先日高速道路に迷い込んだクマが「駆除」されました。
何故か、クマという動物は初めから駆除の対象の様で、保護の対象には滅多にならないようです。
理由は、人間が襲われるかもしれないからだと思いますが、クマも好き好んで人間を襲っているわけではなく、自分の身を守るために襲わざるを得なくなっているだけだと思います。
そもそも、クマは人間が寄り付かないような山奥にひっそりと遠慮しながら生きていたのに、人間の方がどんどんとクマの生息領域に進出したり、人間の森林開発によってクマの生息領域が減少し、食糧不足に陥ったクマたちがやむを得ず食料を求めて人間の居住地域にまで降りてくるようになっただけだと思います。
元はと言えば、人間の活動によってクマが人間と接触せざるを得ないように追い込まれたのに、その責任をクマに問うがごとくに一方的にクマを殺害するなどということは、アメリカの白人がインディアンを抹殺していったのと同様に極めて理不尽なことである言わざるを得ません。
今の日本に、クマの言い分を代弁する者が居ない限り、今後も人間の理不尽な振る舞いはずっと続いていくと思います。何故に、日本と限定したかというと、クマを見たら駆除するというのは世界中で普通に行われている訳ではないからです。
もし、人間の居住地域にクマが出没したら、麻酔銃などで眠らせてから、本来の生息域に戻すということが普通に行われている国々も多いからです。
そういう意味では、日本のやり方は極めて野蛮であり、今や世界中で見直されつつある人間中心主義的な自然保護・環境保護政策の理念から見ても、その後進性は否定できないと思います。
あの高速道路のクマも、殺害して遺体をどこかに運んで破棄するのも、麻酔銃で眠らせて本来の生息域に戻すのも、手間の面ではそれほど変わるわけではないと思います。
それが、何の躊躇もなく、他の選択肢を考えることもなく、即座に駆除という選択肢を選ぶということは、その選択肢が当然であり、それに対する世論の批判などあり得ないと当局が高をくくっているからだと思います。
ということで、私は日本全国のクマたちを代表して、日本の当局の今のような理不尽で一方的なやり方に断固として抗議するものであります。そして、日本の国民の皆様の中からも私のご意見に賛同されて、今のような当局の理不尽なやり方を糾弾し、今後は他の選択肢も考慮するよう当局に圧力をかける世論形成にご協力頂きたいと思います。
クマにも生存権はある訳で、人間がクマの生息域を狭めたせいで、人間とクマが接触する機会が増えたのであれば、その原因を作った人間の方が、そうならないような対策を考えるべきであり、クマも人間も互いに安心して共存できる環境づくりのために人間の側がもっと本気で取り組むべきであると思うわけであります。