映画『マイ・ファーザー
』がまもなく公開される。
アウシュヴィッツで人体実験をおこなった医師ヨゼフ・メンゲレと、彼の息子との葛藤を描く作品だ。
監督のエジディオ・エローニコは、この作品を通じて二つの問題提起をしている。
ひとつは、ナチズムの問題が現在にも通じるものであること。ヨゼフ・メンゲレは「優れた存在である自分たちのために、劣った存在は犠牲になって当然」と考えていた。こうした人種主義的思考は決して過去のものではないと、彼はいう。
もうひとつは、「後から生れた世代には歴史に対して何の責任もない」という考え方を否定すること。父の罪を乗り越えるためにどうしたらよいかと苦悩する息子の姿を通じて、彼は「過去との対峙」という問題・課題を、世界のすべての人々が向き合うべきものとして浮き上がらせようとしている。むろん、血のつながりのある父親との関係と、国家・社会と個人との関係をまったく同列に考えてしまうわけにはいくまい。しかし、監督が提示したこの問いを、広い文脈のなかで考え続けることには意味があるだろう。
とりあえず東京での公開は決まっている。
ぜひご覧いただきたいと思う。