皆様こんにちは
先日イギリスのお土産で、缶のクッキーをもらいまして
「さすが、おしゃれなパッケージだわねー」
っと感心していたら、急にオルゴールのような音が鳴り出して。。。
よくみたら金色の土台より上が、メリーゴーランドとして回転している!!
中はクッキー入ってますけど!
お菓子なのに、メロディ奏でて回ってますけど!!
こんなこと考えるグレートブリテンに驚いた、網岡です
さて、同じヨーロッパから
センチネルリンパ節への転移を認める乳がんに対する、腋窩郭清の省略について、
「SENOMAC試験」の報告が出されました
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2313487?url_ver=Z39.88-2003#ap0
SENOMAC試験は、5ヵ国(スウェーデン(約6割)、デンマーク(約3割)、ドイツ、ギリシャ、イタリア)で行われた
第III相 無作為化非劣性試験です
臨床的リンパ節転移陰性の、T1~T3乳がん(腫瘍最大径 T1:≦20mm、T2: 21~50mm、T3:>50mm)の術前診断の患者さんにセンチネルリンパ節生検を行って、
肉眼的転移(転移巣の癌の最大径>2mm、=マクロ転移と言います)を1または2個有する方を、
完全腋窩リンパ節郭清を行う群(郭清群)
郭清を省略する群(センチネルリンパ節生検単独群)
に、1対1の割合で無作為に割り付けられました
術後補助療法と放射線療法は、各国のガイドラインに準拠して実施されています
(もしセンチネルリンパ節生検でマクロ転移が確認されたら、腋窩リンパ節領域に放射線を当てる、等)
主要評価項目(一番主とする評価項目)は全生存期間(OS)、
副次評価項目は、無再発生存期間、乳がん特異的生存期間などでした
臨床的重要性により、副次評価項目である無再発生存期間が、生存期間よりも「前に」報告されました
結果:
追跡期間中央値は46.8ヵ月で、2,540例が解析され
センチネルリンパ節生検単独群が1,335例、郭清群が1,205例
所属リンパ節への術後放射線療法は、
センチネルリンパ節生検単独群の90%
郭清群の88%
が受けていました
全体に対し、
補助化学療法を受けたのが約65%、
内分泌療法が約93%、
抗HER2療法が約9%
でした
結果は、「両群とも」推定5年生存率は92%台でした
(論文より筆者改変)
解析対象の集団の推定5年RFS率(無再発生存率)は
センチネルリンパ節生検単独群 89.7%
郭清群 88.7%
と、非劣性が示されました(下の曲線がほぼ重なっている=無再発生存率がほぼ同じ!)
(論文より筆者改変)
これまでの類似の試験(ACOSOG Z0011 試験と AMAROS 試験)の結果と一致したものです。
◼︎異なる点は、
・センチネルリンパ節の微小転移(2mm以下)の患者さんは含まれない
・センチネルリンパ節の転移が節外浸潤(転移したがんがリンパ節の被膜を破って外側に滲み出ている)の患者さんも含まれる
・T3(腫瘍径が5cmを超える)の患者さんも含まれる(約5%)
・乳房全切除の患者さんもしっかり含まれる(35%)
・高齢患者さんも含まれる(各群 中央値61歳)
◼︎限界点は
・「スウェーデンとデンマーク(この2カ国で9割を占める)の」標準治療のリンパ節照射を受ける患者割合が高いこと
・男性乳がんは10人しか含まれず評価できない
・ホルモン陽性HER2陰性のサブタイプが約85%を占め、他のサブタイプが少ない
などが挙げられていました。
結論:
臨床的にリンパ節転移陰性、
T1、T2、または T3 乳がんで、
1 つまたは 2 つのセンチネルリンパ節にマクロ転移を有し、
術後補助全身療法および放射線療法を受けた患者さんには、
腋窩リンパ節郭清の省略が安全である
これまでの不明確な点が明らかになるのは、患者さんにとっても朗報です
皆様良い週末を