としてみましたが、実際には一人でも3~6曲は書いていますし、演奏もあります。つまり100曲以上あることになり、まさに百花繚乱、生物多様性の素晴らしさの一例ではないかと思うのですが、蝶の舞に例えられるフルートの、演奏家・愛好家の皆様もそれぞれの好みで花から花へと寄り道されてみてはいかがでしょうか?