狩猟日記~ハンターバンク・イノシシ捕物帳~ | いつもだいたいむかいかぜ

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 走ればだいたい向かい風、止まっていても、逆に行ってもだいたい向かい風。

 そんなオヤジ顔のツーリングだったり、ローカル線だったり、散歩だったり、車に乗ったり、ゲレンデ滑ったり、本を読んだり、映画見に行ったり、

 そんなオヤジの徒然日常備忘録。

 

 こちらに向かって突進してくるイノシシの迫力に、思わずのけぞった。

 箱罠の中にイノシシがいて安全なことは分かっているものの、体が反応した。

 人間が狩猟採集時代に、遺伝子に刻まれた名残があるのだろう。

 

 6人がかりで箱罠の隅に鉄パイプで追い詰めようとするも、必死に逃げる。

 死の直前にいる動物の行動に、生きようとする動物の必死さを感じる。

 この感覚を日常生活で理解することができるか。

 

 人間は動物の一種です。

 人間は地球環境の一部です。

 空虚な言葉が、獲物と対峙するリアルに上塗りされていく。

動機

 毎年恒例の後輩Sとの年末登山を、先週の武甲山に引き続いて丹沢山で計画していた。

 去年の大晦日に二人で丹沢に登って、蛭ヶ岳まで行けずに丹沢山で引き返した(↓そのときのブログ)

 

 

 今年は丹沢山の山小屋に一泊しての余裕の行程で蛭ヶ岳にアタック仕掛ける登山計画を立てていたのだ。

 

 そして登山の2日前、仕事納めのちグループで「一年間、何の成果も!得られませんでした!!」と、ハシゴして二軒目のてけてけ代々木店で安いハイボール飲んでいると、知らない電話番号から着信が来た。

 何だろうと留守番電話を確認すると、ハンターバンク事務局より「イノシシが罠にかかったので29日の午前中から止め差しと解体を行います」という連絡だった。

 Slackを確認すると、動きがあれば写真を送ってくるトレイルカメラに、箱罠にかかったイノシシが写っていた。

 

 

 ついに来たか。。。

 罠シェアリングのハンターバンクさんで3か月入門プランを始めて10月に箱罠を仕掛け、ようやく11月末からイノシシが出没するようになって一か月、ようやく罠にかかった。

 まず連絡すべきヤツがいる。

 

俺氏「マジですまん。イノシシが罠にかかってトドメ差しに行かなきゃいけなくなって、直前だが丹沢キャンセルさせてくれないか。もしくは、一緒に見に行く?」

 

後輩S「おけです◎見に行きます👌」

 

 直前で丹沢ドタキャンして、小田原にイノシシの止め刺しに行くことになった。

見聞録前日:12月28日(水)

 16時半ごろ、見慣れた旧式フィアットパンダが来た。

 もともとの丹沢登山計画では、俺んちで前泊してから丹沢に早朝向かうことになっていた。

 Sとは北戸田で三日前に分かれて以来である。

 荷物を部屋に置いてから、夜飯食べに外に出る。

 まず、カモシカスポーツに寄る(狩猟生活のバックナンバーで”くくり罠特集号”を購入)。

 大地のうどんに行ってみたら年末休業になっていたので、最近できたのか妙にギラギラした台湾的な店でスープ食べる。

 そのあと、新時代→半兵衛という安飲みしてから帰宅。

 スーパーで買ってきた切れてるカマンベールチーズに、先日の秩父で残ったワインを飲みながら、Amazonプライムで”ヒロシのぼっちキャンプ”をBGMにする。

 0時前、寝るとす。

 

 明日は9時45分に早川駅に集合だから時間的には余裕なのに、湘南の日の出を見に行きましょう!というので5時起きするとす。

見聞録:12月29日(木)

 朝5時、素で眠い。

 今日の必要なものとして、

・保冷バッグと保冷剤(イノシシ肉の持ち帰りに必要)

・軍手

・鹿毛皮の腰巻(二つ折りにしたボタンを外すとエプロンになるのは制作時に意図してなかった)

・モーラナイフ

 これら準備して5時半過ぎ、まだ真っ暗な街を走りだした。

 

 新宿から甲州街道を曲がり、笹塚のガソリンスタンドでハイオク満タンにしてから、南西方向へ走り、玉川ICから横浜新道、第三京浜に乗って、最後は国道一号から曲がって江の島方面へ。

 行き先を江の島にしていたのだが、別に江の島に行ったところで何か見るわけでもない。

 海岸沿いのコンビニを調べて、茅ケ崎ビーチに行き先を変えた。

 茅ケ崎漁港の駐車場に着いたのが6時半ごろ。

 湘南海岸の海の上には朝日が昇っていて、オレンジ色にぼやけた江の島はクジラのように太平洋に突き出している。

 朝からこんな景色を見られれば、クオリティ・オブ・ライフが上がるなぁ。

 海にはサーファーたちが朝の波に乗っている。

 

朝日が昇る湘南海岸

 

 少し歩いたところのセブンイレブンで休憩し、駐車場に戻って、今度は海岸の西のほうを眺める。

 スッキリと青空の下には箱根の山々が連なり、そして真っ白の富士山。

 クオリティ・オブ・ライフが爆上がりだなぁ。

 朝の海の空気も、また清々しい。

 

湘南海岸から箱根と富士

 

 西湘道路を西に向かい、国府津駅前のパン屋さんで朝食を買う。

 下道で小田原市街を抜けて、早川の道の駅へ。

 道の駅で、さっき買ったパンを食べつつ集合時間の9時45分を待ちつつSlackを確認したら、すでに罠に向かった人もいるし、だいたいのメンバーは駅に到着していた。

 よっしゃ、行くかと集合時間ピッタリに早川駅に着いた。

 

国府津駅前の神戸屋、有形登録文化財の看板建築

 

 3か月入門プランでは4,5人の班がA,B,C,Dの4班あり、今回イノシシがかかったのは俺氏所属のA班。

 ほかの班からの見学者もいたり、俺氏がFacebookのハンティングスクール長野にイノシシ解体行くと投稿したら見に行きたいですと見学に来たIさんもご一緒して、罠設置個所まで駅から歩く。

 今まで3回歩いたこの道を、4回目にしてようやくイノシシが捕まったと感慨深い。

 

 10時、箱罠の場所に来ると、すでに現地に来ていたハンターバンク事務局のOさん、いつもエサ巻きしてもらっているA班の地元メンバーTさんが待っていた。

 そして、箱罠の中ではイノシシがウロウロ歩き回っていた。

 ここ一か月、米ぬか食べに来ていたイノシシ親子のうち、子イノシシの一匹がかかったようだ。

 サイズは中型犬クラス、俺の肩幅よりちょい大きい程度。

 

 

箱罠がかかる1分前、イノシシ一家のお食事風景

 

 それではトドメ刺し始めましょうと、まず誰が槍で止め刺しするかジャンケンで決める。

 Tさんが止め刺し係となり、他メンバーは鉄パイプでイノシシを箱罠の隅に追い込み動きを止める役となる。

 箱罠の隙間から鉄パイプで隅に追いやろうとするが、うまくいかない。

 横から突いてみたら、こっちに突進してきて、驚いて避けようと体が動く。

 箱罠の中にいるから安全とは分かっていても、思わず体が反応してしまう。

 横からパイプを差し込んで追い詰めようとするも、少しの隙間でパイプをかいくぐって逃げ出してしまう。

 悪戦苦闘すること20分ほど、最後はイノシシが箱罠に前足をかけて立ち上がった瞬間、鉄パイプで背中を押さえつけて動きを封じた。

 鼻をロープでくくり、前足を引っ張って完全に動けないように押さえつける。

 動けなくなったイノシシは、最後に三度「ピギィ」と甲高い鳴き声を上げ、その間にTさんが槍で口元からブスリと槍を刺す。

 しばらくして、ぐったりとイノシシは動かなくなった。

 

 

 

 イノシシをトロ舟に載せて軽トラの二台に持ち上げ、各自解体場までクルマで移動する。

 解体場は、こどもの森わんぱくらんどにある。

 Tさんが先導して、畑の裏道を登っていく後ろを、後輩S、Iさん、俺の三人が乗った旧式フィアットパンダが限界のエンジン音を立ててついていく。

 

 11時、解体を始める。

 先日の12月17日にハンターバンクのイノシシ解体体験があったのだが、この日はハンティングスクール長野ステップアップツアーで鹿の止め刺し解体をやっていたのだ。

 なので、イノシシの解体をやるのは初体験。

 基本は腹の皮を割いて、腹膜を切り、大腸の先端を結束バンドで縛ってから肛門周りを円に抉ると内臓が取り出せる。

 トドメ刺したばかりの内臓は温かく、ケモノのにおいが鼻につく。

 内臓を取り出した後は、頭を落とす。

 皮を剥ぎ取ってから、前後の脚を外し、背ロースとあばら肉が胴体からとれる。

 俺は鹿で練習した解体技術で筋膜に沿って解体してたけど、最後は面倒になって雑に切り分けた。

 誰も持って帰らないから、俺氏はイノシシ皮をもらった(イノシシ皮はなめしたらベンチの座面に使うとす。乞うご期待!)

 事務局のOさんは、せっかく仕事納まって朝からサーフィン行くはずだったのに、本日は臨時出勤になってしまった。

 申し訳ないからと、お肉をおすそ分け(大変恐縮していた割には、イノシシの頭を嬉々として持ち帰っていたことはスルーしよう)。

 

まず腹の皮を割いていく

 

内臓を出したら皮を剥ぐ

 

脚の肉を筋膜に沿って切り分ける

 

 13時、解体が終わって解散です。

 この度は皆さん、お疲れさまでした。

 3か月入門プランは残り一か月。

 あと一頭くらい捕獲できるといいなぁ。

そのあと

 帰りにIさんと小田原駅で分かれ、Sと小田原コロナパークの温泉へ。

 15時ごろに東京に向かって急ぎ帰った。

 このあと、研究室後輩Mくん一家の年末家族会にSと俺が合流するという事態になってしまったので。。。

 

 なぜこうなったかというと、昨日Sと呑んでる写真を研究室LINEグループに上げていたら、Mくんが絡んできた。

 

Mくん「もうこれはカップルっすね」

S(発信は俺氏)「このあとMくんのお母さんも来るよ?」

Mくん「ファミリーだった?」

S「あれ?Mくんは東京に帰ってきたの?」

Mくん「明日帰りやす」

 

 かかったなアホが!

 Mくんが明日東京に帰ってくるという情報をスルーする俺らではない。

 SがMくんのお母さんにLINEでメッセージを送り(なんで繋がってるんだよ、そこ)、Mくんが帰ってくる時間に合わせてサプライズ(イノシシ肉プレゼント)しようとSが進めようとしていた、が。

 

S「やまさん大変です。明日、Mくん一家の年末家族会に、俺ら招待されてしまいました」

 

 そういう方向に話が進んでしまったのか!!

 Mくん母のお誘いに、悪ふざけしていた俺らは引き下がれないところに誘い込まれてしまったのだ。

 罠にかかったのは、俺らだった・・・?

 

 てなわけで、17時前に俺んちに帰って荷物を置いてから、下高井戸へ。

 兵庫から一家で帰ってきたMくん一家の家族会に俺たちが行くって、冷静になって考えずともトンデモなくナゾ事態になってしまったなぁ。

 

 そして18時、先に来ていたMくん親子と合流。

 どーも久しぶり。

 キッズたちとも夏の須坂キャンプ以来だね。

 そのあと、Mくんのご両親来られての年末家族会with俺氏とS。

 先週までメキシコでパラグライダーの大会に出場していたというMくん父、アクティブで気さくな方でした。

 家族会に乱入したうえ、御馳走になってしまいまして大変、大変恐縮です。

 次に獲物がかかった時には、きれいに解体して美味しいジビエをお届けすることを約束します。

 

 家に帰って22時すぎ。

 からの、クッキング!

 今日のメニューは、イノシシ焼肉と、ボタン鍋です。

 

クッキング俺氏

 

 それぞれの調理方法は以下の通り

 

◆イノシシ焼肉

・薄く切ります

・酒に漬けます

(ホントは日本酒:水を1:1で割って漬け込むのだが、黒霧島カップを全部注いだら容器にヒタヒタになってしまった)

・1時間ほど漬け込みます

・グリルで焼きます

(調味料は素材の味を活かして塩コショウ)

 

 で、お味はというと、黒霧島の風味がだいぶ残っていた。

 食感は噛み応えがある。

 野性味を感じるなら、焼肉が良い。

 

 

◆ボタン鍋

・食べるサイズの大きさに切り分けます

・ネギとショウガで下茹で、沸騰したら弱火にして、ネギがクタクタになったら肉を取り出して、残りは捨てます。

・肉、ネギ、ジャガイモ(こないだの静岡キャンプの残り)、キノコ(冷凍庫から発見された)を、鍋のスープの素(アゴだし寄せ鍋味)で火にかけます。

 

 で、お味はというと、ラム肉に近い。

 下茹でしていた香味野菜の風味が肉に移り、くさみは全くない。

 ラムの食感、牛肉の味といったところ。

 

 

 以上、獲れたてジビエクッキングでした。

 いい加減に食べ過ぎたので、本日は寝ましょう。

 長い一日だった。。。

翌日:12月30日(金)

 8時に起きだす。

 先日の秩父キャンプから持ち帰った、秩父名物の味噌漬け豚を焼き、ご飯に乗せて食べる。

 うまい!

 これはBBQでやりたい(コメをどう炊くか問題が残る)。

 後輩SとUちゅ~さんがLINE通話で年始めのBBQ会場を探している間に、俺は秩父登山キャンプのブログを書き始める。

 1月3日にBBQできるところないと一時間ほど二人で探した結果、市川の河川敷でやるらしい。

 残念だけど、そのBBQには俺は参加できないので残念(宮古島でのんびりサイクリングするので乞うご期待)。

 とはいえ、1月半ばのBBQには参戦するから、また近々会うことになる。

 

 後輩Sには年明けBBQ用に、イノシシの骨付きあばら肉を渡し、10時ごろに分かれた。

 また来年、良いお年を!

 さてと、年内にここまでのブログを書き上げなきゃなぁ...。

 まずは先週末の秩父登山キャンプから、っと。

以上。