ハプニング(異変)が始まった。

公園を吹き抜ける風が樹々を揺らした直後、

人々は取り憑かれたように自殺しはじめた。

ヘアピンを首筋に突き刺す女学生、

ビルから次々と投身自殺する人々、

警官がピストル自殺し

地面に落ちた銃を男が拾い、

その銃をさらに女性が拾う死のバトンリレー。

動物園では男がライオンに両腕を差し出した。

政府の陰謀?テロ?

ウィルス感染?毒ガス?

風に捕まるな!

扉と窓をしめろ!

 

 

ハプニング

M・ナイト・シャマラン監督

2008年

マーク・ウォールバーグ

ズーイー・デシャネル

ジョン・レグイザモ

アシュリン・サンチェス

フランク・コリソン

ヒッチコック「鳥」と同じ

突然「植物」が人を襲うパニック映画。

「ミスト」や「宇宙戦争」のように

外敵(災い)と内敵(人同士)が描かれ

サスペンスとしてもスリリングです。

レビューを2つにわけます。

 

 M・ナイト・シャマラン監督

 

科学では解明されない現象

 

監督は

理解を超えた未知の存在について

あえて答えや、解決策を示さない。

 

君たちはどう生きるのか?

 

色んな作品を通して問いかけます。

 

「人間が理解できないことや

コントロールできないことは沢山ある。

後から理由づけしても、ただの理論。

本当のところはなんだよ

 

「でも、わからないからといって

軽視したり見逃してはいけないよ」

 

悲しみにどう向き合うか?

 

死ぬことをどう捉えるか?

 

見えない霊や愛をどう思う?

 

 

 感想

 

冒頭は、弦楽器の不安を煽る旋律に

の音が混じり、いや~な予感滝汗

大きな公園で発生した自殺風

津波のように都会から田舎へ広がる。

理科教師エリオットは

妻と友人と避難を開始。

しかし、友人の妻が合流できない。

娘の誕生日プレゼントを

買いに行ったせいで戻れない。

列車は停車し、

ここから先、自力で移動することになる。

1人の女性が娘へ電話をかけている。

 

友人の妻がいる地域だ。

 

つながった。生きている。

 

スピーカーに耳をすませる人々。

 

通話中、相手の様子がおかしくなる。

 

わけのわからないことを言い始めた。

 

母親はオロオロ「どうしたの?」

そして、異様な物音!

 

あぁ!

 

泣き崩れる母親と、

絶望的な気持ちになる人々。

 

友人は必死で冷静さを保ちながらも

妻が心配で心配で

いてもたってもいられない。

娘をエリオット夫妻へ託し

妻を迎えにいくため

別グループへ移る。

はたして彼の運命は?

彼の娘を託されたエリオットは

得た情報やヒントから考察する。

植物は人間に襲われても身動きできない。

生き延びるために神経毒を出し、

人間という害獣駆除しはじめた。

人の出すエネルギーを感知するなら、

人の多いところから狙うはず。

少人数に分かれろ!

3方向に散っていく。

 

私が好きな場面

 エリオットが

郊外に建つ家へ立ち寄るシーン。

書斎の窓際に置かれた観葉植物に気づき

ギクッ!

植物と距離を保ちながら、

 刺激しないよう

おそるおそる話しかける。

「僕の名前はエリオット。

君に迷惑をかけないよ。

トイレを借りたらすぐ出ていくから」

 

相手をリスペクトしながら

友好的に穏やかに話しかける。

なにか反応するだろうか?

 

注意深く観察し、気づく。

 

この葉は?!

フェイクだ…

 

俺は模造品にびびりながら

話しかけていたのか。

ここはモデルハウスだったのだ。

 

料理も飲み物もすべて偽物。

こうした現代人を揶揄うシーンが

上手いですねぇ。

座布団一枚笑

屋外の樹でできたブランコ。

ブランコを漕ぐな。

大木を刺激するな。

いつ毒ガスが発生するのかヒヤヒヤ。

素朴なブランコでさえ怖くみえ

ささいな揺れも見逃せない。

 

やがて山奥にポツンと建つ一軒の家へ。

 

老婆が一人暮らしで

テレビもラジオも電話もない。

 

昔ながらの素朴な暮らしをする

仙人のように穏やかな人かな?

 

私の思い込みはあっさり覆されます。

災害も怖いし

 

人も怖いし

 

なんかもう、色々怖い。

でも、

一番怖いのは危機感のなさ。

ひょっとしたら、

次は私たちが間引かれる番かもしれない。

②人間ドラマ 愛情編へつづく。