溶ける糸と溶けない糸 | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~

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広島大学病院乳腺外科スタッフが、乳がんのこと、日常のこと、感じたことなどを交代で綴っていきます。ぜひ、気軽にコメントもいただければうれしいです!
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みなさんこんばんは。
広島大学病院 乳腺外科 金子です。

すっかり涼しくなりましたね!
夜は虫の声も聞こえてきます。
秋ですね〜!


最近、術後の患者さんからよく聞かれるので、今日は縫合糸についてちょっと説明しようと思います。

まず皮膚の構造についてです。
皮膚は浅い方から、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つに分かれています。
傷をきれいに治すためには、真皮の層をしっかり合わせることが重要です!そこで、行われる縫合が、真皮縫合です。
表面には糸や結び目が出てこないように縫合しますので、抜糸が不要な吸収性縫合糸を使います。これがいわゆる、溶ける糸です。

その後、真皮上層の表皮のみをぴったり整えるように、非吸収性縫合糸で縫合します。これが溶けない糸です。こちらの糸は抜糸が必要です。


溶ける糸って大丈夫なんですか!?
傷口が開いたりしませんか!?
と心配になる人もいるかもしれません。

私たちが普段使っている製品について詳しく調べてみますと、吸収期間(100%溶けてなくなるまでの期間)は180日から210日でした。すぐに溶けてなくなるわけではないことがわかります。
また、生体内抗張力保持期間(強度の維持できる期間)は約6週間でした。

傷の治る期間は個人差もありますが、一般に縫合後から48から72時間後には皮膚は癒合してきます。創部感染の恐れも無くなりますので、これ以降に創保護剤の透明フィルムをはがせるようになります。
その後はどんどん治癒していき(この時、とても創部が痒いです!)、術後7〜10日には、抜糸が可能になります。


なので、
吸収性縫合糸が溶けてなくなったり、張力が弱くなってしまう前に、傷が治癒するので大丈夫ですよと説明しています!



創部の治癒のためには、縫合糸だけではなく、症例によってはテープや皮膚表面接着剤を用いることもあります。

また機会があれば、紹介してみようと思います。




全然関係ないですが、
最近一人暮らし用から買い換えた冷蔵庫です。
とっても快適でびっくりしています‼️
食欲の秋ですのでいろいろ備蓄して楽しんでいます😏


広島大学病院
乳腺外科 金子