○11月27日
久しぶりに「皇帝にいない八月」を観た。いつ観ても名作だ。ペルシアとスパルタの史実の戦いを描いた「スリーハンドレッド」シリーズは、漢の映画としてカッコ良かった。昔の東映オールスターの新選組を描いた作品も良いし、今回は満足しているのですが、最後のちょっと………。
1978年公開の「皇帝のいない八月」を観た。原作は、三無事件をモデルとし、もし現代の日本で自衛隊のクーデターが起こったらという構想のもとに、その恐怖と巨大なうねりに翻弄される人間の姿を描いた小林 久三の同名小説。脚本は「不毛地帯」の山田 信夫、渋谷 正行、「不毛地帯」を監督した山本薩夫の共同執筆、監督は同作の山本 薩夫。
保革伯仲し与党内でも分裂が危ぶまれる政局不安定な年の暑い夏の夜、国道4号線で不審なトラックを追跡していた岩手県警察のパトカーが銃撃される事件が発生した。
現場に残された弾痕から、犯行に用いられたのは自衛隊が保有していない5,56mmNATO弾であることが判明し、内閣総理大臣の佐橋と内閣調査室長の利倉は驚いた。
数日後、鹿児島で法事に出席していた陸上幕僚監部刑務部長の江見為一郎陸将補は、急遽東京への帰還を命じられる。
途中博多に寄り、娘の藤崎杏子を訪ねた江見だったが、杏子の夫で元一等陸尉の藤崎顕正は数日前から外出しているという。警務部によりA級の「特定隊員」に指定され監視されている顕正の行方に一抹の不安を覚える江見。父の訪問に不穏なものを覚えた杏子は、博多駅へ向かい、かつての恋人である石森宏明と再会する。そして顕正の姿を追った杏子は、杏子を制止する若い男達を振り切り、強引にブルートレイン「さくら」号に乗り込んだ。
この列車には、密かにクーデターを実行しようとする自衛隊が乗車していた。彼らは藤崎を中心に、アメリカに媚を売り、腐敗しきっている民政党の現政権、そして民主主義による日本古来の伝統の不純化に対してクーデター「皇帝のいない八月」を宣言。
主演は、クーデター実行部隊藤崎隊隊長藤崎顕正に渡瀬 恒彦、妻・藤崎杏子に吉永 小百合、杏子の元恋人レザー旬報記者石森宏明に山本 圭、内閣調査室長利倉保久が高橋 悦史、陸上自衛隊幕僚監部警務部長陸将補で藤崎杏子の父江見為一郎が三國 連太郎。
国関係が、滝沢 修、佐分利 信、小沢 栄太郎、丹波 哲郎、岡田 英次。
クーデター軍が、鈴木 瑞穂、山崎 努、永島 敏行、風間 杜夫、橋本 功。
その他マスコミ系に、神山 繁、森田 健作。
さくら号の乗客に渥美 清、岡田 嘉子、その他、大滝 秀治、岡本 茉莉、太地 喜和子 等々。超豪華出演陣。
藤崎の役は、元々は渡瀬の兄の渡哲也の予定だったらしいが、スケジュールの関係で、当時はまだ脇役が多かった渡瀬に回ってきたらしい。しかし、実際に作品を観ると、渡瀬の狂気が入っている、しかし純粋な自衛隊員が、ぴったりはまっていて、最高のキャスティングになっているような。ましてやこの豪華出演陣と、女神である吉永小百合さんが出演しているのだから、面白くないわけが無い。
但し、この手の作品が嫌いな人もいるので、相対的には賛否両論か。
第2回の日本アカデミー賞では、主演男優賞に渡瀬はノミネートされたが残念ながら受賞は出来なかったが、「事件」で助演男優賞は受賞している。
また、作品賞にはノミネートされていない。この年の作品賞は、野村 芳太郎監督の「事件」が受賞している。
2007年公開の歴史アクション映画「300スリーハンドレッド」を観た。
原作は、紀元前480年。スパルタ王レオニダスのもとに、侵略を目論むペルシア帝国の王クセルクセスから使者が来訪し、水と土地を差しだし、服従の証を示せと要求。レオニダスはこれを拒否し、たった300人の重装歩兵で100万のペルシア軍を迎え撃つことになった“ペルシヤ戦争のテルモビュライの戦い”を、「シン・シティ」のクリエイター、フランク・ミラーによるグラフィック・ノベルにしたもので、それを「ドーン・オブ・ザ・デッド」のザック・スナイダー監督が映画化。
日本ではR-15指定。(女王の裸がちょっと出てくる。別に全く問題は無いとは思うが。)
紀元前480年、スパルタ王レオニダスの元にペルシア帝国(アケメネス朝)からの使者が訪れ、スパルタに服従を要求した。レオニダスはこれを拒否し、使者を殺害した。
レオニダスはスパルタ全軍でペルシア軍を迎え撃つ決心を固め、軍事行動を起こす承認を得るべくエフォロイを訪ねる。しかしエフォロイはカルネイア祭の時期に戦争をすることは認められないという結論を下し、神託もエフォロイの結論を支持したため、非戦と決定されてしまう。
王でも神託には従う義務があり、スパルタ評議会も非戦の方針を支持した。レオニダスは知らなかったが、エフォロイや評議員のセロンはペルシア帝国に懐柔されており、金や美女と引き換えにスパルタを裏切っていた。
このままではスパルタは戦わずしてペルシア帝国の支配下に入ってしまう。エフォロイの決定に失望しながら帰宅したレオニダスであったが、王妃ゴルゴの励ましを受け、己が正しいと信じた決断を貫徹することを決意。
翌日、レオニダスは「散歩」と称して300名の親衛隊を率い、ペルシア王クセルクセス率いる100万のペルシア軍を迎撃するべく出立。道中でダクソス率いる援軍と合流し、ペルシア軍による残虐行為の跡を目の当たりにしながら、レオニダスと300の兵士は灼熱の門と呼ばれる峻険な山と海に挟まれた隘路へと進軍する。
灼熱の門に到着したスパルタ軍はペルシア軍迎撃の準備に入る。スパルタ軍は灼熱の門の入り口でファランクスを組み、ペルシア軍の攻撃を正面から受け止めて押し返し、自軍には一人の犠牲者も出さずにペルシア軍を打ち破る。しかし………。
スパルタでは、王妃ゴルゴがレオニダスの帰還を待っていた。そこにただ一人で戻ってきたディリオスから首飾りを渡されたことで、王妃は夫の死を悟る。 その後、ディリオスは評議会でレオニダスと300の兵士の物語を語る。彼が語った物語は、スパルタのみならずギリシア全土を奮起させ、ペルシアとの戦争を決意させるに至る。
物語は、ディリオス率いる1万のスパルタ軍と3万のギリシア軍がペルシア軍に向けて突撃する場面で幕を下ろす。
出演は、スパルタ王レオニダスにジェラルド・バトラー、王妃ゴルゴにレナ・ヘディ、クセルス王にロドリゴ・サントロ。
その他の出演が、ドミニク・ウェスト、デビッド・ウェナム、ヴィンセント・リーガン、マイケル・ファスベンダー、トム・ウィズダム 等々。
史実の映画化ですが、判官びいき気質の日本人にとっては、ピッタリのストーリー。出演男優陣のその筋肉の狂喜乱舞する姿は、男の私が観ていてもカッコ良い。
300 vs 100万という戦いの結果はわかりきっているのだが、『もしかしたら…』を''期待''して観入ってしまう。その''期待''は、300人のスパルタ人兵士達と同じく、レオニダスのカリスマ性に魅せられたからだと思う。兎に角、男たちの筋肉と男臭さを楽しみたい方にはお勧め。
この作品では、「男ではなく漢」の方がしっくり来るかも。
2014年公開の「300(スリーハンドレッド)~帝国の進撃~」を観た。100万ものペルシア軍を相手にたった300人で立ち向かったスパルタの兵士たちの戦いを描いた、2007年公開の「300 スリーハンドレッド」の続編。前作の戦いの前後の物語となっている。
今回の監督はノーム・ルーリ。前作の監督ザック・スナイダーは、今回は脚本と製作を務めている。
本作は性暴力の描写が数シーン含まれているという事で、レンタル店によっては18歳未満禁止のシールも貼られていたらしい。(そうかなぁ~と、思うだけでしたが。)
紀元前480年、迫り来るペルシア軍にギリシア軍が立ち向かったペルシア戦争における最大の戦いと言われるサラミスの海戦が描かれる。今回の物語は灼熱の門で全滅したレオニダス達と同じ時間の別の戦い、エーゲ海での海戦を軸にしている。
100万のペルシア軍にたった300人で挑むも散っていったレオニダス王率いるスパルタの戦士たち。そんな彼らの誇り高き魂を受け継ぎ、アテナイのテミストクレス将軍は、ギリシア連合軍を率いて、ペルシア帝国海軍との戦いに乗り出す。だが、兵士は職業軍人ではなく、パン屋に陶工、詩人といった一般市民たちだった。荒れ狂う海でついに戦いが幕を開ける。ペルシア帝国の海軍指揮官アルテミシアらと拮抗する中、ついに大海原を舞台にした最終決戦を迎えることに。
出演は、テミストクレス将軍にサリバン・ステイブルトン、アルテミシアにエヴァ・グリーン、アエスキロスにハンス・マシソン。
その他、カラン・マルヴェイ、ジャック・オコンネル 等々。また、レナ・ヘディ、ロドリゴ・サントロ、デビッド、ウェナム、アンドリュー・ティアナンは、同じ役で出演している。
第一作のカッコ良さに比べ、やはり2作目は……。当然のように作品は比較してしまうので。前作のように、漢ムンムンだったのと違う、普通の感じになってしまっているような。
主役側を強く見せるには、相手役も強く見えていないと、その効果は出ない。確かに海戦シーンの迫力は有るが、近くによると……。
但しそれは、第一作を観ているからで、それも私の場合続けて観てしまったので、シーンシーンで比較をしてしまっていたからでしょう。
この作品を最初に観ていれば、それなりに満足をしていたとは思います。
1960年公開の「壮烈新選組 幕末の動乱」を観た。原作は白井 喬二。佐々木 康が監督した東映オールスター・キャストの娯楽時代劇。
新選組お馴染みのエピソードとともに、維新前夜に躍動する佐幕・勤王派の群像が浮き彫りに描かれている。
文久二年、勤王志士を制圧するため新徴浪士隊を作った幕府は、これが不評により解散、この幕府の態度を不満とした浪士たちにより、新たに新選組が発足された。江戸試衛館の近藤勇、土方歳三、沖田総司等一派に、水戸浪士芹沢一派が合流。
時代は、京洛には勤皇派を名のる斬込み強盗が横行していた。賊は勤皇の士で長古堂に住む但馬織之助であるとの密告で、新選組は長古堂を襲った。無実を叫ぶ長古堂の娘お香代を後に、織之助は辛うじて逃れた。その日、近藤勇は隊員芹沢が太物問屋太野屋の別邸とその妾お梅を奪ったと聞き、彼をいましめた。しかし芹沢は反省の色なく、大野屋に焼打をかけた。彼を斬った勇は強盗事件も芹沢一味の仕業なのを知った。
一度は引退を決意した勇も会津候に説得されて一層の忠誠を誓った。そんな中、勇のもとに、三条池田屋で桂小五郎等勤皇の士が会合するとの報がもたらされた。
出演は、近藤勇・片岡 千恵蔵、土方歳三・黒川 弥太郎、沖田総司・若山 富三郎、芹沢鴨・山形 勲、桂小五郎・高田 浩吉、松平容保・里見 浩太朗、伊藤甲子太郎・月形 龍之介。
その他、伏見 扇太郎、大友 柳太郎、大川 橋蔵、大川 恵子、花園ひろみ、千原 しのぶ、花柳 小菊、赤木 春恵 等々。
昔の東映オールスター時代劇は、小難しく考えながら観なくてよいので、とりあえず鑑賞後はすっきりする。皆さん若いなぁ~と言いながら観る事も楽しさの一つか。今作は、沖田総司役が若山富三郎さんという、超レアものの作品ではないか。任侠の世界ではない、美少年の富さんが観られる。101分作品だが、問題なく楽しく観られる。
しかしいつも思うのですが、何故、昔の女優さんの方がスター性が有り、美人だと思う人が数多いのでしょうか。今の女優さんは、キャラクター性は強いのですが、美人性のある人が少ないような気がします。
2021年公開「最強の殺し屋伝説 国岡」を観た。監督は「ベイビーわるきゅーれ」「黄龍の村」など、バイオレンス、アクション、ホラージャンルの作品で注目を集める阪元 裕吾。
あるひとりの殺し屋の日常や仕事の様子を描いたフェイクドキュメンタリー。
「ベイビーわるきゅーれ」のシナリオ作りに励んでいた阪本監督は、「関西殺し屋協会」なる殺し屋ビジネスネットワークの存在を知り、協会の紹介で京都最強と呼ばれるフリー契約の殺し屋・国岡昌幸と出会う。
国岡の密着取材で彼と行動をともにする阪元監督は、友人や恋人と過ごす国岡のプライベートや、仕事として殺人の依頼を受け、淡々と対象人物を殺めていく姿を包み隠さずカメラに捉えていく。そんな阪本監督の熱心な密着取材が続く中で、殺し屋と依頼元との連絡ミスが良からぬ事態へと転じていく一幕があった。そのトラブルはやがて肥大化し、国岡は大殺戮を繰り広げることとなる。
主演は、国岡に伊能 昌幸。共演が、上のしおり、吉井 健吾、松本 卓也、でん一徳、申 昇容、海道 力也、藍 海斗、中村 銀次郎、ゆっけ、ゆっけ弟 等々。
フィクションを、ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法を“モキュメンタリー”というらしいが、この作品がそのようだ。モキュメンタリーの意味は疑似。
「ベイビーわるきゅーれ」はそれなりに出演の女の子のコンビが面白くて楽しめたのだが、この作品は開始15分くらいからは、惰性での観賞となってしまった。多分、私の年齢からくる事も有るのだろうが……。
テレビ画面の中でもこのように思ってしまったのだから、「映画館で観る映画ではないだろう。」と………。