これからの働き方に対応した人事・賃金制度では、「職務」や職務を通じて果たすべき「役割」がキーワードになります。
「同一労働同一賃金」を考えると、より一層そのことがいえます。
職務がキーワードになるということは---
・会社にはどんな仕事があるのか
・その仕事はどんな内容で、どんな目的があるのか
・その仕事をこなすためにはどんな能力や知識、経験を必要とするのか
・その仕事は全体の仕事の中でどのぐらいのレベルになるのか
---こうしたことを明確にし、それを元に賃金などを決めるということです。
また、「役割」とは、仕事をこなすことによってその人はどんな価値を会社にもたらしているのかということです。
これらを明確にしておかないと、賃金決定はどうしても曖昧になります。
「職務に対応」というと、まず浮かぶのが職務給です。
職務給の解説はまた別の機会に譲りますが、簡単にいうと、社員が担当している仕事(職務)の価値に応じて賃金を決めるという制度です。
ただし、ここで私は、「これからは職務給でいくべき」と主張したいわけではありません。
職能給(社員の能力に応じて賃金を決めるやり方)もありです。
「職能」とは「職務遂行能力」の略称です。
つまり、職能給とか能力給といっても、その裏付けになるのは「職務」なのです。
よく「職能給は基準が曖昧で年功的になってしまう」という意見を聞きますが、それは職務の裏付けなく職能給をつくってしまっているからです。
職能給にするか、職務・役割給にするかは、人材マネジメントの主眼を育成におくか、会社への貢献度や成果におくかによります。
そしてそれは、社員のレベル(新人レベルかベテラン・管理職レベルか、など)に依存するはずです。