広島大学病院 乳腺外科の笹田です
先週は、名古屋で開催された日本臨床腫瘍学会に参加してきました。
日本の学会にしては珍しく、国際色豊かな学会へと変身しつつあります。
今年は、応募演題の約40%くらいは海外からの応募だったようですし、半分以上は英語のセッションになっています。
さて、〇〇ラグというと、医療界では『ドラッグ・ラグ』が有名ですね。
海外では承認されて治療薬として使用されるのに、日本では保険承認の時期が遅れてしまうことを表現しています。
ドラッグ・ラグの要因は複数ありますが、以前よりは随分改善されてきてはいます。
①重要な臨床試験(治験)が海外で実施され、その後、日本人への適性確認試験が実施される ⇒早期から国際臨床試験に日本も参加する
②承認審査に時間がかかる ⇒審査期間の短縮
とはいえ、①ができないことも時々あります。
Sacituzumab govitecan。Trop2抗体にトポイソメラーゼI阻害薬を結合させた『抗体薬物複合体(ADC)』です。
海外で、まずトリプルネガティブ乳がんに承認されました。
今後に期待の薬 | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~ (ameblo.jp)
その後、日本人でも効果と副作用に違いがないかを確認する臨床試験が行われ、結果が今回の学会で報告されました。
この結果に基づき、日本でも承認申請が出されていますので、承認される日も遠くないのかもしれません。
この薬、トリプルネガティブ乳がんだけでなく、ルミナルタイプ乳がん(ホルモン受容体陽性HER2陰性)にも効果があり、海外で追加承認されています。
日本でも、確認試験が進行中です。
薬の効果と副作用に人種差があることがありますので、このような確認試験は必要なのですが、時間も手間もかかります。
早い段階から国際臨床試験に参加できるようになれば、世界と同じタイムラインで承認審査に入ることができますので、そのような流れができつつあります。
会場近くに、熱田神宮がありましたので、参拝に行きました。
ぴよりん🐥は、まだ行列ができるほど人気でしたので、今回も断念しました。