職場でおこるさまざまな労務トラブルを取り上げ、解決を指南するコーナーです。
採用内定をめぐるお話を続けます。
◆内々定とは
ここまで、採用内定についていろいろとみてきましたが、それでは「内々定」というのはどうなのでしょうか?
採用の実務では、正式な内定通知を出すとか、内定式を行う前に、本人に個別に「内々定」と伝え、本人の入社の意思を確認するということが行われます。
内定を約束または予定した状態といえます。
しかし、内々定は内定と異なり、労働契約(解約権留保付き)が成立した状態とはなっていないとされています。
内定というほどの確約があるわけではなく、相手(内々定者)を拘束していないということですね。
◆内々定を取り消すのは
したがって、内々定を取り消しても、労働契約の破棄、すなわち解雇とはなりません。
しかし、たとえそうであったとしても、損害賠償を命じられることはあります。
私は内々定取り消しも、採用実務においては内定取り消しと同等に位置づけるべきと考えます。
というのも、上記の通り、損害賠償請求の可能性は十分ありますし、社会的非難も浴びます。
もっと根本的な問題は、内定と内々定の境界線がはっきりしないという点です。
以前お話しした通り、内定通知書や誓約書は、それが存在すれば内定という状態にあると判断されますが、無いからといって内定ではないとされるとは限りません。
あくまでも実質で判断されます。
口頭で伝えたのは「内々定」なのに、執拗に就職活動を終わらせるように迫ったり(これを「終われハラスメント」(オワハラ)と言うそうですが)、」他社の内々定を断るようなことをさせれば、相手を十分に拘束しています。
ここまで極端ではなくとも、グレーゾーンは結構広いと考えた方がいいでしょう。
内定であれ、内々定であれb、採用の意思表示をした後の安易な取り消しは禁物です。
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