(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)




第25話 講師への疑い



午後1時半。セミナー開始の時刻だ。

講師はアーサーだ。


簡単に自己紹介をした後、彼は、受講生に向かって言った。


浅井:「今日は、実に興味深いセミナーになると思います。

なぜなら、みなさんに、『真実が見えるメガネ』をプレゼントする

のですから。」


iPODの青年は、明らかにうさんくさそうな表情をした。


浅井:「今、私の言うことを疑っている人。その方は、

まともなです。逆に、私の言うことを疑ってない人

その方は、人にだまされないよう気をつけてください。

そう、このセミナーを始める前に、みなさんにお願い

したいことがあります。それは、私や私が言うことを

常に疑ってかかって欲しいということです。」


素直な志保子は、浅井の言うことがわからなかったが、

「そう言うのなら」と疑ってかかることにした。


iPODの青年は、ますますうさんくさそうな顔になった。


浅井:「くれぐれも私の言うことを疑ってかかってください。」



そう念を押すと、浅井は受講生の方に歩いていき、

右から左、前から後ろの一人一人の目の奥を

のぞきこんで、一人一人ゆっくりと丁寧に握手をしていった。


彼の無言だが実に心をこめた握手は、受講生一人一人の

手に、あたたかい感触を残した。


そうして、彼の非常識なセミナーははじまった。



続く・・・