(このブログでは、仕事や人間関係に役立つ情報

小説形式でお届けしております。

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第30話  3人組



浅井:「それでは、いよいよ、“客観視”のテクニック

入りましょう。今日は、仕事や日常で役に立つものを

いくつかご紹介しますね。」



そう言うと浅井は、イスだけを残して、テーブルを横に

寄せるよう指示を出した。

そして、3人組みを作り、3人一組で向かい合って

座るよう促した。浅井が出した条件は、3人の中には、

知り合いがいないように、ということだった。


志保子は、隣に座っていた2人・・・美容師の桜美貴と

ニートの松本学と3人組になった。


セミナールームには、三角形が7組散らばった。

志保子のグループは、一番真ん中に陣取った。



浅井:「さて、今から、コミュニケーションにおいて

役立つ“客観視”について、実技練習をします。

まず、3人のうち、Aさん、Bさん、Cさんを決めて

ください。」



桜:「では、年の順にしましょうか。私がAさんね。

水島さんがBさん、松本さんがCさんでいいかしら?」


志保子のグループは、AさんBさんCさんが、

あっさり決まった。


浅井:「では、まずAさんとBさんで会話をして

頂きます。初めて話す人同士ですので、話しやすい

ようテーマを決めて話して頂きます。テーマは、

“人生で一番楽しかったできごと”です。


まずは、AさんからBさんに話してください。


Bさんは、聞き役専門です。

Cさんは、2人のやりとりをしっかり見ていてください。

その際、特に、表情、気持ち、話が伝わっているか、

気をつけて“観察”してください。

それでは、今から5分間です。はじめてください。」



桜は、高校の文化祭が、最高に盛り上がったという話を

志保子にした。


クラス全員が、文化祭の前日、夜遅くまで残って

頑張ったこと。クラスが最優秀賞をとったこと。

桜の失敗を友達がカバーしてくれたこと。打ち上げで、

みんなでお祝いをしたこと・・・。


桜が話すひとつひとつのエピソードをかみしめる

かのように、志保子はあいづちをうったり、笑ったり

した。


5分間の後半には、すっかり志保子は話に吸い込

まれていた。


2人にとって、あっという間の5分だった。



続く・・・・・・


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第29話  第三の目


浅井は、リモコンを片手に説明を始めた。



浅井:「最初にみなさんに見て頂いた『みなさんの

目線』の映像。これは、『主観』のイメージです。そして・・・」


ピッという音とともに再び後ろから見たアングルに、

画面が切り替わった。


浅井:「そして、次の教室全体を後ろから見た映像。

これは、『客観』のイメージです。さて、人がいっぱい

映ってますが、どんな人が映ってますか?」



浅井が、注意をうがなした数秒後、受講生が

いっせいに振り向いた。

受講生たちの目線の先・・・一番後ろの席には、

お笑いトリオ『ピラニア軍団』の三人が座っていた。


彼らは、一年前、強烈な体当たりギャグで一世を

風靡したが、間もなくあきられ、しばらくテレビから

姿を消していた。


思わぬ芸能人の出現に教室はにわかにざわめいた。


そこで浅井は、ゲスト受講生として彼らを紹介し、

話を元に戻した。


浅井:「さて、主観のイメージと客観のイメージを、

映像で見ていただきました。実際に目で見てみて

何か感じることはありますか?」


浅井は、桜美貴をあてた。


桜:「まず、主観のイメージだと気づかなかった

ことに客観だと気がつくんだなと思いました。

客観の映像を見るまで芸能人の方がいるなんて

全然気がつかなかったし・・・。」


浅井:「なるほど。そうですね。主観だけのとき

よりも、客観も取り入れると、視野が広がるし、

得られる情報が多かったり、多角的にものが

見えたりするので、その結果、気づきが多く

なるということですね。

他には何か感じることはありますか?」


桜美貴:「えっと、客観のイメージで見た映像で、

自分が映ってたんですが、あんな風に見える

んだなって新鮮な発見でした。」


浅井:「いいコメントありがとうございます。

そうですね。鏡で自分を見ることがあっても、

客観的な視点から見ることってあまりないですよね。


実は、今日のセミナーでみなさんにマスター

して頂きたいのは、『客観視』というテクニック

なんです。このテクニックをマスターすると、

みなさんが実際に目で見ている“主観”とは

別の“もう一つの目”を使えるようになります

いわば第三の目を手に入れるようなものです。」



続く・・・・・・

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第28話  2つの映像

浅井:「なんか、堅苦しい話になってしまいました。

では、ここからが面白くなってきますよ!」


そう言って、浅井は、セミナールームの右斜め前に

ある大画面テレビのスイッチを入れた。


そこに映っていたのは、ホワイトボードを背にした

浅井の姿だった。

今、受講生たちが見ているのと同じ浅井だ。


浅井:「今、みなさんが画面で見ているのは、

みなさんの目線を再現するために、みなさんの

目線でセットされたビデオカメラの映像です。」

どうです? 画面には、今みなさんが見てるのと

同じ角度から見た私が映っていますよね?」


そう言うと、浅井は、リモコンのスイッチを押した。


すると、ピッという音とともに、画面が切り替わった。

浅井は、セミナールームの後ろを指差して言った。


浅井:「今画面が切り替わりました。今映っているのは、

このセミナールームの一番後ろから、私を含めた

みなさんを見下ろす角度の映像です。

ご自分も映ってますよね?自分がわからない人は

手を振ってみてください。」


志保子は、髪の毛を触ってみた。確かに自分がいた。


浅井:「では、ここで問題です。最初の映像と後の映像。

どちらが視野が広く見えますか?そして、それはなぜですか?」


ちょうど中央に座っていたグレーのスーツの男性があてられた。


男性:「後の映像です。全体が映っていたからです。」


浅井:「そうですね。では、セミナーの雰囲気が伝わる

のは前者と後者ではどっちですか?」


同じ男性が続けて答えた。


男性:「やっぱり後者です。先生だけより、受講生や

教室全体が映っている後者の方が、雰囲気が

より伝わってきます。」


浅井:「ありがとうございました。では、今みなさんに

なぜ2つの映像を見せたのかを少し説明しましょう。」




続く・・・