本日(2023/6/25)私が大好きなサザンオールスターズが、めでたく「デビュー45周年」を迎えた。
そして、「デビュー45周年」記念日である本日(2023/6/25)、今年(2023年)のサザンは、4年振りの新曲リリースや、10年振りの「茅ヶ崎ライブ」が開催されるという、大きなニュースも発表された。
サザンファンとしては、大変嬉しいニュースである。
ところで、私はこのブログで、サザンを題材にした記事を色々と書いて来ているが、
サザンの楽曲の歌詞を元にした「サザン小説」を、これまで「10本」書いて来た。
その内訳は、下記の通りである。
①『死体置場でロマンスを』(1985)
②『メリケン情緒は涙のカラー』(1984)
③『マチルダBABY』(1983)
④『Ya Ya(あの時代(とき)を忘れない)』(1982)
⑤『私はピアノ』(1980)
⑥『夢に消えたジュリア』(2004)
⑦『栞(しおり)のテーマ』(1981)
⑧『そんなヒロシに騙されて』(1983)
⑨『真夜中のダンディー』(1993)
⑩『彩 ~Aja~』(2004)
その「サザン小説」シリーズの中で、
「サザンっぽい、架空の学生バンド」である、「ベターデイズ」の物語を、いくつか書いて来たが、
今回は、サザンの「デビュー45周年」を記念し、「ベターデイズ」の物語の「続編」を書かせて頂きたい。
という事で、まずは「ベターデイズ」の物語の、これまでの「あらすじ」を、ご紹介させて頂く。
(2023/1/29)【サザンの楽曲「勝手に小説化」④】『Ya Ya(あの時代(とき)を忘れない』(原案:桑田佳祐)
【サザンの楽曲「勝手に小説化」④】「Ya Ya(あの時代(とき)を忘れない)」(原案:桑田佳祐) | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~ (ameblo.jp)
【あらすじ】語り手の「私」は青山学院大学の学生。「私」は青学で知り合った音楽サークルの仲間達と共に、「ベターデイズ」という学生バンドを結成した。当初、「私」はバンドのボーカルを務めていた。しかし、「私」は自らのボーカルとしての能力に限界を感じていた。そんなある日の事、バンドでギターを担当しているタカシが、ユウコという女の子を連れて来た。ユウコは抜群に歌が上手い女の子であり、「私」はすぐさま、ユウコをバンドのボーカルに据えた。ユウコは忽ち、「ベターデイズ」のスーパーボーカルとして大活躍するようになったが…?
(2023/2/1)【サザンの楽曲「勝手に小説化」⑤】『私はピアノ~ユウコの青春物語』(原案:桑田佳祐)
【サザンの楽曲「勝手に小説化」⑤】「私はピアノ ~ユウコの青春物語」(原案:桑田佳祐) | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~ (ameblo.jp)
【あらすじ】青山学院大学の学生バンド「ベターデイズ」の前に、突如として現れたスーパーボーカル・ユウコ。実は、そのユウコは、なかなか他人と打ち解ける事が出来ない女の子だった。だが、憧れの山口百恵の影響を受け、「歌」に目覚めたユウコは、徐々にボーカルとしての才能を開花させて行く。そして、「ベターデイズ」のボーカルを務める事となったユウコだが…?
(2023/2/26)【サザンの楽曲「勝手に小説化」⑧】『そんなヒロシに騙されて』(原案:桑田佳祐)
【サザンの楽曲「勝手に小説化⑧】『そんなヒロシに騙されて』(原案:桑田佳祐) | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~ (ameblo.jp)
【あらすじ】私(ヨーコ)は、横須賀に住む女の子。子供の頃から「はみだし者」だった私(ヨーコ)は、不良の吹き溜まりのような高校に進み、悪い仲間達と毎晩、遊び歩いていた。そんなある日の事、私(ヨーコ)は地元・横須賀のディスコで「ヒロシ」という不思議な男の子と出逢った。私(ヨーコ)は、「ヒロシ」に惹かれ、夢中になってしまったのだが…?
…という事であるが、
私が描く「ベターデイズ」という学生バンドは、楽曲を作る「私」という男子学生を中心としたバンドに、
スーパーボーカルのユウコを迎え、快進撃を続けるが、「プロ・デビュー」を巡る考え方の違いも有って、メンバー間に亀裂が入ってしまった…という所までを描いている。
そして、今回はその「続編」として、1982(昭和57)年のサザンオールスターズのアルバム『ヌード・マン』から、
『PLASTIC SUPER STAR』という楽曲を題材にして、書かせて頂く事としたい。
この曲は、サザンを輩出した青山学院大学の音楽サークル「ベターデイズ」が、サザンが演奏する後ろで「応援」するという「スタジオ・ライブ」形式でレコーディングされており、大変盛り上がる楽曲である。
それでは、前置きはそれぐらいにして、「サザンの楽曲・勝手に小説化」シリーズの「第11弾」、
『PLASTIC SUPER STAR』(原案:桑田佳祐)を、ご覧頂こう。
<第1章・「天才」>
ベーシストは、バンド全体を「俯瞰」で見渡せる立ち位置である。
僕は今、あるバンドでベースを弾いているが、このバンドの成り立ちから今に至るまでの様々な出来事を、僕はベーシストとして、常に一歩引いた位置から見て来た。
そんな僕から見て、このバンドはとても素晴らしいメンバーが揃っていると思っている。
僕は普段はメンバー達にはあまり面と向かっては言っていないが、このバンドが大好きだ。
僕達のバンドは、青山学院大学で出逢った音楽仲間達で結成された。
「おい、一緒にバンドやろうぜ」
大学に入ったばかりの頃、僕は仲間を募ってバンドをやりたいと思っていたが、
音楽サークルに入ったものの、生来の「無口」である僕は、自分から他の人達に積極的に声を掛ける事は出来なかった。
そんな僕に、まず最初に声を掛けて来てくれたのが、「彼」だった。
「お前、ベース弾けるんだって?今、ベース弾ける奴を探してるんだ」
「彼」はそう言って、僕に声を掛けて来たのだが、初対面から、僕と「彼」は妙に馬が合っていた。
まず、僕達は音楽の趣味が合っていたので、色々と話が弾んでいたのである。
「うん、ベース弾けるよ。実は僕も、一緒にバンドやりたいと思ってたんだ」
僕は「彼」に対し、思わずそう答えてしまった。
どちらかと言えば、引っ込み思案だった僕が、ついそんな事を言ってしまうほど、僕は「彼」と気が合っていた。
「そうか!じゃあ今度、一緒に練習をやろう!!」
「彼」は、とても嬉しそうな様子だった。
ちなみに、僕から見ると、「彼」は見た目はちょっと変というか、
今にして思えば「ロックンローラー」を気取っていたような所も有ったが、それも「彼」の個性を良く表していた。
それはともかく、僕と「彼」はバンドを組む事になり、早速スタジオを借りて、一緒に練習する事になった。
それから数日後、僕達は大学の近くの貸しスタジオで、バンドの練習をした。
メンバーは僕と「彼」、そして、僕達と同じく青山学院の1年生で、「ギター小僧」のタカシ、ドラマーのヒロシである。
いずれも、「彼」が声を掛けて集めたメンバー達である。
「俺、自分で曲を作ってるんだけどさ。ちょっと聴いてくんない?」
練習を始める前に、まずは「彼」がピアノを弾いて、自作の曲を披露した。
それが、あまりにも素晴らしく、僕達は仰天してしまった。
「凄い…」
僕は本当に圧倒されてしまった。
これが、本当に僕と同い年の奴とは、俄かには信じ難かったが、
「世の中に、天才って居るんだな…」
と、僕は思ったものである。
僕は「彼」の才能に、心から感服した。
こうして、天才作曲家の「彼」を中心として、僕達のバンド活動は始まった。
<第2章・「ロックンロールの夢」>
僕達のバンドは、基本スタイルとしては、「彼」が曲を作って来て、
それを僕達みんなでアレンジをして演奏するという物だった。
「彼」が作る曲は、メロディーラインも素晴らしいのだが、どんなアレンジにも合う印象が有った。
でも、一番合っているのは、やっぱり「ロックンロール」としてのアレンジの曲だった。
「俺達、やっぱりロックンロールをやりたいよな」
それが、僕達の共通認識になっていたが、
「どうせなら、とにかくカッコイイ曲を作ろう!!」
という事で、僕達は、まるで「ロックスター」にでもなったつもりで、カッコいい曲作り、カッコいい演奏を、ひたすら目指した。
そして、演奏がバッチリ決まった時は、物凄いアドレナリンが出るのである。
僕は普段は「無口」だから、他のメンバー達からは、あまりそうは思われていなかったかもしれないが、僕は、このバンド仲間達と一緒に演奏していると、本当に気分が昂揚していた。
「やっぱり、バンドって楽しいな…」
僕は、そう思っていた。
やはり、ロックンロールには「夢」が有る。
僕は、それを確信していた。
<第3章・「最強ボーカリスト登場」>
僕達のバンドの演奏技術は、日に日に向上して行った。
僕も、バンド仲間達と一緒に演奏している時が一番楽しかったが、
それに反比例するかのように、「彼」が憂鬱そうな表情になって行く事に、僕は気が付いていた。
「俺、ボーカルには向いてないんだよな…」
ある時、「彼」がポツリと、そんな事を言ったいた。
僕から見ると、「彼」の歌はそんなに悪くはなく、アマチュア・バンドのボーカルとしては、大したものであると僕個人としては思っていた。
でも、完璧主義者で向上心が強い「彼」は、
「こんなボーカルでは、俺達のバンドは頭打ちだ」
と思い、それに悩んでいたようだ。
その頃、「彼」とタカシが、何事がヒソヒソと話し合っている姿をよく見たが、どうやら、バンドの今後について、色々と話し合っていたらしい。
そんなある日の事。
僕達のバンドに、大きな転機が有った。
ギターのタカシが、1人の女の子を、僕達のバンド練習に連れて来た。
そして、タカシはこんな事を言った。
「この子は、俺のバイト先で知り合った子で、凄く歌が上手いんだよ。良かったら、一度聴いてみてくれない?」
僕達は、顔を見合わせたが、タカシがあまりにも自信満々の表情だった事もあり、その女の子に、歌ってもらう事になった。
そして、僕達のレパートリーの1つだった、山口百恵の『ロックンロール・ウィドウ』を演奏し、その女の子が歌ったところ、
これが本当にビックリするぐらい、メチャクチャ歌が上手かった。
彼女が歌い終わった時、僕達は彼女に圧倒され、呆然としてしまっていた。
その女の子は、どうやら山口百恵の事が好きらしく、
歌っている間、彼女は完全に山口百恵になり切って歌っているように思われた。
最初に見た時、どちらかと言えば大人しそうな子かなと思っていたが、歌い始めた途端、彼女は何かに憑かれたように豹変し、歌の主人公になり切っていたのだった。
「ねえ、君さえ良かったら、このバンドでボーカルをやってくれない!?」
「彼」は興奮した様子で、思わず、彼女に言っていたが、
「ユウコ」という名前を名乗った彼女も、とても嬉しそうな様子で、その申し出を承諾した。
こうして、僕達のバンドに、最強ボーカリストのユウコが加わった。
そして、ユウコが加わった事により、僕達のバンドを巡る状況も一変して行った。
<第4章・「ユウコの季節」>
僕から見たユウコは、凄く根性が有った。
ユウコの見た目は、ちょっとギャルっぽい出で立ちなのだが、普段は大人しく、どちらかと言えば物静かな印象だった。
でも、ユウコはとても芯の強い子であり、バンドの練習には欠かさず来て、そして歌唱力もますます向上して行った。
「ボーカルとして迎えられた以上、頑張らないと!!」
ユウコは、自分でそう決めているようだった。
僕達は、毎日、遅くまで練習をしていたが、最強ボーカリストのユウコが加わった事もあり、バンドとしての「形」が整ったので、練習にも力が入って行った。
バンドリーダーの「彼」が、どんどん曲を作り、その曲をユウコが完璧に歌いこなして行くというパターンも確立した。
「この2人は、出逢うべくして出逢ったんだな…」
僕は、そんな事を思っていた。
それぐらい、「彼」とユウコのコンビネーションは完璧だった。
ユウコが加わった後、僕達のバンドは、
「ベターデイズ」
と名乗り、音楽サークルの定期演奏会や、小さなライブハウスなどで演奏する機会も増えて行った。
そして、ステージに立つ度に、お客さんも少しずつ増えて行ったが、
ユウコが好きな山口百恵の楽曲と、「彼」が作ったオリジナル曲を織り交ぜたライブは、アマチュア・バンドにしては大変中身が濃く、
「何だか、凄いバンドが出て来た」
という評判が、少しずつ高まっていた。
「カズユキ君、私、本当は上がり症なんだ…」
ある時、ユウコは僕に、コッソリとそんな打ち明け話をした。
ユウコは、本当は極度の上がり症であり、ステージに立つ時は、毎回、怖くて仕方が無いという。
でも、一度ステージに立つと、ユウコにはスイッチが入り、「スーパーボーカル」に変身するのだった。
「でも、カズユキ君の顔を見ると、何か落ち着くんだよね」
ユウコは僕に対し、そんな事を言ったが、ステージに立ち、ライブが始まる前、ユウコは必ずバンドのメンバー達の顔を見渡す。
僕とユウコの目が合い、僕がユウコに対して頷くと、彼女も頷き返す。
いつしか、それがルーティーンのようになったが、そうするとユウコはスッと落ち着くようである。
そして、集まったお客さんに対し、ユウコはニッコリ笑うと、
「皆さん、ベターデイズのライブを見に来てくれて、有り難う!!」
と笑顔で挨拶し、それから演奏が始まる。
一度、演奏が始まると、あとはユウコの独壇場で、ユウコの世界にお客さんを惹き込んでしまうのである。
「ユウコって、お客さんが沢山見に来ると、燃えるんだよな…」
ユウコは上がり症と言っていたが、ユウコはお客さんが沢山来ると気合いが入るという事を、僕は知っていた。
だから、そんなユウコの様子を見て、僕は密かに下を向き、思わず(ニヒルに?)僕はニヤッと笑ってしまうのであった。
<第5章・「分裂」>
僕達「ベターデイズ」に、ユウコが加わった年の冬、
僕達は「大舞台」に立つ事になった。
「ベターデイズ」は、数々のプロのバンドの「登龍門」となっていた、大きなライブハウスのステージに立つ事になったのである。
その頃、「ベターデイズ」は、アマチュア・バンドとしては異例とも言える人気を得ており、
遂には、こんな大きな舞台に立つまでになっていた。
そして、驚いた事に、ライブハウスの客席は超満員になっていた。
「どうしよう…。私、こんなに沢山のお客さんの前で歌った事なんて無いから」
ライブの前、ユウコは青い顔をしていたが、「彼」はそんなユウコの事を励まし、元気付けていた。
だが、僕は何の心配もしていなかった。
「大丈夫、ユウコはお客さんが沢山居れば居るほど、スーパースターに変身するから…」
僕は、いつものようにユウコは、お客さん達を魅了するだろうという事は、わかっていた。
そして、僕が思った通り、ユウコはいつも以上に、素晴らしい歌いっぷりで、観客を熱狂させ、ライブは大成功に終わった。
ライブが終わった後、僕達は皆、抱き合って喜んだ。
だが、その日を境に「ベターデイズ」の絆に亀裂が入ってしまったのである。
それは、今後の「ベターデイズ」の活動方針を巡る「対立」だった。
簡単に言えば、ギターのタカシは、
「このままの勢いに乗って、プロを目指す」
という考えを持っており、
バンドリーダーの「彼」は、
「プロを目指すなんて、そんな甘い物じゃない」
という意見だった。
そもそも、タカシはちょっと「お調子者」の所が有り、ライブも佳境になると、
「みんな、乗ってるかい!?」
などと言って、タカシはユウコと一緒にノリノリになって、お客さんを煽ったりしていた。
それはそれで、バンドの「売り」の一つでもあり、お客さんも盛り上がるので良かったのだが、
そんないつものノリで、
「俺達、プロを目指しちゃおうぜ!!」
という事を言い出したタカシの事を、「彼」は少し疎ましく思っているように思われた。
ユウコはといえば、「彼」とタカシの「板挟み」に遭い、心底、困り果てているようだった。
そもそも、元々はユウコはタカシの友達であり、
僕達のバンドにユウコを連れて来たのは、タカシだった。
そして、ユウコのお陰で「ベターデイズ」というバンドは一気に活性化して行った事は確かだが、
それは、「彼」が作った曲をユウコが歌うという「黄金パターン」が確立して行ったからである。
そして、本人達は内緒にしているつもりかもしれないが、「彼」とユウコが「恋人同士」になっているのは、もはや公然の事実であった。
タカシは、根が良い奴だから、その事については何も言わなかったが、もしかしたら、色々と思う所は有ったのかもしれない。
ともかく、「彼」とタカシの「対立」により、「ベターデイズ」は分裂してしまい、事実上の「活動休止」に追い込まれてしまった。
「カズユキ君、ごめんね、こんな事になって…」
ユウコは、とても悲しそうな顔をしていたが、彼女も、どうしたら良いか、わからないといった表情だった。
「余談」だが、その頃、ドラムのヒロシも、
「どうやら、昔の女と、何か揉めてるらしい」
という「噂」が有り、暫く「雲隠れ」するようになった。
そして、「ベターデイズ」の「核」だった「彼」とユウコの関係も、どうやら悪化してしまったらしい。
こうして、あれほど固い結束を誇っていた「ベターデイズ」は、すっかりバラバラになってしまった。
つくづく、バンドを続けて行くのは難しい物だと、僕は痛感していた。
<第6章・「再生」>
だが、事態は思わぬ方向から解決した。
ユウコやタカシのバイト先の同僚で、ヒデユキさんなる怪しい人物(?)が居り、
そのヒデユキさんは、「ベターデイズ」のメンバー達とも交流が有ったのだが、
そのヒデユキさんの仲介により、僕達は「仲直り」をしたのである。
「カズユキ、話が有るんだ。ちょっと会わないか?」
「彼」から久々に連絡が有り、まず僕と「彼」が会ったが、「彼」は、
「俺も、意地を張って悪かった。みんなに謝りたいんだ…」
という事を言った。
「みんなさえ良ければ、また一緒にバンドをやりたいんだ。お前は、どう思う?」
「彼」はそう言ったが、勿論、僕に異存は無かった。
どうやら、「彼」はヒデユキさんとも相談し、
「君がまたバンドをやりたいっていうなら、俺が仲介してやる」
と、ヒデユキさんに言ってもらったようだ。
こうして、青山学院大学の音楽サークルの「部室」に、久々に僕達は集まった。
まず、僕と「彼」が部室に入ったが、程なくして、ヒデユキさんと共に、ユウコとタカシが姿を現した。
心なしか、2人とも硬い表情をしていた。
そして、どうやら「昔の女」との揉め事も解決したらしい(?)ヒロシもやって来た。
「みんな、色々と悪かった…」
みんなが集まった所で、「彼」が頭を下げた。
「あれから色々考えたけど、やっぱり俺はみんなと一緒にバンドをやりたいんだ」
「彼」はそう言って、皆の顔を見渡した。
そして、「彼」はこんな事を言った。
「ベターデイズのみんなと過ごした日々の事を思って、曲を作ったんだ。聴いてくれないか?」
そう言って、「彼」はギターを弾きながら、歌い始めた。
それは『Ya Ya(あの時代(とき)を忘れない』というタイトルの曲だったが、
その曲には、「彼」の思いや、「ベターデイズ」が如何に大切な仲間であるかという気持ちが込められていた。
ユウコは、その曲を聴き涙を流していた。
そして、タカシもヒロシも、胸がいっぱいの様子だった。
勿論、僕もそうだった。
「お前、やっぱり凄いよ…」
タカシは、「彼」が作った曲の素晴らしさに、感に堪えないといった様子だった。
「有り難う」
「彼」はタカシの感想に対し、素直に礼を言っていた。
「こんな事を俺が言うのも、虫が良すぎるかもしれないけど、俺はやっぱりみんなとバンドやりたいんだよ。また一緒にやろう!!」
「彼」は改めて、皆に気持ちを伝えた。
「うん、いいよ」
「お前がそう言うなら、やろうぜ!!」
ユウコ、タカシ、ヒロシ達も、そう答えた。
「よし、決まったな!!やっぱり楽しけりゃいいじゃん!!サイコーいいじゃん!!」
僕達を「仲介」してくれたヒデユキさんが、ニコニコしながら、そんな風にワケがわからない事を言ったので、僕達は全員、噴き出してしまった。
こうして、僕達「ベターデイズ」は再び活動を再開する事になった。
「ところでヒデユキさん、何か楽器出来る?良かったらバンド入らない?」
「彼」がそんな事を言うと、ヒデユキさんは、
「俺か?俺は実は、パーカッションのセミプロなんだ。まあ、どうしてもっていうなら、入ってやっても良いよ」
と、ちょっと上から目線(?)で答えた。
こうして、僕達「ベターデイズ」は、ヒデユキさんも加えた6人のメンバー達で「再生」した。
<終章・『PLASTIC SUPER STAR』>
「みんな、逢いたかったよ!!」
僕達「ベターデイズ」の久々のライブには、沢山のお客さんが集まっていた。
ライブが始まる前、沢山のお客さんに向かって、ユウコが挨拶すると、大きな歓声が上がった。
色々な事が有ったけど、こうしてまた仲間達と共にライブのステージに立ち、僕はとても幸せだった。
そして、「彼」がまた、新たな曲を作って来た。
「ベターデイズ」の活動再開の1曲目に、これほど相応しい曲は無かった。
「それじゃあ、まずは私達の新曲を聴いて下さい。タイトルは、『PLASTIC SUPER STAR』です…。みんな、盛り上がってね!!」
ユウコが、いつも以上に気合いを入れて、観客を煽っていた。
そして、僕達「ベターデイズ」の新曲『PLASTIC SUPER STAR』のイントロが始まると、ライブ会場は物凄い盛り上がりになった。
ユウコが、いつものように僕の方を振り返る。
ユウコが僕に向かって頷くと、僕も頷き返した。
ユウコはニッコリ笑うと、観客の方に向き直った。
そして、今日もユウコには「歌の女神様」が降りて来ていた。
ユウコは勢い良く、『PLASTIC SUPER STAR』を歌い始めた…。
『PLASTIC SUPER STAR(LIVE IN BETTER DAYS)』
作詞・作曲:桑田佳祐
唄:サザンオールスターズ
①Baby I Don't Mind
見た目は妙な Dirty Man
Maybe I'm A Crazy(くりかえし)
何言わりょうといいよ
Rock'n Rollに ちょいと夢見る Super Man
その気になりゃ身体も Rocket Machine
Baby I Don't Mind(くりかえし)
みんな サイコー ヨロシウ
②I Don't Understand(くりかえし)
ちょいと兄さん 変な Muzac, Do Not Play
What You Wanna Say?(くりかえし)
もたれるような Rhytum
客陣の前の前の涙で Super
うつむきニヒルにきめ You're Very Fine
I Don't Understand(くりかえし)
ほんとう あいすいません
※I Don't Want To Be A Hero
It's AlRight
I Don't Mind…
I'm A Dirty Rockn'n Roller
That's O.K.
今宵も乗ってこうよ Ride On!
客陣がぎょうさん見にくりゃ Super Star
女々しく気取るつもりの Photograph
おもろくないじゃん おもろくない
そんな Super Star ぎょうさん
①※くりかえし
どうのこうの言うばかりの Super Star
みだらになりきれない不感症 Woman
It's Only Rockn'n Roll(くりかえし)
アンタ Plastic Super Star(くりかえし)
楽しきゃいいじゃん
サイコーいいじゃん
Do You Know Who Is Such A Fool
Super Star?