インフルエンザにかかることへの不安を解消するための行動をとっているうちに、強迫性障害へと移行してしまったサラリーマンのBさん。
そのBさんへの接し方に苦慮してご相談に見えた奥様のAさん。
この病気の特徴は、まだ起こってもいない事への不安(インフルエンザにかかってしまったことからくる不安ではなく、「かかったらどうしよう」という不安)のために一連の儀式(手を洗う、消毒をする、埃などを払い落とす)を行い、その儀式に振り回されて日常生活が回らなくなってしまうことです。
つまり、「現在」ではなく、「未来」や「過去」のことに思いが行ってしまい、右往左往してしまうのですね。
では、このような場合、家族はどう接したらよいでしょうか。
「インフルエンザになんて罹らないから大丈夫でしょ。」
「そんなことしても、罹る人はかかるし、かからない人は罹らないのよ。」
「心配したって仕方がないでしょう。」
と言ってみたところで、Bさんの不安がなくなるわけではなく、
「なぜそう言い切ることができるんだ!」
「本当に罹ったらどうしてくれるんだ!」
と反論されるのがオチですね。
その不安を打ち消すような言葉をかけても、Bさんが不安から解放されることはありません。
強迫観念がさらなる強迫観念を生み出し、悪循環に陥っていくだけなのです。
家族としてはできるだけ穏便に済ませようと思うあまり、Bさんの言うなりになってしまう事もあるかもしれませんね。
そんな時には、まずはBさんの「不安な気持ち」に寄り添うようにしてみましょう。
Bさんも、頭の片隅では「こんな事ばかりしていてもダメなんだよな。」という考えがチラっとでも思い浮かぶ瞬間もあるかもしれませんが、それ以上に不安が強いために「儀式」をやめることができないのです。
儀式を執り行うことによって「安心感」を得ているのですね。
「不安なんだね。」
「そうだね、インフルエンザに罹って1週間も外出ができなくなったら困るよね。」
と、Bさんの不安な感情を肯定してあげます。
強迫観念があまりに強い時には、専門的な治療を受けた方が良い場合もあります。
特に「曝露療法」といって、あえてその不安材料に本人を段階的に晒していって、「ほら、大丈夫でしょう?」と自信をつけさせる療法がありますが、これは曝露療法を専門的に行っている医師などにお任せしないと、さらなるトラウマを生み出すことにもなりかねません。
ご家族がしてあげられることは、まずはご本人の不安な気持ちを理解すること。
決して不安な気持ちを否定したり、指図したりしないことです。
場合によっては、ご本人と一緒に少しずつ外出を試みてあげます。
まずは玄関まで、次は玄関ドアから出るところまで、というように、段階的に。
出来ない場合には決して無理強いをしてはなりません。
これは、外出するという行動が大事なのではなく、「安心感」を得ることが大切なのです。
Bさんも「安心感」を持てず「不安感」ばかりが先に立ってしまったので、強迫性障害になってしまったのですね。
その後、Aさんの献身的な協力もあり、
玄関まで - マンションのエレベーター前まで - エレベーターに乗る ・・・ というように段階的に行動範囲を広げ、1年ほどして駅まで一人で行かれるようになったようです。
一家の大黒柱が病気になると、経済的な面も含め、ご家族はたいへんな思いをすることになりますが、病気を患ったご本人もご家族も、健康な時にはわからなかったことや感じなかったことを経験し、生きていくうえで大きな意義を得られると私は考えています。
Rainy days never stay.
身近に不安障害の人がいるのであれば、その人がなぜ不安なのか、何を不安に思うのか、を一緒に考えてあげられるとよいですね。
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