軍事協力と「和解」の奇妙な関係 | 田口裕史のブログ

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 昨年このブログで、英国人元捕虜の問題をあつかった書籍『日本人はなぜ謝りつづけるのか―日英“戦後和解”の失敗に学ぶ (生活人新書)』(日本放送協会出版)を紹介した。著者の中尾知代さん(岡山大学准教授)は、その後も貴重な調査・研究を続けており、ウェブサイト「POWOW.ASIA」にその成果の一部が公開されている。

 特に、多くの皆さんにお読みいただきたい三つの文章を紹介しておく。

 ひとつめは、「オランダ領東インドの人々の集まり「8月15日を心に刻む会」に参加して 2009年8月16日 デン・ハーグにて」。
 中尾さんが今年8月、オランダで、「蘭領東インドからの引揚者」の会合に参加した際のレポートだ。元抑留者・元捕虜の痛みは、いまだ深く残り続けている。したがって、日本人がこの会合に参加するのは、そう簡単なことではない。当日の会合の様子が詳しく紹介されており、非常に貴重なレポートだと感じる。JINの会(日本兵士を父に持つ人々の会)の男性との再会にかかわるエピソードも印象的だった。

 そして、「軍事協力と「和解」の奇妙な関係―日英和解はいかにして憲法改正と再軍備に利用されるか」と、「元捕虜の傷とオバマの言葉―「和解成功」の背景を読む」。
 前者は「岡山の記憶」第11号(2009年)に掲載、後者は「東京新聞」2009年8月18日夕刊に掲載された文章。日本では、英国人元捕虜との「和解」が成功したとするメディア情報が少なくないが、「「和解」の不自然なまでの成功強調の背後には、実は、9.11事件以後の、軍事協力に対する志向性が存在することを、安倍―ブレア日英共同宣言と額賀防衛庁長官の宣言(2006年、7年)に基づいて論じたもの」(上記リンク先の中尾さん自身による説明)である。
 上記リンク先の「記事」部分をクリックすると、どちらもPDF文書で読むことが出来る。

 
 そのほか、岡山大学学術成果リポジトリにも、中尾さんの論文「捕虜問題をめぐる日英「和解」の断層 (上) (中) (下)」が公開されている。
 『季刊戦争責任研究』(戦争責任資料センター)の第57号・58号(2007年)、第59号(2008年)に掲載された論文で、英国の元捕虜・元抑留者補償問題を考えるうえでは必読と言える内容だ。

 ぜひお読みいただきたい。