奈良時代。
長谷姫さま、という姫がおられました。
幼いころ母が亡くなり、次に父がめとったのは美しい女性でしたが、とても嫉妬ぶかい性格でした。
誰からも愛される長谷姫は、継母にいじめられます。
やがて箏の才能を認められた長谷姫は、中将の位をさずかり中将姫とよばれるようになりました。
ですが、これをきっかけに継母の我慢は限界を超えてしまいました。
父が地方に赴任しているとき、継母はついに家臣に「中将姫を殺せ」と命令したのです。
しかし家臣は中将姫を殺せず、すべてを打ち明けて家臣の妻とともに3人で山の中で暮らします。
やがて地方から帰ってきた父と偶然、山で再会した中将姫。
屋敷に戻るよう説得する父に、中将姫は仏門に入りたいと願うのです。
そして当麻寺に入った中将姫は「蓮の茎から糸をとり、その糸で曼荼羅を織るように」と、お告げを授かりました。
糸を井戸で洗い、桜の木にかけて干すと、糸は五色に染め上がっていました。
中将姫はその糸で一夜にしておおきな曼荼羅を織り、29才のとき生きながらにして極楽に召されました。
もんのすごい早足ですが、中将姫の伝説はこんな感じです。
なんだか白雪姫のストーリーと似ていますね。
まぁ、姫を救うのが王子さま、ではなく「阿弥陀仏」なのが素敵なところ…なんですけれども(笑)
そして、この伝説に出てくる井戸と桜の木が残っているのが、石光寺さんなのです。
胸の前にたばねた糸を持っている、これが中将姫ですね。
そして、これが糸を洗った井戸、「染の井」です。
柵がしてあって中をのぞけませんが、何とも言えない雰囲気がありますね。
ガラスケースの中に大切に保存されている古株。
これが糸をかけて干したという桜の木、「糸掛け桜」です。
中将姫のお堂の前には観音さまがおられました。
とても穏やかなお顔で、観音さまの前で合掌していると強烈な母性を感じました。
中将姫をやさしく見守るお母さん、なのかも知れませんね。
石光寺さんは糸を染めた井戸があることから「染寺」とも呼ばれていて、ご住職のお名前も、「染井さん」とおっしゃいます。
ヨガは、この染井ご住職のひろーいお家の中で行われたんですよ。
中将姫の像、染の井戸、桜の木を入れたガラスケース、そしてこの建物…これら一式を奉納したのが、あの株式会社ツムラ。
ツムラは、中将姫とふか~い御縁がある会社なんですよ。
中将姫が屋敷を出て、最初に身を寄せたのが、ツムラの初代・津村重舎の母方の実家である「藤村家」でした。
中将姫は当麻寺で薬草の知識も学び、庶民に施されていたんですって。
その漢方薬はとてもよく効くので、処方を藤村家にも伝え、それが現在も販売されている漢方薬、「中将湯」となったということです。
…そして、この「中将姫さんは、実は漢方使いだった!」というのが、イベントでいうところの「秘話」の部分だったみたいです。