家から学校までは片道一時間。
毎日、地下鉄に揺られています。
一つの箱に大勢の人が詰め込まれているのですから
それはもう、色々な人を見ます。
地下鉄内では、いつも小説を読む。
普段、軽い小説を読んでいる私が
珍しく、太宰治なんて読んでいた。
すると、私の小説をのぞいていたらしいオッサンが
声をかけてくる。
「日本語を勉強して…三年ぐらいか?」
その根拠のない数字は一体なんなんだろう。
「いえ、私、日本人です。」
三年じゃ太宰治は読めなかろう。
日本人の私でもよくわからんのに。
オッサンは一言、日本語で
「ニホンジン」
と言って降りて行った。
私のすぐ近くに立っていた女性が
咳きこんだと思ったら、突然、倒れた。
呆然とする人々。
一人の男性が言う。
「倒れた!倒れたら…どうしたらいいんだ?」
全員、よくわからず
とりあえず、近くに座っていた人が席を譲り
倒れた女の人を座らせる。
女の人は無言で、うつむいて座る。
周囲は、もぞもぞしながら、落ち着きを取り戻す。
誰かが歌っている。
マイク付きで。
段々、近づいてくる。
見てみると、ピンマイクを付けたオッサンが
歌いながら歩いてくる。
その手前には、袋を持ったおばあさん。
恐らく、親子での物乞い。
オッサンは楽しそうに歌っている。
マイク付きで。
地下鉄を降りると
重たそうな荷物を運ぶ女性が目に入ってきた。
通り過ぎようとすると、声をかけられる。
「あっ、お姉さん、ごめんなさい、ちょっと手伝ってくれない?」
言われるがままに
大きなカバンの持ち手を、片方ずつ仲良く持ち
バス停まで送った。
「ありがとう、ありがとう」
そう言って、彼女はバスに乗って行った。
なんとなく薄暗く、いつでも混雑している北京の地下鉄。
車内マナーは悪く、イラッとすることも多いですが
飽きることはありません。
地下鉄や、道を歩いていて
「日本と違うなぁ」と思うことが度々あります。
台湾では、あまり感じることはありませんでした。
「カップルがよくイチャつくなぁ」ぐらいでしょうか。
今日は、北京でよく見かける光景を書きます。
そこかしこで出会うのは
歌いながら歩く人。
日本でも、おっちゃんが歌ってることはあるけれど
ここでは、時々若い人も歌っている。
日本だと「ちょっと気が違っちゃったかな」と思われそう。
そして、これもよく見かける
お尻丸出しの赤ちゃん。
中国の赤ちゃん服は、そういうデザインになっている。
いつでも用を足せるように、ということらしい。
最初に見たときは驚いた。
お尻丸出しだし
男の子なんかは、何やらブラつかせている。
でも例えば、地下鉄で急に…
なんてなったら、どうするんだろうか。
垂れ流すんだろうか。
まだその場面には遭遇したことはない。
時たま見かけるのは、道端でウンチする子供。
「お母さん、トイレ」
「もー、その辺でしてきなさい」
ということが、リアルに繰り広げられている。
街路樹の下で踏ん張る子供の様子は
犬のそれと変わらない。
「マナーのいい親は袋に入れて持って帰る」
というのも、もはや「親」ではなく「飼い主」だなと思う。
道端で見かけるブツが犬のものとは限らないのが、中国。
嘘つき物乞い。
不幸な身の上話をして、お金をもらう人々。
私も先日、とうとう出会った。
「夫婦で仕事を探しに北京に出てきたんですが
仕事が見つからず…
10元でいいんです、この子に食べさせるものがなくて…」
3歳ぐらいの娘を連れた母親は、そう言った。
しかし、身なりは良く、子供もオシャレ。
「こういう人がいるから気をつけるように」とは聞いていたので
やんわりと断る。
ただ、本当にあの子の食べるものがなかったら…
と思うと憂鬱になるので
できれば物乞いの人には、嘘をつかないでほしい。
他にも、横入りや物売りなんかは日常茶飯事です。
ここに住んでいると、精神的に強くなります。
ただ、日本に帰って、うまくやっていけるかはわかりません。
中国といえばトイレです。
様々なトイレ恐怖談が、いたるところで繰り広げられます。
私の大学のトイレは、それほどでもありません。
ただ、いいトイレかと言われれば
そうでもありません。
大学で初めてトイレへ行った日。
トイレがどこにあるかわからず、さまよい
辿り着いたトイレ。
並んで、やっと入れたと思ったら
紙がない。
「紙が切れた」のではなく
トイレットペーパーを設置するやつ自体ない。
すごすごと退散。
次の日から、しっかりとティッシュ持参。
水が流れるのか心配したけど、ちゃんと流れた。
水が流れないトイレもよくある。
そういうところは、色んな匂いが充満して
大変なことになる。
ちなみに、トイレットペーパーはもちろん流せない。
横に置いてあるゴミ箱に捨てる。
教室の近くのトイレは
いつでも二、三か所、鍵がかかっている。
最初は誰か入っているんだろうと思ったけれど
どうも人の気配がしない。
どうやら、上から下におろして引っかけるタイプの鍵が
内側からかかってしまっているようだ。
もう誰にも開けられない。
どれぐらい、そうなっているんだろう。
文字通り、開かずの間となってしまったトイレ。
私は、いつの日か
そこから、何か生物が発生して
巣立ちの日を迎えるんじゃないかと心配している。
開かずの間がある一方、「開いちゃってる間」もある。
トイレに入り、内側に開いているドアを閉めようと
手前に引く。
すると、自分に向かってドアが倒れてくる。
実は、「ドアが開いている」のではなく
「壊れたドアを内側に立てかけている」のだ。
しかし、ぱっと見、内側に開いているように見えるので
多くの犠牲者が出ている。
「おぉおお!?」という声が聞こえてきたら、犠牲者が出た証拠。
予想外の展開に、人は微妙な声を発する。
せめて、「壊れている」ということを、わかりやすくしてほしい。
なぜ「内側に開いているだけです」というフリをするのか。
今、中国のトイレ事情は、だいぶ改善されているらしいですが
まだまだ、驚きのトイレがたくさんあるのでしょう。
なるべく、出会わずに過ごしたいです。