こんばんは 角舎です
昨日から免疫療法の勉強会に参加しに東京に来ています
ステージ2以上のトリプルネガティブ乳がんに対してキートルーダという免疫チェックポイント阻害剤が使えるようになってしばらく経ちました。
この薬の登場により、完全奏功率が51→64%に飛躍的に⤴️しましたが、一方で甲状腺機能不全、副腎不全など、あまり経験したことのない副作用も経験するようになりました。
副作用は心配ですが、治療成績がかなり良いので要は使う医師の方がしっかり勉強して使えば良いので、という事で開かれた勉強会なのです。
副腎不全は私も経験したことがありますが、全身倦怠感、食欲不振など特徴がないことがあります。
また、敗血症に似た症状を呈する場合もあります。定期的な漏れのない血液検査を出すことと、免疫療法特有の副作用を常に頭に入れる事が大切です。しかし、患者さんは夜に調子が悪くなって病院に来ることもありますし、そんな時に当番の若い先生が診察して気が付かないこともある、みたいな話がディスカッションでも示されました。
免疫チェックポイント阻害剤は、既に肺がんなどではたくさん使われていて、多臓器のがんで共通のお薬です。なので、いろんな科の先生方がこの薬の勉強をする方がいいのか?それとも、腫瘍内科の先生が一括して治療してもらった方が良いのか?
腫瘍内科医は全国的にも多くありません。
ディスカッションでお話しした先生方の病院も、常勤ではおられないところもありました。
乳がん領域の化学療法(免疫療法だけでなく)は、アメリカでは乳腺外科医が行わず腫瘍内科が全て行なっています。外科医は手術をしてホルモン剤を処方、フォローアップをするだけです
日本では各臓器の先生が化学療法を行うので、腫瘍内科のニーズがないため、増えないのかもしれませんね。どちらのスタイルが日本に適しているのかわかりませんが、この免疫チェックポイント阻害剤のように特殊な副作用で、いろんながんに共通のお薬が出たこの状況は、腫瘍内科医が活躍の場を増やす機会かもしれません。
乳腺外科医でも腫瘍内科と同じ資格を持つ先生はおられますが、今後は内科医しか取れなくなります。
将来の診療体制を考えながら島根大学病院の乳腺センターの運営を考えていかなくてはいけませんが、幸いな事に島根大学病院には田村先生と言う全国でも有名な先生がおられるので恵まれています
写真は泊まったホテル近くで撮った東京タワー🗼です。時代が移っても変わらずに美しいですね。でも、一方で時代に合わせて変化していくしなやかさも必要です。
変わるべきか変えないべきか?
そんな事を考えさせられた週末でした