第70話 防御システム


昨夜から降りだした雨が昼前にやっと上がった。


雨は上がったが、太陽は顔を見せず、湿った空気は重く底冷えがする。


今日はカウンセリングの日だ。

こういう天気の日は、あまり重くない話の方がいいのだが。


「さて、アニメを見ていただいて10日以上経ちますが、

どんなのだったか覚えてますか?」


「ええ、だいたいは。」


なにを聞かれるのかと、少し警戒するように彼女は答えた。


服装が地味だとか、化粧がどうだとか、

そういうことではないようだ。
彼女の場合、控えめすぎる性格が彼女の印象を

希薄なものにしてしまっている。


「では、問題です。ロボットがたくさん出てきたと思いますが、

そのロボットが敵の攻撃から身を守るためにしていた防御はなんでしたか?」


「防御・・・『盾』、でしょうか。」


「正解。そうですね、盾です。でももうひとつ防御があるんですよ。わかりますか?」


「もうひとつですか? 盾以外に・・・。」


「うん、難しいですかね。実は『よろい』なんですよ。」


「よろいですか・・・。」


「ちょっとわかりにくいですよね。ロボットそのものがよろいみたいなものですから。」


「はい。」


「なぜこんな質問されるのか、不信に思ってますね?」


「そ、そんなことないです。」


いや、かなり不信に思っているぞ、この顔は。


「今日のテーマに入る前に、ひとつだけお願いしたいことがあります。」

続く・・・・・・

(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)


第69話 ロボットの教え   

「確かに性格もあるかもしれませんね。でも、性格だからしょうがないってあきらめることはないですよ。実は、ストレスを軽減する方法があるんです。」

「気分転換とか癒しとかですか?」

「違いますよ(笑)。もっと、直接的にストレスを減らす方法です。」

「??」

「ロボットを使うんです。」

「!?ロボット・・・ですか?」

「ええ(笑)。驚きました?でもちゃんと聞いてさえ頂ければ理由は分かるはずです。だからバカにしないで聞いて下さいね!」

「も、もちろん!!です。」

「よかった(笑)。これから徐々に、なぜ、あなたがすぐに傷つくのか、なぜ、コミュニケーションがうまくいかないのか、なぜ、仕事が楽しくできないのか、全部ロボットが教えてくれますよ。」

面食らっている彼女に、僕は少しいたずらっぽい笑顔で応えた。
今回はなぞを残したままでカウンセリングは終了。
来週も同じ時間に来ると約束をして、笑顔で彼女は帰っていった。
でも、きっと、少し不信感を持ったな、あれは。

さて、報告書をまとめなければ。
【報告書】
氏名:水島 志保子
内容:仕事の楽しさ0点
・・・・・・
今後の目標:1.人間関係がうまくいく。2.ストレスが減る。3.仕事ができるようになる。

(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)


第68話 ストレス                          


「多くの人は、人間関係がうまくいけばストレスが
なくなる、とか、仕事ができるようになればストレス
がなくなるとか思っているようですが、実は、逆なん
です。まず、ストレスを減らすこと。自分で、ですよ。
多くの人は、ストレスは周りの環境のせいだと考えています。」

「はあ、違うんですか?」

「いえ、違うとは言いません。ストレスの原因と
して、周りの影響は必ずありますから。
でも、考えてみてください。二人の人がいるとして、
同じ環境にいても一方は胃に穴があくほど
ストレスを抱えているのに、もう一方は、
さほど気になってない。そんな経験ありませんか?」

「あります。後輩に、やっぱり仕事でしょっちゅう
ミスする子がいるんです。でも、その子は
上司に何言われても平気で。この間もひどく
怒られたものだから、同僚が慰めようと話し
かけたら、全然気にしてなくてあっけらかんとしてるんです。」

「どうしてでしょうね?同じ境遇なのに。」

「タイプが違うんでしょうね。私は引きずって
しまうタイプだから。」

「確かに性格もあるかもしれませんね。
でも、性格だからしょうがないってあきらめる
ことはないですよ。実は、ストレスを軽減する方法があるんです。」

「気分転換とか癒しとかですか?」

「違いますよ(笑)。もっと、直接的にストレスを減らす方法です。」

「??」

「ロボットを使うんです。」


続く・・・・・・