オランダのラジオ局Radio Netherlands のウェブサイトに、大学生たちとともに第一次大戦の跡地を訪問する大学教授の話がレポートされていた。
Footnotes from the fields - a new generation studies WWⅠ
(ウェブ翻訳 で翻訳して読むことも可能です)
この旅を主催しているのは、ライデン大学のKoen Koch
教授。書物を読む以上に、「戦争」の跡地に立つことが若者たちの歴史理解にとって重要だという彼の信念が、この旅の企画に結びついている。
旅には、オランダだけではなく、合衆国の学生たちも参加しているという。四日間の旅の間に彼らは、戦いの跡地や博物館を訪れ、映像を見、レクチャーをうけ、歴史と徹底的に向き合う経験をするらしい。
学生たちの反応はさまざまなようだ。「理想をもって戦った兵士たちと同様に、私も世界を手助けするための仕事をしたい」と述べる若者もいれば、「戦争を知ったことが、空軍への従軍をしない決意に結びついた」と語る者もいる。
短いレポートなので、学生たちの反応や議論の詳細は分からない。ただ、記事を読んだ限り、悲惨な事実や戦死者たちの苦悩を前に、彼らが迷い、悩み、深い思索を繰り返しているであろう様子が感じ取れた。これは、とても貴重なことだと私は思う。
日本には、『きけわだつみのこえ 』という戦没学生たちの手記集がある。かつて私は、「この手記を読んで“感動しました”と語る若者を信用しない」と発言したことがある(わだつみ会編『学徒出陣 』岩波書店)。
かなり誤解や反発を招いた発言だったが、「分からない」という違和感や戸惑いから出発しなければ嘘ではないかという感覚が、私にはあったのだ。そしてその感覚は、いまも変わらない。そもそも、私たちの日常と戦没兵士たちの置かれた状況との間には、たいへんな距離がある。そんな簡単に、「分かる」わけがないではないか。そして、「分からない」からこそ、私たちは歴史と真摯に向き合うべきなのだ。「分からない」という場所から出発しなければ、歴史を腹の底からつかむことにはならないだろう。その「構え」が、「いま」と「これから」に活きる歴史理解へとつながるのだと思う。
よりよく悩み、よりよく考えること。それを忘れたくない。
先ほども書いた通り、短い記事の中ではKoch氏の旅について詳しいことは分からない。ただ、彼の企画する旅がこれからどのような若者たちを育てるのか、ぜひ注目したいと思う。