乳がんに対する腋窩リンパ節手術の歴史紹介 | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~

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広島大学病院乳腺外科スタッフが、乳がんのこと、日常のこと、感じたことなどを交代で綴っていきます。ぜひ、気軽にコメントもいただければうれしいです!
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毎度お世話になっております、乳腺外科の重松です。
またまた前回ブログから4日も空いてしまいました。
管理人様、すみませんでした、2日空いたら催促してください、と懺悔してからのスタートです。

今日は乳がん治療における腋窩リンパ節手術の変遷についてのご紹介です。
患者さんに乳癌手術の説明をするとき「リンパ浮腫になるのですか?」「買い物をするとき手は使えなくなるのですか?」というのはよくある質問です。皆さん、腋窩手術の後遺症をとっても心配しています、それはとても正しい懸念だと思います。
ということで、乳癌における腋窩手術の変遷を紹介します。
世界的に初めて乳癌根治手術が成立したのは1890年頃で、開発した先生の名前をとってハルステッド(Halsted)手術といいます。癌を根こそぎ切除するという目的のため、乳房のみならず、乳房周囲の筋肉やリンパ節をごっそり切除する手術内容です。現在ではまず行われない手術ですが、乳癌に対する根治手術の第一歩となる歴史的に価値ある手術です。ただ、術後合併症としてリンパ浮腫が高頻度に発生し、腕の動きが悪くなるという、過酷な手術内容でもありました。

ハルステッド手術は1世紀にわたり標準治療として施行されましたが、乳癌に対する手術効果は限界があるのだから切除範囲は縮小して薬物療法や放射線療法を頑張るべきでは、という考えが出てきました。その考えに基づき、1970年台から、切除範囲を縮小した乳癌手術の有効性を検証する臨床試験(NSABP-B04)が始まりました。

結果として、乳房切除術の有効性が証明され、乳房切除術は現在の標準手術の一つとして施行されています。

この試験では「腋のリンパ節は切除しない、もしリンパ節に再発したら切除する」という治療群も設定されました。

結果として、局所再発は増えるけど生存期間は変わらない、という結果が得られました。

この試験結果をもとに、腋窩リンパ節手術の縮小が積極的に検討されるようになりました。

話が長くなるので、続きはまた次回のブログでお願いします、、、とネタを温存しておきます。

 

先日は岡山の研究会に参加しました。同年代(50歳台前後のおじさん先生)を中心とした懇親会で、“稲中卓球部”の京子ちゃんネタや卓球歴60年のばあばの話題で盛り上がりました。昔の思い出にはじけて良かったのですが「重松先生って、いつも難し気な顔しているのに、今日は楽しそうに振舞っていますね」と言われてびっくりしました。人の印象って聞いてみないと分からないです、今後気を付けよう、と思った次第です。