広島大学病院乳腺外科 恵美です。
本日は1日外来デーの火曜日でした。
今日も長く待っていただいた方・・・申し訳ございません
受診してくださる皆さんにとって、担当医として相対するのはわたくし1人です。
当たり前なのですが、診察させていただく私にとっては1日のうちには
大笑いしながらお話しできる方もいれば
治療の効果判定のお話など、笑顔ではなかなかお話しできない時間となる方もいらっしゃり
頭も、気持ちも、顔も、声も
百面相です。
「痛みが少し楽になりました」
あ~!良かったですね!! このまま続けていきましょう
「ホルモン療法の副作用が辛いです」
う~ん、そうですよね・・・頑張ってくださりありがとうございます
このお薬を使ってみますか?
「夫がねぇ・・・ダメなんですよねぇ・・・頑張ってはくれているんですけどねぇ・・・」
ですよねぇ。私も今朝から切れてますんで・・・。
おひとりおひとりはそれぞれのお気持ちのモードがあるのに対して、自分だけずっと一本調子というのではいけないと思っています。
皆さんとお話しているときはだいたいアドレナリンが出ており、8時間座りっぱなしでもあまり苦にならないのですが
診療が終わると何だか心の安静がちょっといつもと違うところに行っちゃっていることも時にはあります。
今日は看護師さんからもらったエンゼルチョコパイと、患者さんからいただいた美味しそうなこちらで
ほっとひと息をつき、整えます。
皆さん、いろんな症状と向き合いながら治療を頑張ってくださっているのですが、今日特に大変そうだったのはカペシタビン内服による手足症候群でした。
CREATE Xという日本と韓国で行われた臨床試験の結果から、術前化学療法に引き続き手術後にカペシタビン(ゼローダ®)内服治療を半年間頑張っていただく方がいらっしゃいます。
*CREATE X
HER2陰性のI期からIIIB期の乳癌で標準的な術前化学療法(アントラサイクリン系かつ/またはタキサン系抗癌剤)を受けて病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったり、リンパ節陽性の方では、手術後に標準療法(ホルモン受容体陽性の場合はホルモン療法、ホルモン受容体陰性の場合は全身療法なし)にカペシタビンを加えて投与すると、標準療法のみの患者に比べて、無増悪生存(DFS)、全生存(OS)が有意に良好であった。
2週間内服して1週間休薬する方法ですと、3週間ごとの治療コースを8コース頑張っていただきます。
個人差がかなりあり、全く副作用らしきものを経験されずに終えられる方もいらっしゃいますが、手足の皮膚症状が強く出る方もいらっしゃり
「手足症候群」と呼ばれます。
6コース目の途中から強い症状が出られたのですが、なんと我慢してそのコースは飲み切られ
なんと我慢強くてらっしゃることか
日常生活にも差し支えるため、休薬を延長して回復を待ちます。
・手のひらがヒリヒリ・チクチクする、手が痛んでものがつかめない
・手のひらが赤くなり腫れる、テカテカした皮膚になる
・足の裏がカサカサする、ひび割れる
といった症状で、大変にお辛いので内服治療開始後は常に
・ハンドクリームなどで手足の保湿を励行する
・水仕事などは必ず手袋を着用し乾燥を防ぐ
といった対策をとっていただき
症状が出始めた場合にはさらに
・症状がみられる部位を冷たい水に浸す
・手足を安静に保つ⇒手指のよく使う部位や足裏の体重がかかる部位・靴でこすれるところなどでは症状が強く出やすいので、日常の作業の見直しや低反発パッドなどを使って保護するなどが効果的です
手足がひどく痛む時には必ず担当医に相談してください。コースの途中でも休薬や減量などが必要になります。
『痛くなったらご連絡を』の一言をしっかり伝えていなかったことを強く反省
果たして、一週間後の今日
水仕事を極力しないでいただいたり、手足の保護に気を遣ってくださったり、保湿ケアを継続いただいたりで
症状はかなり改善なさっておりホッと致しました。
治療を頑張られる皆さんは大変に真面目に取り組んでくださるため
副作用は仕方がないのだから頑張らなくちゃ!
と思われ限界を超えて頑張ってくださる方もいらっしゃいます。
が、『あれ?大丈夫かしら?』と思う症状はなんでも担当医にご相談くださいませ。
さて、久しぶりの愚痴になりますが・・・
毎朝、あまりに何もしないので
『せめて子供たちを起こしてくれ』
と夫に要求。
しぶしぶ?やってくれていますが、
学校がある土曜日には絶対に起きてこない夫
・・・なんで
「平日はやります」
との返答
なんで平日限定?
私は毎朝おきて食事の準備しますけど
どうせ仕事だから子供の起床時間30分後には起きてくるのですが
いまだに全く納得いかないわたくし。
唸りながら電動でハイハイするゾンビを眺めて心を鎮めます。
そこは、はってでも頑張っていいんじゃないのか