上越国境越えの準備万端で発車を待つ 急行「鳥海」
先日のブログいかがでしたか。2023-2024シーズンのスキー場来場者数、そして全中(全国中学生体育大会)でスキーが廃止になること。
私のホームである越後湯沢にとっては、あまりうれしくないニュースでした。
さて、以前に越後湯沢スキーブームの頃の鉄道輸送で、まだ新幹線が開通する前の上越線特急「とき」と 「鳥海」について取り上げたことがあります。
今回は上越線で外してはならない”上越国境”越えに関する話題です。
上越線で最後に開通した区間(水上ー越後湯沢 昭和9年開業)は20‰の急勾配が連続し、清水トンネル(全長9.7km)では蒸気機関車によるばい煙の問題があるので最初から電化されました。
蒸気機関車けん引の列車は、長岡からの上りは石打で、上野からの下りは石打で機関車を交換しました。(この時は清水トンネルは単線 新清水トンネルができたのは1967年(昭和42年)でした)
その後上越線が全線電化(昭和23年)になると、上野発の列車を牽引してきた電気機関車の前に峠越えの補機を1両連結して勾配区間を通過するようになりました。
さて、今回の話題目 急行「鳥海」ですが、昭和46年(1971年)の時刻表によると
鳥海1号が上野 10:42発 ⇒ 越後湯沢 13:31着となっています。
まだ、スキーが日帰りレジャーではなかった時代に非常に便利な列車でした。ちなみに2号 3号は夜行列車のため越後湯沢には止まりません。
今回登場するのは国鉄時代の代表的な機関車であるEF58の上越線仕様で窓にはつらら切り(ひさしに見えるが本来の役目は冬のトンネルで屋根から垂れ下がるつららを除去して窓ガラスを守るもの)、汽笛カバー(汽笛が凍り付いてならなくなるのを防止する)、スノウプロウ(雪かき)などが装備されているものです。
また、水上ー石内間 補機としてEF58の前に連結される機関車 EF16は一般路線用に製造されたEF15型をこの区間用に改造したものです。下り勾配で機械的なブレーキが連続使用で加熱して効かなくなって暴走するのを防ぐため、勾配抑速制動(電気的なブレーキ)を装備していました。
こうして1/80で再現してみると、ジョイント音と寝台車から漏れる明かりととてもよい雰囲気です。
というわけでスキーが全盛でデッキにまでスキーヤーが溢れて、越後湯沢もにぎわっていたころのお話でした。そうそう、上述の新清水トンネルが開通して複線化された2年後には湯沢町の苗場スキー場で日本初のスキーワールドカップが開催されましたね。