2024/6/9…「DeNA8-5ソフトバンク」(横浜スタジアム)観戦記~またも筒香が3ランを! | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~

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少々マニアックな事なども書くと思いますが、お暇な方は読んでやって下さい。

私が横浜スタジアムに、ベイスターズの試合を見に行くと、何故か、筒香が3ランホームランを打ち、そしてベイスターズが勝つ…私は、そう言ってしまいたくなるような心境である。

昨日(2024/6/9)私は、横浜スタジアムに、横浜DeNAベイスターズ福岡ソフトバンクホークス「交流戦」を見に行った。

そして、その結果は、横浜DeNAベイスターズが8-5で福岡ソフトバンクホークスに勝った。

そして、冒頭でも書いた通り、筒香嘉智終盤に3ランホームランを放ち、ベイスターズを勝利に導いた…。

という事で、今回はその試合の「観戦記」を書かせて頂く事としたい。

 

 

なお、この試合は、ベイスターズの新人・石田裕太郎投手がプロ初登板・初先発で、5回1失点と好投し、

石田裕太郎投手が、見事に「プロ初登板・初勝利」を飾っている。

という事で、2024(令和6)年6月9日の、

「DeNA VS ソフトバンク」

の試合の「観戦記」を、ご覧頂こう。

 

<分が悪いソフトバンクに連敗を喫し、絶不調のベイスターズ…>

 

 

現在、プロ野球は、

「セ・パ交流戦」

の季節である。

普段は、セ・リーグとパ・リーグに分かれ、同一リーグ内での対戦を行なっている、プロ野球の各球団は、

「セ・パ交流戦」

の季節になると、普段は対戦が無い、他リーグの球団と試合を行なう。

例えば、ベイスターズであれば、「セ・パ交流戦」の季節は、パ・リーグの6球団と、各3試合ずつ「総当たり」で試合を行なうが、普段は対戦が無い、他リーグとの試合というのは、なかなか新鮮である。

そして、ベイスターズというのは、昔から「交流戦」は大の苦手である。

 

 

ご覧の通り、「交流戦」では、ベイスターズは毎年、パ・リーグ勢に全く歯が立たず、「交流戦」では下位に低迷する事が多い。

そして、横浜DeNAベイスターズの、昨年(2023年)までの「交流戦」の通算成績は、

「168勝229敗11分 勝率.423」

というものであるが、これは「12球団中11位」、つまり12球団の中では「ビリから2番目」である。

このように、ベイスターズは「交流戦」が大の苦手であるが、なおかつ、ベイスターズは「交流戦」での対ソフトバンク戦の通算成績は、

「22勝43敗3分 勝率.338」

と、大きく負け越してしまっている。

要するに、ベイスターズは「交流戦」が苦手な上、ソフトバンク戦は更に苦手中の苦手である。

それに、今年(2024年)の「交流戦」でも、ベイスターズは既にソフトバンクに連敗し、対ソフトバンク戦の通算成績は、

「22勝45敗3分 勝率.328」

となってしまった…。

「ベイスターズは、ソフトバンク戦には分が悪い。いや、分が悪すぎる…」

これが、ベイスターズの置かれた状況である。

 

<2024(令和6)年6月9日…「DeNA VS ソフトバンク」①~生粋の「ハマっ子」石田裕太郎投手が「プロ初登板・初先発」>

 

 

さて、そういう状況で迎えた、2024(令和6)年6月9日の、

「DeNA VS ソフトバンク」

の試合を、私は横浜スタジアムに見に行った。

今回は、去る5月6日、横浜スタジアムでの、

「DeNA VS ヤクルト」

の試合、即ち、筒香嘉智が、ベイスターズ復帰初戦で、劇的な逆転3ランホームランを放った試合を、ご一緒に観戦した、ベイスターズ観戦仲間のDさんと一緒に、ハマスタの一塁側スタンドで見た。

試合前、DeNA・三浦大輔監督と、ソフトバンク・小久保裕紀監督が、両チームのメンバー表を交換していたが、この試合における、両チームの先発メンバーは、下記の通りである。

 

【ソフトバンク】

(中)周東

(遊)今宮

(三)栗原

(一)山川

(左)近藤

(右)柳町

(捕)海野

(二)廣瀬

(投)和田

 

【DeNA】

(中)蛯名

(右)梶原

(一)オースティン

(二)牧

(左)筒香

(捕)山本

(遊)大和

(三)井上

(投)石田裕

 

 

 

…という事であるが、この試合のベイスターズの先発は、新人・石田裕太郎投手である。

石田裕太郎は、この試合が、

「プロ初登板・初先発」

という事であり、つまり、この試合は彼の「デビュー戦」だった。

「相川学園静清高校-中央大学を経て、今年(2024年)ドラフト5位でDeNAに入団…」

私は選手名鑑をめくり、石田の経歴を確認した。

「石田君は、地元・横浜出身で、しかも、ベイスターズのファンクラブに入っていたぐらい、ベイスターズが大好きな少年だったんだよ…」

一緒に見ていたDさんから、そんな「プチ情報」も有った。

「へー、それじゃあ、憧れの球団に入ったって事ですね…」

私も相槌を打った。

つまり、石田裕太郎は、生粋の「ハマっ子」であり、しかも、かつて熱心に応援していた地元球団のベイスターズに入団する事が出来たという、「幸運児」なのであった。

「それじゃあ、石田君のためにも、打線は援護してやらないとね…」

私は呟くように言っていた。

ベイスターズに、それが出来れば、苦労は無いのだが…。

何しろ、ここ最近、ベイスターズは負けが込み、先発投手陣も「総崩れ」で、率直に言って、誠にチーム状態は悪い。

「チーム状態はドン底だし、もはや、新人に投げさせるしかない」

…と、もしかしたら、三浦監督も思っていたのかもしれない。

 

<2024(令和6)年6月9日…「DeNA VS ソフトバンク」②~初登板の石田裕太郎、初回の2死満塁の大ピンチを切り抜ける>

 

 

 

さて、緊張のプロ初登板を迎えていた、石田裕太郎投手の背番号は、

「54」

という事であるが、

「大洋の背番号『54』といえば、昔、大門って居ましたよね…」

私が、隣で見ていたDさんに言うと、

「あー、居たね!!大門ね…」

という返事が返って来た。

今、2人の話に出た通り、かつて、横浜大洋ホエールズに、大門和彦投手という人が居たが、その大門の背番号は「54」だった。

「大門って、広島の外人に死球をぶつけて、大乱闘にならなかった?」

Dさんに聞かれ、私は、

「そうですね、広島のアレンにぶつけて、大乱闘になってました…」

と、答えた。

大門は、1990(平成2)年の「大洋VS広島」の試合で、広島のアレンの背中に死球をぶつけ、それをキッカケに両軍入り乱れての大乱闘になった事が有った。

私達は、それを思い出していた(?)のだが、こんな大昔の「乱闘事件」を思い出していたのは、「ハマスタ」広しと言えど(?)私達ぐらいだったであろう…。

 

 

さて、その石田裕太郎投手であるが、1回表、ソフトバンクの1番・周東佑京、2番・今宮健太を連続三振に打ち取り、簡単に2死を取った後、3番・栗原陵矢、4番・山川穂高に連打を浴び、更に5番・近藤健介にも四球を与え、石田はいきなり初回に「2死満塁」という大ピンチを背負ってしまった。

「石田、頑張れ!!!!」

ハマスタ全体から、石田に向けて大声援が送られたが、この大ピンチで、石田は6番・柳町達を一塁ゴロに打ち取り、何とか初回を無失点で切り抜けた。

「良かった、良かった…」

私もDさんも、とりあえず、ホッと胸を撫で下ろした。

ちなみに、柳町達慶應義塾高校-慶應義塾大学出身という「慶應ボーイ」であった。

 

<2024(令和6)年6月9日…「DeNA VS ソフトバンク」③~1回裏・無死満塁で、DeNAの4番・牧秀悟が、和田毅から満塁ホームランを放ち、DeNAが4点を先取>

 

 

 

さて、この試合のソフトバンクの先発投手は、今年(2024年)でプロ22年目、今年43歳という左腕の大ベテラン、和田毅投手である。

和田毅は、メジャーリーグの経験もあるが、日本プロ野球での通算成績は「158勝87敗」、メジャーリーグでは「5勝5敗」という記録を残しているが、私は和田毅早稲田のエースだった頃、神宮の東京六大学野球で、和田が投げているのを見た事が有った。

それはもう、今から20年以上も前の話だが、法政と対決した和田は、法政打線をバッタバッタと三振に切って取り、法政は和田には全く手も足も出なかった。

本当に冗談ではなく、あの時の法政の各打者は、和田が投げる球に、かすりもしていなかった…。

「凄い投手だ。こういう投手がプロに行くのだろう…」

と、その時、私は思っていたが、その和田が、プロ野球に入ってから20年以上、まだ現役というのが凄い。

和田もまた、

「生きる伝説」

のような存在である。

 

 

 

さて、1回裏、ベイスターズ打線は、その和田に襲いかかり、初回からいきなり「無死満塁」という大チャンスを掴んだ。

そして、ここで打席に入ったのは、4番・牧秀悟である。

牧は、ここ最近、非常に不調であり、全く打てていない。

「牧、大丈夫か…?」

正直言って、この場面では私もDさんも、申し訳無いが、かなり懐疑的な気持ちで(?)牧の打席を見守っていた。

「ここは、何とか外野フライでも良いから、1点を…」

「ソフトバンクの内野陣、もう前に守ってなくて、ゲッツー態勢ですよね。『1点はあげるよ』という守備隊形だから、内野ゴロのゲッツーでも点は入りますよ…」

この時、私とDさんは、そんな会話を交わしていた。

要するに私達は、牧にはあまり期待していなかった…。

「でも、和田は球があまり速くないから、もしかしたら、牧もタイミングは合うかもよ…」

付け加えると、Dさんは、そんな事も言っていた。

 

 

 

 

 

そして、この場面で、とても信じ難い事が起こった。

牧秀悟が、和田毅の投球を捉えると、打球はレフト上空へ高々と舞い上がった。

そして、打球はゆっくり、ゆっくりと放物線を描き、そのままレフトスタンド上段へと飛び込んで行ったのである。

「牧、先制の満塁ホームラン!!!!」

何と、牧秀悟が、レフトスタンドへ満塁ホームランを放ち、ベイスターズが4点を先取した。

その瞬間、ハマスタのベイスターズファンは一斉に「総立ち」になり、大歓声が沸き起こった。

 

 

 

あまりにも大きな、牧の特大の満塁ホームランに、

勿論、私もDさんも大興奮であった。

そして、私達は、周りに居るベイスターズファン達と、誰彼構わずハイタッチして、喜びを分かち合った。

こういう事が、現地での野球観戦の醍醐味である。

「デスターシャ!!」

牧がホームランを打った時の、お馴染みの掛け声に、ベイスターズファン達も応えていた。

「いやー、凄すぎる!!!!」

「まさか、満塁ホームランなんて…」

私もDさんも、とにかくビックリ仰天であった。

 

<2024(令和6)年6月9日…「DeNA VS ソフトバンク」④~筒香の大ファインプレーなど、ベイスターズ野手陣が固い守りで石田を盛り立てる~石田は「5回1失点」の好投で「勝利投手」の権利を得る>

 

 

 

 

さて、初回にベイスターズがいきなり4点も先取した事により、

初登板・初先発の石田にも、俄かに、

「初勝利」

の可能性が出て来た。

そんな石田を盛り立てるように、2回表にビッグ・プレーが飛び出した。

2死2塁の場面で、ソフトバンクの1番・周東が、左中間に鋭い打球を放ったが、

「やられた!!これは1点入った…」

と、私もベイスターズの失点を覚悟した。

しかし、ベイスターズのレフト、筒香が、左中間を破ろうかという打球を、横っ飛びでダイビング・キャッチしたのである。

筒香の超ファインプレーに、ハマスタ全体から地鳴りのような大歓声が起こった。

「先輩、有り難うございました!!!!」

石田は、ピンチを救ってくれた筒香を、最敬礼で出迎えていたが、この後も、ベイスターズの野手陣は固い守りで、石田を盛り立てて行った。

 

 

 

「ベイスターズ、やれば出来るじゃん!!」

「やっぱり、石田の初勝利がかかってるから、今日は違いますね!!」

私とDさんは、顔を見合わせ、そんな会話を交わした。

ともあれ、石田はバックの固い守りにも助けられ、5回1失点という好投を見せ、

「勝利投手」

の権利を持ったまま、マウンドを降りた。

このままベイスターズが逃げ切れば、石田は、

「プロ初登板・初勝利」

である。

「後は、先輩達が、最後までこのリードを守らないと…」

私達は、もはや祈るような心境(?)であった…。

5回を終わって、ベイスターズは初回の牧の満塁ホームランによる4点が効いて、4-1とリードしていた。

 

<2024(令和6)年6月9日…「DeNA VS ソフトバンク」⑤~7回表、5-3とリードした場面で、DeNAの京山将弥が山川穂高を討ち取り、大ピンチを切り抜ける>

 

 

 

さて、試合はその後、6回裏にベイスターズが8番・井上絢登の貴重なタイムリーで1点を追加し、

6回を終わった時点で、ベイスターズが5-1とリードを広げた。

石田裕太郎が降板した後、ベイスターズは、坂本裕哉-徳山壮麿と継投し、必死にリードを守ろうとしたが、

7回表、ベイスターズは一塁手・オースティンのまずい守備などもあり、ソフトバンクに2点を返され、5-3と、ベイスターズのリードは2点に縮まった。

ここで、三浦監督は徳山を諦め、4番手として京山将弥をマウンドに送った。

「京山、頑張れ!!!!」

ベイスターズファンの大歓声に迎えられ、京山は颯爽とマウンドに上った。

 

 

7回表、ベイスターズは5-3と、リードは2点差に縮まっていた。

なおも2死1・3塁と、大ピンチは続き、ここでソフトバンクの4番・山川穂高がゆっくりと打席に向かった。

ここで、山川に一発出れば、忽ちソフトバンクが試合を引っ繰り返し、逆転してしまう…という、重大な局面である。

この大事な場面で、何とも恐ろしい打者に回ってしまった…。

「ここは何とか抑えて欲しい…」

「ここで山川に打たれたら、石田の初勝利が消えてしまう…」

私もDさんも、もはや生きた心地もしなかった(?)が、祈るような気持ちで、マウンド上の京山を見守っていた。

 

 

「京山が抑えるか!?山川が打ち返すか!?」

この試合、最大の山場という場面だったが、

この大ピンチで、京山将弥山川穂高を力でねじ伏せ、山川を捕手へのファールフライに打ち取ったのである。

「よっしゃ!!京山、よくやったぞ!!!!」

ベイスターズファンから、一斉に大歓声が起こった。

強打者・山川に対し、真っ向勝負で立ち向かい、そして討ち取った京山の投球は、誠に見事であった。

 

<2024(令和6)年6月9日…「DeNA VS ソフトバンク」⑥~7回裏1死1・2塁で、筒香がライトスタンドへ3ランホームラン!!~筒香が「通算1,000安打」をホームランで飾る>

 

 

 

さてさて、京山が大ピンチの場面で山川を討ち取った、その裏、

7回裏の攻撃で、ベイスターズは1死1・2塁のチャンスを作った。

そして、この絶好のチャンスで打席に入ったのが、5番・筒香嘉智である。

ハマスタのオーロラビジョンに、筒香の通算成績が映し出されていた。

「通算999安打」

と、そこには映し出されていた。

つまり、筒香はあと1本、ヒットを打てば、

「通算1,000安打」

を達成するという事である。

「筒香が、まだ通算1,000安打に達してないって、何か意外ですね…」

「そうだね。でも、通算ホームランが209本って…。つまり、ヒットの内、5本に1本がホームランというのも凄いね」

私とDさんは、そんな会話を交わした。

「筒香、こないだは、物凄い場面で3ランを打ってくれたから、この場面も…」

私は、そんな期待を込めて、筒香の打席を見守った。

 

 

 

 

 

 

そして、この場面でも、筒香がやってくれた。

筒香は、ソフトバンクの4番手・藤井皓哉の投球を捉え、右中間スタンドへ弾丸ライナーで突き刺さる、3ランホームランを放ったのである。

筒香が打った瞬間、ハマスタ全体から大歓声が起こったが、弾丸ライナーの打球は、まるでロケットのように加速し、そのまま右中間スタンドへと突き刺さった…本当に物凄い打球だった。

「すげー!!!!筒香がまた打った…」

「ここで打つって、本当に凄い!!!!」

私もDさんも、大興奮であり、初回のの満塁ホームランの時と同様、周りに居たベイスターズファン達と、ハイタッチを交わした。

ベイスターズファン達は、まさに「狂喜乱舞」だったが、筒香は、この3ランホームランで、

「通算1,000安打」

を達成した。

「節目の通算1,000安打を、ホームランで飾るなんて…やっぱり筒香は凄い!!!!」

私は心底、そう思ったが、冒頭でも書いた通り、

「私が見に来ると、何故か筒香が3ランホームランを打つ…」

という、謎のジンクス(?)が、ここでも発動されたのであった…。

ともあれ、筒香の3ランにより、ベイスターズは8-3とリードを広げた。

 

<2024(令和6)年6月9日…「DeNA VS ソフトバンク」⑦~ベイスターズが8-5でソフトバンクに勝利!!~9回表、俄かに「土砂降り」となるが、森原康平がソフトバンクの猛反撃を凌ぐ>

 

 

 

さて、その後、8回表に、ベイスターズの5番手・ウィックが、今一つ、ピリっとしない投球で、

8回表、ウィックはソフトバンクに1点を返され、ベイスターズは8-4と4点リードとなった。

そして9回表、ベイスターズは6番手として、抑えの切り札・森原康平をマウンドに送った。

森原は、前日の試合、3-3の同点の9回表にマウンドに上り、ソフトバンク打線に2点を取られ、3-5で敗れていた。

「森原!!昨日の借りを返せよ!!!!」

ベイスターズファンから森原に対し、大声援が送られた。

だが、この時、ハマスタ上空が俄かに書き曇り、一気に雲行きが怪しくなって来た。

「雨雲レーダーを見たら、横浜上空に雨雲が近付いてる。これは、ひと雨来るよ…」

スマホを見ていたDさんが、そう言った途端、ハマスタに雨が降り出した。

 

 

そして、雨脚は一気に強まり、忽ち、

「ゲリラ豪雨」

のような、物凄い土砂降りになってしまった。

「うわ!!これはたまらん…」

とばかりに、観客は一斉に席を立ち、屋内へと「避難」してしまい、超満員だったハマスタの観客席が、一気に「空席」だらけになった。

私もDさんも、こんな事もあろうかと、事前にレインコートを用意していたので、慌ててレインコートを着たが、とにかく物凄い雨だったので、私達もずぶ濡れである。

そんな中、マウンド上の森原は、ソフトバンク打線の最後の反撃に遭い、1点を返され、なおもピンチを背負っていた。

「森原ー!!頑張れー!!もう少しだぞー!!!!」

「森原、勝利は目の前だぞー!!!!」

スタンドに残っていたベイスターズファンから、一斉に、森原に対して大声援が送られた。

ベイスターズの守備中という事もあるが、沢山の人達が屋内に避難してしまったので、ずぶ濡れになりながらスタンドに残っている、少数派(?)の人達から、「鳴り物」無しで、生の声援が送られていた。

そんな声援が、やけにハマスタに響き渡っているのが、とても印象的だった。

「この声援は、きっと森原にも届いているに違いない…」

と、その時、私は確信していた。

 

 

 

その後、森原は何とか踏ん張り、リードを守り切った。

こうして、ベイスターズが8-5でソフトバンクを破った。

ベイスターズの勝利が決まった瞬間、ハマスタ全体から一斉に大歓声が起こったが、

試合が終わった頃から、ようやく雨脚も少し弱まっていた。

そして、勝利を掴み取ったベイスターズの選手達が、スタンド前に整列し、ファンに挨拶すると、また大歓声が起こっていた。

「良かった、良かった!!」

「雨でえらい事になったけど、勝てて良かった!!!!」

私とDさんも、ずぶ濡れになりながらも、試合の最後まで見届け、そしてベイスターズが勝ってくれたので、心底ホッとしていた。

 

 

 

 

試合後のヒーローインタビューには、

初回に満塁ホームランを放った牧秀悟と、見事に、

「プロ初登板・初勝利」

を挙げた、石田裕太郎が呼ばれていた。

「中央大学の後輩の石田のために、打てて良かったです…」

牧は、ホッとしたような表情を浮かべていた。

そう、牧秀悟・石田裕太郎は、中央大学の先輩・後輩という間柄なのであった。

「守備でも助けてくれて…。本当に、先輩は頼もしかったです…」

石田はそう言っていたが、この日の牧は、二塁の守備でも素晴らしいプレーを連発し、石田を盛り立てていた。

「今日は、お母さんが見に来ているので…。ウィニング・ボールは、お母さんに渡したいと思います…」

見事なデビューを飾った石田は、そんな初々しいインタビューの受け答えをして、ファンを沸かせていた。

石田にとっては、これ以上ない「親孝行」であった。

…という事で、またしても、私はハマスタで見た試合で、

「筒香が3ランホームランを打ち、ベイスターズが勝った」

…という結果になったが、この試合に関しては、ベイスターズのチーム全体で、

「石田を勝たせたい!!」

という気持ちで結束し、それが、このような結果に繋がったのではないか…と私は思っている。

ともあれ、またしても、このような素晴らしい試合を見る事が出来て、私は大満足で家路に着いたのであった…。