だって、知って備えたいから。 | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~

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広島大学病院乳腺外科スタッフが、乳がんのこと、日常のこと、感じたことなどを交代で綴っていきます。ぜひ、気軽にコメントもいただければうれしいです!
注:このブログは広島大学公式ブログではありません。発言内容は個人の見解であり、広島大学とは一切関係ありません。

こんばんは

 

今日は一日外来デーでしたが、最後の患者さんが帰り際に

「先生、今日は月末です。ブログの日ですよね!」

と教えてくださいました。

 

ああ、そうでした!

朝までは覚えてたんですよ~

言っていただいてよかったです・・・書きますよ~

 

前回のブログ投稿翌日から、早速の歯車のスペアがなく寂しくなかなかに忙しい一週間を過ごすことになった

広島市立北部医療センター安佐市民病院 乳腺外科 恵美純子です

 

「ひとり」というのは何より寂しく

気の合う相手との会話は何よりの癒しとなっていますので

(ああ、早く帰って子供たちと話したい・・・)と思う日々でした。

 

今日は、先日ある患者さんの娘さんと久しぶりに会ってたくさんお話する機会がありましたので

そのことをご本人の了承を得て少しご紹介したいと思います照れ

 

鈴木先生がブログでも言っていた『はなちゃんのみそ汁』から引用して仮に”はなちゃん”と呼ばせていただきます。

 

お母さんと会えなくなってからも、定期試験が終わるたびに成果を報告してくれていたはなちゃんですが

受検が微妙に終わったのか終わってないのか、ひと段落して多少落ち込んでいる?

進学により県外に出てしまう可能性があったので、今後のことを含めいろいろ話したくて待ち合わせをしました。

 

はなちゃんのお母さんは残念ながら亡くなられていますが

それからの食事作りはずっとはなちゃんの担当で頑張っています。

 

毎日大変だった?

ほんと、頑張ったね~!

『でも、料理は基本的に好きだし。お母さんに乳がんがわかってすぐに料理教室に入れられたんだよね!でも、おしゃれな料理の教室だったから・・・日々の食事としてはあんまり役に立たなかったんだよね~』

 

あ、そうなんだニコ

でも、基本的なところは役に立つじゃん?

 

『お母さん、ほんと料理上手で。30分で何品も作ってたもん!私が学校から帰ったら夜寝るまでずーっとお母さんと過ごしてずーっと話してた~』

 

いいねぇ!

お母さん、ほんと面白いよね。わたしもお母さんと話すのがほんと楽しかったよ。

無駄がないというか・・・合理的というか

でも、そんなお母さんが、はなちゃんに『遺伝性』について伝えるときはすごく悩んでたんだよ

”自分のように病気で絶対に苦しんでほしくないけど、恋愛や結婚もして欲しいし・・・どう伝えたらいいんかな”って

 

『え~そうなんだ』

 

私もはなちゃんみたいに高校生くらい若い人にお話するのは初めてだったから・・・

いろいろ話して備えて緊張したよ

でも、いざそのまま伝えたら、あなた

”え~?わたし、早く結婚したい~恋愛もしたいし。あはは~!”

って今と同じような屈託のない笑顔で即座に答えてくれて。

わたしもお母さんもちょっと拍子抜けしたんだよね。

 

『え~そんなこと言ったっけ?!』

 

お母さんとお父さんがお互いに

”あなたと結婚してほんとに楽しかった!ありがとう!”

っていいあってたじゃない?

あれ、ほんと、心に刺さったんだよね~

あんなふうに話せるお父さんとお母さんを見てるから”結婚したい!”って迷わず言えるんだろうね~

素敵なお母さんだよね

 

『だって、お父さんがお母さんのこと好きすぎて。今でもお母さんのことが一番好きなんだと思うよ・・・私とかお兄ちゃんはその次って感じ!』

 

そっか~ニコニコニコ

(と、我が身を振り返りすごく後ろめたく。娘や息子の顔が突如浮かぶわたし汗

 

遺伝の検査、どう思う?

 

『・・・早くしたい。大人にならんとできないの?』

 

できないわけではないけど、がんが起こる年齢とかを考えると、成人してからで十分ではあるんだよね。

なんで早くしたいの?

 

『だって、結果はいつ調べても調べなくても変わらないんだから。早く知って、もしリスクがあるならちゃんと備えられるほうが絶対にいいでしょ?』

 

びっくりびっくりびっくり

 

照れ照れ照れ

おっしゃる通りです。

 

何だか ”千と千尋の神隠し” の千尋を思い出すような瞬間でした。

こんなにも事実をフラットにとらえられるのは若い人のほうが向いているのかもしれません。

いろんな事情や環境や経験に、自分の感情や思考も左右されまくってしまう

おばさんのような年代の人とは全然違うと感じます。

 

”先生はさ~、私みたいな人をたくさん相手にしてて、大丈夫?幸せなの?本当に医者になってよかった?”

 

と、ふとした時に言葉がこぼれおちるように私に尋ねた忘れられない問い

その言葉にめっちゃ考えさせられたんだよね~・・・

などなど。

はなちゃんのお母さんのことをたくさんたくさん話して、思い出して

3人でテーブルを囲んでいるかのようなひと時でした。

 



そして、また会って話すためにも、

ハタチになったら連絡を絶対しようね!と言って別れました。

 

あの時、“はなちゃんのことはちゃんと見守るから”

と約束したこと

いつまで守れるのか、私一人の力では心もとないので

せっかく知り得た遺伝的な情報は、『知りたい』と思う周囲の人にもそれぞれの人生を過ごしていくうえで有効につかってもらえるように、しっかりとフォローしていけるシステムづくりが絶対必要と改めて数年前からの野望に火が付いたある日でした。

 

 

さて、冒頭にお話した、頼れる部下桃子の1週間の戦線離脱など

多忙な日々に何とかして何かしらの癒しを得ようとしたこの1か月でしたが

サッカーを愛する夫や桃子にとっては、予想を超えて素晴らしいサッカースタジアムのこけら落としと初戦に沸いた2月でもありました。

 



開幕戦にはいつの間にかチケットをとっていた夫に連れられ家族で観戦し、

私としてはナマ歌唱する吉川晃司さんが一番の興奮ポイントだったのですがラブ

初戦を勝利で飾り、大興奮のスタジアムと広島でした。



 

帰宅後もスマホでゴールシーンを見返しては

見たことないようなニヤニヤして幸せそうな夫の横顔を久しぶりにまじまじと眺めて

 

幸せそうで何よりビックリマーク

 

と思うのでありました。

 

人生を少しでも幸せにできる方法は、たくさん持っておきたいな・・・

と、今日もちょっとした皆さんやいろんな方との会話を楽しみにする恵美でした!

 

3月も頑張ります!