ルワンダでのツチ族虐殺事件から15年が経過した。100日間にわたる虐殺行為のあいだには、多くの女性たちが性暴力の被害を受けている。被害者の数は、25万人から50万人といわれる。被害者(サバイバー)たちは、いまだに心身ともに深い傷を抱え続けており、差別よる社会的孤立等にも苦しんでいる。さらに、性暴力被害者(サバイバー)の約70パーセントは、HIVに感染しているという。
ルワンダの性暴力被害者(サバイバー)の経験が“The Men Who Killed Me: Rwandan Survivors of Sexual Violence ”という本にまとめられ、出版された(“Rwanda's rape victims-15 years on ”Radio Netherlands2009年4月7日付Michelle Dobrovolny記者によるインタビュー記事。なお、4月7日は、ルワンダでジェノサイドがはじまってからちょうど15年目にあたる日である)。
編者のひとりAnne-Marie de Brouwer 氏(オランダのティルブルフ大学准教授)は、国際刑事法を専門とし、紛争地での性暴力サバイバー支援にとりくむ研究者である。彼女は、2008年5月に、ルワンダのサバイバーたちを支えるための非営利組織Mukomeze を設立した。
Mukomezeは、ルワンダの民間組織Solace Ministrie と協力関係にある。Solece Ministrieは、1996年に設立された団体で、性暴力に限らず、ジェノサイド被害への広範な支援を行なっている。
上記Radio Netherlandsの記事には、Anne-Marie de Brouwer氏のほかに、Solace Ministrieの元職員である女性Denis Uwimana氏のインタビューも紹介されているが、彼女自身もジェノサイドのサバイバーのひとりだ。彼女の三番目の息子は、15年前、まさに彼女の自宅が襲撃された日に生まれたという。
Solace Ministrieのウェブサイトには、Anne-Marie de Brouwer氏のレポートが公開されている(PDF文書“Sexual Violence against Women during the Genocide in Rwanda and its Aftermath ”2007年にスイスで開催されたSolece Ministrie国際会議でのスピーチ)。
このなかでAnne-Marie de Brouwer氏は、性暴力の被害が長期的に持続することを指摘する。トラウマ、AIDSの発症による死亡、性暴力を受けたことを理由にした社会的な偏見や差別、告発への報復におびえる日々(実際に、告発の後に殺害された女性もいるという)。被害者たちは、いまだ、さまざまな精神的被害、社会的被害を受け続けているのだ。Anne-Marie de Brouwer氏は「彼女たちにとってジェノサイドはいまだ続いている」と述べる。これは、ルワンダに限らず世界中の性暴力被害に共通の問題であり、また、戦争・紛争に限らず日常的に発生する性暴力被害に共通する問題でもある。
さらに、よく知られているように、ルワンダでのレイプは、ツチ族コミュニティを崩壊させる「手段」として意図的に行なわれた形跡がある(Sandra Ka Hon Chu and Anne-Marie de Brouwer“Trying to get past 1994 ”the Globe and Mail2009年4月7日付Opinions欄)。同様の手段は、旧ユーゴやコンゴ、ダルフール等でも実施されたといわれる。おそるべきことだ。
性暴力を犯罪として裁き、再発を許さぬ仕組みをつくるとともに、被害者への社会的・政治的支援が求められている。
この問題を考える参考図書として、下記『戦時・性暴力をどう裁くか』『ジェノサイド論』などがある。また「ルワンダ:女性への暴力に対処する国家警察と国連機関の連携 」(ブログ:グローバル・エイズ・アップデート の2007年6月21日付記事)にも、近年の状況の報告があるのでお読みいただきたい。
“The Men Who Killed Me: Rwandan Survivors of Sexual Violence”の出版にあわせ、同名のウェブサイト も開設された。豊富な情報が提供されている。
私も、先日、この本の購入予約をした。
同書の印税は、Mukomeze等の支援活動に使われるとのことだ。
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