(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -3ページ目

効果的なコーチングダイアログについて(7)

パワフルクエスチョンというのはコーチングダイアログの中で、質問をすることで以下のような効果が期待できる質問のことを言います。

・考え方を見直し、問題解決につながる
・ある状況に対して、より、建設的になれる
・創造性や新たな方法に気づく
・問題を苦痛としてではなく、よりチャレンジなもの、機会点ととらえる

少し具体例を考えてみましょう。

ある社員が私のところに相談に来たという設定です。その社員は直属の上司とそりが合わないようで、上司に対しては「自分の仕事を理解していない、サポートもない」とかなりの不満を持っているようです。もちろん上司にも問題はあるのでしょうが、この社員にも問題がありそうです。コーチングの目標は「この社員が自分で解決策を見いだせるような行動に動かす」ことです。

そこで次のような質問をした場合、そのパワフル度を考えてみましょう。

「なぜ、あなたの上司はあなたのサポートをしないのでしょうね?」あまりパワフルではないですね。この問いかけだと、表面上の答えしか戻ってこない可能性が高いですね。例えば、「私のことが好きだから、とか、気に入らないから」といった理由です。

では、「どうしたら、あなたの上司はあなたの仕事の中身を理解できると思いますか?」一見よさそうに思いますが、上司のサポートを得るためにはどうすればよいかが抜けていますし、仕事の内容を理解してもらうために、この社員がどのような働きかけをすればよいかを考えさせる質問にはなっていません

次に、「どうすれば、上司に対してあなたの日々の仕事の内容を知らしめることができて、あなたの仕事をよりサポートしようという気持ちにさせることができますか?」これはパワフルな質問です。あなたがどのように働きかければ上司のサポートが得られるのかを聴いていますから、この社員の具体的な行動を引き出すことになります。より前向きで建設的な視点を得ることができるはずです。

パワフルクエスチョンは非常に有効なツールですから是非習得してください。

効果的なコーチングダイアログについて(6)

今週は「なぜ」の使い方について考えてみましょう。

私自身の経験からすると、コーチングで相手の方から話を聞き出して、本当の理由を探ったりするときに、いきなり「なぜそんなことをしたのですか?なぜそういう方法を選んだのですか?」と聞くと、話がそこで凍りついてしまうことがあります。

ビジネスの問題解決という観点から、問題と原因を探るような場合には「なぜなぜ分析」を行います。つまり、なぜを5回繰り返すと必ず「問題の本質にたどり着くことができる」という意味です。こういった場合には積極的に「なぜ」という質問をくり返せばよいのですが、1対1のコーチングダイアログの中では、できるだけ「なぜ」という質問は避けたほうが良いです。

なぜコーチングダイアログの中では「なぜ」という質問を避けたほうが良いのか?それには主に2つの理由があります

・相手にプレッシャーを与えることになります
・論理的な返答を要求されると感じます

具体例を考えてみましょう。「なぜ~ができないの?」などと子供に向かっていうと、子供は追い詰められた気持になるものなのです。こういった状態では決して相手に気を許せる状況ではありませんから、その後で別の質問をしたとしても子供が素直に答えてくれることはないでしょう。

しかし、同じことを探ろうとして、例えば、「~ができなかったんだね。どんな理由が考えられる?」あるいは「どこまでがわかって、どこからがわからなった?」っと聞いてあげると何らかの答えが返ってきやすくなります。

また、「なぜ」に答えるためには「何故ならば~だから」という明快なロジックを自然と要求されることになりますから、自分自身でも理由が明確でない限りは非常に答えにくいものなのです。

要はコーチングダイアログでは、相手の方にプレッシャーを感じさせない、応えやすい質問をすることが大切なのです。

効果的なコーチングダイアログについて(5)

大震災から1カ月がたちました。現地では復興に向けた様々な活動が展開されているようです。しかしながら、福島の原発では今もクリティカルな状態が続いているようです。早く沈静化してくれることを心より祈っております。

コーチングダイアログの効果的な進め方という観点でこれまで進めてきましたが、今日は「質問力」について深く考えてみたいと思います。コーチングでは相手のコーチイの言うことを深く聴くことと、上手な質問を投げかける事によって問題の解決へと結び付けてゆきます。これまで何度か「質問力」について述べてきましたが、ここで一度まとめてみましょう。

■オープンエンドクエスチョン

相手がYesあるいはNoで答える事が出来ない質問。目的は多くの情報を集める事です。

例)
・この件についてはどうなっていますか?
・これはどういうことですか?
・その時にどの様な感じを受けましたか?

■クローズトエンドクエスチョン

相手が、YesあるいはNoで答える事ができる質問。目的は相手に対して、何かを確認して、問題点を絞り込んだりするときに使う。

例)
・この通りに進めて良いですか?
・これはこういう意味で言われたんですよね?
・これはいいと思いませんか?

■シンプルな質問と複雑な質問

質問はできるだけシンプルでフォーカスされたものでなければなりません。相手の方が、答えやすいようにリードしてあげるのが質問の最も大切なことです。もし長くて複雑な質問を投げかけると、相手の方の思考回路は複雑になり、自分の意見をまとめにくい状況になり、効果的なダイアログができなくなります。

次週は「何故?」の使い方と「Powerful Question」についてまとめます。