さとふる(里降る) 標高の高いスキー場にとどかない雪...☃️ | 情熱山脈(passion mountains)のブログ

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ともかく山が好き...春~秋はトレッキングを...冬~春はバックカントリースキーを通して雪山の魅力を...

クリスマスにかけて大雪の予報が出ています。

テレビでは事故が起きたり、スタックしたトラックの映像が続々と流されて...

 まあ、一番ひどいところやニュースとしての興味度が高いところに取材に行くのですから...

 

 ところで...です...スキー場が軒並み雪不足で悲鳴を上げています。

本来スキー場は標高が高く気温が低いから雪が多いはずなのに?

名門?苗場スキー場も雪が降らず気温だけは下がったのでスノーマシンで12月19日に1コースだけオープンした 雪は20cm(Naeba 公式FBより)

 

 この原因は雪雲の形成にあります。

新潟県 長野県といった日本海側の地域は暖かい対馬海流からの上昇気流がシベリア大陸からの冷たい季節風で冷やされることで大きな雲が形成され、西高東低の気圧配置により吹いてくる風で雪を降らせます。

 

 まず基本ですのでまとめますと

  1. 日本海の暖かい海水から常に上昇気流(水分を含んだ空気)が発生している。
  2. 大陸からの冷たい空気が1の上昇気流を冷やして雲を形成する。
  3. 2で作られた雲は日本海側へ西高東低の気圧配置により移動して雪を降らせる。。

ここまでは当たり前の理屈なのですが?

 

1の暖かい海水が厄介な問題を起こしています。

暖かい海水からは冷たい海水よりもより多くの水蒸気が発生します。

 

 これも疑う余地もないでしょう。お湯を沸かしている時温度が高いほど湯気は増えますね

 

 さて、ここで暖かい水蒸気は冷たい水蒸気よりも低い高度で雪雲となる...ということです。わかりやすく言うと密度の濃い大きな塊の雲が低い高度でできる、ということです。

 

 これもなんとなく概念を抱くことができるでしょう。

温度が高い水蒸気の方が海面を吹いてくる冷たい風との温度差が大きいわけですので雲になりやすい(水蒸気が凝結して空気中に存在するものが雲です)

 

 そして、西高東低の気圧配置になると...

  1. 日本列島の西側が気圧が高くて東側が低いと気圧を平均にしようと東側が西側の空気をどんどん吸い込む...こんな概念で風が吹きます。
  2. 上述の低い高度で密度が濃い雲は1の風に流されて陸地に入ると早期に陸地の冷たい温度により雪となって降ります。

ここまでお話すると何が起きているかがクリアになったと思います。

 そうです、以前は一般的に標高が高いスキー場に降っていた雪がその手前の平地にどっかりと降ってしまいスキー場まで到達しない。

 

 雲の高さについてですが、例えば北アルプス 3,000m峰がつらなる山脈を台風は越えられないという話を聞いたことがあります。

 台風の雲の高度よりアルプスの方が高いのです。

 

 ニュースをご覧ください。

雪道用タイヤを付けている地元のトラックがスタック(雪の中でタイヤが空転して動けなくなること)している映像がちょくちょくでてきますね。

 運転手さんへのインタビューを聞くと”いや~湿った雪だから(タイヤ)が効かないんだよね~”

2020年12月 新潟県のドカ雪で関越道で立ち往生が発生

 

 そうなんです。日本海の海水温は今年は(も)例年より高いそうです。

よって、湿り気が多い雲が低い高度にできやすい。

 天気予報の予想降雪量地図をご覧いただくと飛騨山脈や越後山脈よりも海岸寄りで紫色(雪の量が多い)になっていて肝心のスキー場があるあたりは普通の白色ですね。

 

 もともと雪質が重い新潟県などはより多くの影響を受けてしまいます。

 

リマン海流(昔はオホーツク海流と習いました)という冷たい海流からできた雪雲により雪が降る北海道、東北北部では雪雲自体の密度も低く、雲の高度も高くさらさらの湿気が少ないパウダーが降るのです。

 

 さて、困った...

 

もともと昔は長い冬の期間雪に閉ざされ生産活動がほぼできなかった雪国...1960年代ごろから都会の資本でスキー場が開発され、それに付帯して宿泊業飲食業で冬の間の生活が成り立っていた地域にとってはピンチです。

 

 ただ、雪ごいをするしかありません。

日本海の海水温がちょっとでも下がればよいのですが...

 

因みに日本近海の海水温について...

  1. 世界平均(100年間~2019年) +0.55℃
  2. 日本平均(同)             +1.14℃
                        『日本の気候変動2020年版』より

となっています。世界平均よりも倍以上温度上昇しているようです。

 これにはいろいろな原因があるようです。

 

この前解説しました

 


でも触れていますが、先進国のみならず以前は発展途上といわれた国にもモータリゼーションなどのエネルギー使用に関する変化が起きており、これは世界中どこのヒトにも幸せになる権利がある以上当然起きてくるのですが、それが海水温の上昇にもつながっている?

 短絡的に考えるとそう考えたくなります。実際海水温のみならず、陸地の気温も日本は上昇率が高いというデータが出ています。

 

 今回は今起きている平地でのドカ雪と高地のスキー場の雪不足について解説しました。

 スキー場にとっては、クリスマス、年末年始、(中国の旧正月)、2月の連休、3月末の祭日が稼ぎ時でそれを逃した分だけ売り上げが下がってしまいます。

 ほんとに困りましたね。

 

追)このブログを書き終えた頃、待望の大雪予報がスキー場のあるエリアに出始めました。。。が、里雪傾向は変わりませんね。