(このブログでは、仕事や人間関係に役立つ情報

小説形式でお届けしております。

はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)




第27話 大人と子ども



浅井:「真実を見る力を持つことと、傷つくこととは、

別のことなんですよ。」


浅井の表情は、それまでとは一転し、大人の男の顔になった。


浅井:「仕事や人間関係において、ここがとっても重要な

ポイントになりますので、よーく聞いてください。」


受講生たちは、真剣に浅井の顔を見つめた。



浅井:「私が言うまでもなく、人間生きていれば

いいことも悪いことも起こりますよね?

また、いい人にも悪い人にも出会います。

これは、うそですか?それとも真実ですか?みなさん。」


受講生たちは、目でこの問いに答えた。



浅井:「まあ、いいことは起きてもラッキーくらいなもんで、

悪いことや悪い人に会ったとき、人はつらさを感じて、

真実から目を背けたくなるわけです。

『ああ、真実に出会わなかったら、よかったな・・・』と。」


浅井:「このようなとき、人は嘆くわけですね。

次のセリフをよく聞いてください・・・。


『何で自分ばかりこんな目にあうんだ』

『自分はダメな人間だ』

『アイツのせいだ』

『社会が悪い』



いずれかのセリフをよく口にしたり思ったり

する人、正直に手をあげてください。」


浅井が、いたずらっぽく尋ねると、

ほとんどの受講生が手を上げた。



浅井:「みなさん、正直ですね(笑)。

ではここで、仕事や人間関係を良くしていくために、

とても大切な定義をみなさんにご紹介しましょう。」


浅井:「いかなる真実にも、正面から向き合い、

見つめ、受け入れる人を、『大人』と言います。

逆に、自分にとって悪い真実から、目を背け、

逃げる人を『子ども』と言います。」


浅井:「真実を受け入れようと心に決めたとき、

悪いことが起こっても、自分に降りかかって来るものは、

『攻撃』ではなく、『課題』です。

攻撃は『傷』を生みますが、課題は、自分を強くしてくれます。」


浅井:「だから、真実を見る力を持つことと、傷つく

こととは、別のことなんですね。

なんか、堅苦しい話になってしまいました。

では、ここからが面白くなってきますよ!」


そう言って、浅井は、セミナールームの右斜め前に

ある大画面テレビのスイッチを入れた。


そこに映っていたのは・・・



続く・・・


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第26話 真実を見る力


いきなり「講師を疑え」と言われたり、講師が握手に

一人一人を回ったりと、受講生の間に少し戸惑いを

残しつつセミナーは始まった。


浅井:「さて、みなさん。今日は、真実が見えるメガネを

プレゼントするって言いましたよね?」


浅井は、ホワイトボードに、「真実」と書いた。


浅井:「まず最初に考えて頂きたいことがあります。

それは、『真実って何だろう?』ということです。」


浅井は、一番前に座っていた男性に同じ質問をした。

学生らしいまじめそうなその男性は、少し考えてから答えた。


男性:「『ほんとのこと』のことだと思います。」


浅井:「そのとおり!辞書にも、『うそでないこと。

本当。』と載ってます。他には、『絶対の真理』という意味が

あるみたいです。」


浅井:「ここでは、『ほんとのこと』という意味で

お話していきましょう。では、みなさん。仕事や生活を

する上で、ほんとのことってわかった方がいいですか?」


今度は、一番後ろの白いシャツの女性があてられた。

女性:「時と場合によると思います。」


浅井:「例えば?どういうケースがありますか?」


女性:「例えば、仕事などで何か判断しないといけない

ときは、真実ができるだけクリアにわかってた方が

いいことが多いですよね。

逆に、人の本音とかは、逆に知らない方がいい場合も

ありますよね。知ってしまうと傷つくこともありますし・・・。」


浅井:「そうですね。私もそう思います。でも、真実を

見る力を持つことと、傷つくこととは、別のことなんですよ。」



続く・・・


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第25話 講師への疑い



午後1時半。セミナー開始の時刻だ。

講師はアーサーだ。


簡単に自己紹介をした後、彼は、受講生に向かって言った。


浅井:「今日は、実に興味深いセミナーになると思います。

なぜなら、みなさんに、『真実が見えるメガネ』をプレゼントする

のですから。」


iPODの青年は、明らかにうさんくさそうな表情をした。


浅井:「今、私の言うことを疑っている人。その方は、

まともなです。逆に、私の言うことを疑ってない人

その方は、人にだまされないよう気をつけてください。

そう、このセミナーを始める前に、みなさんにお願い

したいことがあります。それは、私や私が言うことを

常に疑ってかかって欲しいということです。」


素直な志保子は、浅井の言うことがわからなかったが、

「そう言うのなら」と疑ってかかることにした。


iPODの青年は、ますますうさんくさそうな顔になった。


浅井:「くれぐれも私の言うことを疑ってかかってください。」



そう念を押すと、浅井は受講生の方に歩いていき、

右から左、前から後ろの一人一人の目の奥を

のぞきこんで、一人一人ゆっくりと丁寧に握手をしていった。


彼の無言だが実に心をこめた握手は、受講生一人一人の

手に、あたたかい感触を残した。


そうして、彼の非常識なセミナーははじまった。



続く・・・