意識的な失敗 違反 ダイハツ全車種出荷停止についての考察 | 情熱山脈(passion mountains)のブログ

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ともかく山が好き...春~秋はトレッキングを...冬~春はバックカントリースキーを通して雪山の魅力を...

ダイハツ ウエイク コンセプトは良かったのだが煮詰めが甘くて早々に販売終了となった。

 

2023年もあと10日 早いもんです...なんて言ってたら巷では...

  1. 国会議員のパーティー券裏金疑惑
  2. ダイハツの検査不正に基づく全車種出荷停止
  3. 災害級の大雪

なんて結構大きなニュースが毎日報道されています。
 

 さて、私のブログでは山岳安全を中心に安全学(失敗学)についての考察を何度も行ってきましたが、今回のダイハツ検査不正事件について考察したいと思います。

 まず最初に私のブログをお読みいただいている方は何度かご覧になった図ですが、

日常生活 就業中 家庭での生活中いずれでも失敗はつきものです。

 私は歳を重ねるにしたがってモノをしょっちゅう落としてます。友人からは”物持ちが悪いね~”とからかわれるくらい。

 

 さて、上の図はその失敗を分類したものです。

今回のダイハツ検査不正問題は一番下のの”違反”です。手順の違反です。やってはいけないと知りながらやってしまう...このようなことは今までにも枚挙にいとまがないくらいありましたね...

 

 例えば...

  1. みずほ銀行のATMトラブル
  2. 三菱自動車のリコール隠し
  3. フォルクスワーゲンの排ガスデータ不正
  4. 日野自動車の排出ガス 燃費不正

などなど...

 ここで、違反は人間が起こすもの。これは疑いの余地はないのですが、原因を考えるうえで大切なことは、

この図も何度か使いましたが、かつて柳田邦夫氏の言葉に
”5%の顕在化した失敗の奥に95%の潜在化した失敗がある”

 

 最近多い高齢者の自動車暴走事故なども潜在化した失敗のもとに無意識にアクセルとブレーキを踏み間違えてパニックに陥りさらにアクセルを強く踏むという事象が起きているのでしょう。

 

 パニックになると...これも何度か取り上げた図ですが、

人間工学の橋本教授による図ですが、フェイズⅣでは注意が意識ボケと同じくらい散漫になるという結果が出ています。

 

 さて、95%のウエイトをしめる失敗の潜在化している部分ですが、

いちばん最初の図の危険行為に原因について要因がまとめられています。今回のダイハツ検査不正では、幹部の記者会見がありましたが...組織として

  1. 目標設定の失敗・・・手段を選ばず検査にパスさせる。
  2. 組織化の失敗・・・みんなで不正を行えば怖くない。
  3. 管理の失敗・・・不正を犯す組織を野放しにした。

軽く見ても上の3つはぱっとわかるでしょう。

そして、真ん中の条件は満たされて個人の危険行為につながり、それが顕在化したわけです。

 顕在化した理由は”内部告発”
以前は内部告発は自殺行為で最低でもその会社での籍が無くなるのを覚悟しなくてはなりませんでしたが、現代多くの企業ではコンプライアンス委員会というものを設けており、そのような内部告発を受けられるようにしています。尤も、形式上設けているだけのところもありますが。

 

 さて、1の目標設定の失敗について...よくある失敗が

”最初に結論ありき”な目標設定があります。

 

〇月〇日までに△△の検査をパスせよ!

 多くのマネージャーがそのためのプロセスにも目標があることを忘れている。いや、目を避けている。

 

 先日上げたブログ...

 

このように、働き方改革で過度の労働時間圧縮するものの、目標は変わらずで従業員が病気になってしまうというのはあちこちで起きています。

 

 同じく、前出の1.みずほ銀行のATMトラブルでも、人員を減らしかつ作業時間も減らしたけどATMの台数、作業内容は変わらなかった結果、メンテナンスがいい加減になって何度も預金者がお金を引き出せないというトラブルになりました。

 

 よく第三者委員会ということばを耳にします。

会社に対して立ち位置が第三者という位置にいる有識者が今回のテーマのような問題を調査します。そして、依頼主の企業などに報告をあげます。

 ただし、宝塚の団員自殺問題のようにそれでも解決しない場合も多々ありまして...これは

 

で解説しましたが、法律や規則が曖昧であれば結論も曖昧になる傾向がありますね。

 

 今回はダイハツの検査不正問題を取り上げて何が問題だったのかを解説しましたが、業務の入口(間口)と出口しか見えてなくて事に当たると今回のようなことが起きます。

 つまりは入口と出口のあいだのプロセス...つまりは奥行がしっかり見えてないとこのような問題はまだまだ起こるということです。

 


目標を作るスタッフ、例えば注文を取ってくる営業などと、その注文に対応するスタッフの間をコーディネートできる人が居ない組織は悲惨ですね。

 注文過多、人員不足、総作業時間不足→粗悪な商品の誕生

 

ダイハツのニュースを見て多くの経営者はどう感じたのでしょうか。

 コンプライアンス違反の報告は上がってないし、顧客満足も問題なし。だから自分の会社は大丈夫だよ...いやいや、組織ぐるみで違反(コンプライアンス違反)を犯しつつ陽が当たる所だけは上手に繕っているだけかも...