2021/11/24…「ヤクルトVSオリックス」日本シリーズ④ ~白熱の第4戦の攻防~ | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~

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少々マニアックな事なども書くと思いますが、お暇な方は読んでやって下さい。

連日、凄まじい激闘の連続で、日本全国のプロ野球ファンを熱狂させている、

今年(2021年)の「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズであるが、現在、このブログでは第3戦の模様まで、ご紹介させて頂いている。

第1戦はオリックスが逆転サヨナラ勝ちで先勝、第2~3戦はヤクルトが連勝し、ヤクルトの2勝1敗で、第4戦を迎えた。

 

 

という事で、今回は「ヤクルトVSオリックス」の第4戦について、書かせて頂きたい。

第4戦も、それまでの3試合に引き続き、1点を争う好ゲームとなった。

それでは、ご覧頂こう。

 

<2021(令和3)年11月24日…「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第4戦①~ヤクルト・石川雅規、オリックス・山崎颯一郎が先発>

 

 

 

 

2021(令和3)年11月24日、東京ドームで、「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第3戦が行われた。

という事で、まずは両チームの先発メンバーを、ご紹介させて頂く。

 

【オリックス】

(中)福田周平

(三)宗佑磨

(左)吉田正尚

(右)杉本裕太郎

(一)T-岡田

(二)安達了一

(遊)紅林弘太郎

(捕)若月健矢

(投)山崎颯一郎

 

【ヤクルト】

(中)塩見泰隆

(左)青木宣親

(二)山田哲人

(三)村上宗隆

(右)サンタナ

(捕)中村悠平

(一)オスナ

(遊)西浦直亨

(投)石川雅規

 

オリックスは、T-岡田が第1戦以来の先発出場を果たした。

T-岡田は、東京ドームに来て以降では、初めてのスタメンである。

オリックス・中嶋監督としては、連敗の流れを変えるためにも、ベテラン・T-岡田の力に期待したという事であろう。

一方、ヤクルトは第1戦以来の不動のオーダーで臨んだ。

 

 

 

ヤクルトの先発は、41歳10ヶ月の大ベテラン、「小さな大投手」石川雅規である。

石川は、今年(2021年)、「17試合 4勝5敗 防御率3.07」という成績を残している。

一方、オリックスの先発は、23歳の若武者・山崎颯一郎で(やまざき・そういちろう)ある。

山崎は、一度、戦力外通告を受け、育成選手に降格になった後、育成から這い上がり、

今年(2021年)プロ初勝利を挙げ、「9試合 2勝2敗 防御率3.69」という成績を残した。

中嶋監督は、一度、地獄を見た男に、第4戦の先発マウンドを託した。

という事で、41歳の石川雅規と、23歳の山崎颯一郎の両先発で、試合は始まった。

 

<2021(令和3)年11月24日…「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第4戦②~2回裏、サンタナの先制ホームランで、ヤクルトが1-0とリード>

 

 

1回の表裏は、石川雅規、山崎颯一郎が無難に抑え、両チーム無得点に終わった。

2回表もオリックスは無得点に抑え、2回裏のヤクルトの攻撃は、5番・サンタナから始まった。

サンタナは、前日(11/23)の第3戦に、決勝の逆転2ランホームランを放ち、ヤクルト勝利の立役者となった。

 

 

 

 

なお、サンタナといえば、2019(平成31)年3月、当時、シアトル・マリナーズの一員として在籍しており、

シアトル・マリナーズとオークランド・アスレチックスが対決し、東京ドームで開催された、メジャーリーグ(MLB)開幕戦シリーズ(2連戦)に出場している。

この時は、イチローの引退試合として、多くのファンの記憶に残っているが、サンタナは東京ドームのライトスタンドに逆転満塁ホームランを放ち、日本のファンに「挨拶代わり」の一発を披露している。

 

 

 

 

 

 

 

そのサンタナが、「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第4戦の2回裏の第1打席でも、

オリックス・山崎颯一郎から、ライトスタンドへ先制ホームランを放った。

前述の通り、サンタナは、前日(11/23)の第3戦でも逆転2ランホームランを放ったが、その時もライトスタンドへ叩き込んでおり、

2試合連続(2試合に跨り、2打席連続)で、サンタナは東京ドームのライトスタンドへ、ホームランを放った。

サンタナは、右打者でありながら、ライト方向へも長打が打てる選手であり、日本シリーズという大舞台でも、その特徴が遺憾なく発揮された。

 

 

 

 

 

 

サンタナ先制ホームランにより、ヤクルトが1-0と1点を先取し、

サンタナはベース一周すると、歓喜のヤクルトベンチに迎えられた。

一方、サンタナに痛恨の一発を浴びてしまった山崎颯一郎は、マウンド上で表情は変えなかったが、

内心は「しまった!」と思っていたに違いない。

ともあれ、ヤクルトがまたしても先取点を奪ったが、日本シリーズ4試合の内、3試合はヤクルトが先取点を取っている。

ここまでは、シリーズ全体として見れば、ヤクルトが優位に試合を進めているという事が言えそうである。

 

<2021(令和3)年11月24日…「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第4戦③~ヤクルト・石川雅規、オリックスを5回まで無失点に封じる~山崎颯一郎も5回1失点と好投し、ヤクルト1-0のリードで5回を終了>

 

 

一方、ヤクルト先発・石川雅規は、完璧な投球を見せた。

石川は、初回に宗佑磨にヒットを打たれて以降、オリックス打線に全くヒットを打たれず、

抜群のコントロールと、巧みな投球術で、オリックス打線に的を絞らせなかった。

まさに、大ベテランならではの、芸術的な投球であると言えよう。

 

 

石川は、5回までオリックス打線を1安打無失点に封じた。

流石は「小さな大投手」の面目躍如であるが、オリックスとしては「打てそうで打てない」石川の投球の、術中に嵌っているように見えた。

何しろ、オリックス打線は、石川の前に淡白に凡打を繰り返すばかりであり、攻撃時間も異様に短かった。

というわけで、試合は早いテンポで5回表を終わり、依然としてヤクルトが1-0と1点をリードしていた。

 

 

一方、オリックスの先発・山崎颯一郎も、サンタナに一発を浴びたとはいえ、

それ以外は、ヤクルト打線にヒットは打たれるものの、要所を締める投球を見せ、

ヤクルト打線を5回4安打1失点に抑える、堂々たるピッチングを披露した。

ベテラン・石川を向こうに回し、山崎颯一郎も、石川に引けを取らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

5回裏2死1塁から、ヤクルトの一塁ランナー・塩見泰隆が二塁への盗塁を試みたが、

オリックスの捕手・若月健矢が、その強肩で、二塁に矢のような送球を見せ、塩見の盗塁を阻止して、アウトに仕留めた。

山崎颯一郎-若月健矢のバッテリーは、お互いに協力しながら、サンタナのホームラン以外にはヤクルトに得点を許さず、

試合は、5回裏を終わって、1-0と、ヤクルトが僅か1点のリードのままである。

 

<2021(令和3)年11月24日…「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第4戦④~6回表2死1塁、宗佑麿のライト前ヒットで、ライト・サンタナの緩慢な守備の隙を付き、一塁ランナー・福田周平が一挙にホームインし、オリックスが1-1の同点に追い付く>

 

 

 

 

 

 

6回表、0-1と1点ビハインドのオリックスは、石川の前に、アッサリと2アウトを取られてしまったが、

2死ランナー無しで打席に立った、1番・福田周平は、「3-2」(3ボール・2ストライク)のフルカウントまで粘った後、石川の投球を捉え、レフト前ヒットを放ち、一塁へ出塁を果たした。

オリックスは、初回の宗佑磨以来、久し振りのヒットである。

俊足の福田が出塁したオリックスとしては、この貴重なランナーを活かしたいところであった。

 

 

 

6回表2死1塁で、打席には2番・宗佑磨が入った。

宗は、このシリーズ、何かと目立つ事が多い選手であるが、

私としても、宗の積極的なバッティングが、いつも「何か」を起こしているという印象を受けている。

 

 

 

 

 

宗のボールカウントは、「3-2」(3ボール・2ストライク)の、フルカウントになった。

そして、フルカウントからの6球目、石川が投じた球に、宗佑磨が鋭くバットを振り抜き、その投球を捉えると、打球は一・二塁間を破る、ライト前ヒットになった。

2死1塁で、ボールカウント「3-2」なので、一塁ランナー・福田は、石川が投げたと同時に、スタートを切っている。

そして、宗がヒットを打ったので、福田は二塁を回って、一気に三塁へと向かった。

「これで、2アウト1・3塁と、オリックスのチャンスが広がった」

テレビで見ていた私も、そう思っていた。

 

 

 

 

ところが、ここで信じられない事が起こった。

宗のライト前ヒットに対し、妙に緩慢な動きで、ライトのサンタナが、歩くような速度で前進して来たのだが、

宗のヒットは、サンタナが思っていたよりも強烈な当たりだったのか、サンタナがこのボールを弾いてしまった。

ボールを弾いたサンタナは、慌てた様子を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弾いてしまったボールを拾い上げたサンタナは、慌てて、二塁の方向へと返球した。

しかし、ここでテレビ中継の実況アナウンサーが、

「一塁ランナー・福田が、もう三塁を回っている!!」

と、絶叫した。

一塁ランナー・福田は、宗のライト前ヒットが出た時点で、既に二塁を周り、三塁へと向かっていたが、

ライト・サンタナの緩慢な動きを見て、福田周平その隙を付き、そのままスピードを落とさずに三塁も回って、一気にホームまで帰って来たのである。

オリックスは、福田の好走塁によって、1点をもぎ取り、1-1の同点に追い付いた。

石川は、何とも言えない表情を見せ、サンタナ「やってしまった…」という顔をしていた。

1-1の同点に追い付き、オリックスの選手達は活気付いた。

 

 

 

 

「それにしても、何故、福田が三塁を回っているのに、サンタナは二塁へボールを返してしまったのか?」

テレビで見ていた私も、サンタナが、ホームへ返球する気配さえ見せず、緩慢な動きで、ボールをゆっくりと二塁に返してしまった事が、どうしても理解出来なかった。

これは、怠慢守備と言われても仕方ないのではないだろうか?

ベンチで戦況を見守る高津監督も、渋い表情である。

サンタナは、せっかく先制ホームランを打ったものの、それを「帳消し」にしてしまうような、痛いミスであった。

 

 

 

 

 

 

このプレーについて、スローVTRが流れた際に、

テレビ中継で解説していた、元ヤクルト監督・真中満は、このように解説していた。

「宗のライト前ヒットを、サンタナが弾いてしまい、慌てて拾った後、状況が把握出来ていなかったんですね。サンタナがボールを拾い上げた時、二塁の山田が手を上げて、『こっちにボールを投げろ!』とアピールしていましたが、山田としては、サンタナが自分に返したボールを捕って、それをホームに投げるつもりだったのです」

つまり、二塁手・山田哲人や、内野陣は、既に福田が三塁を回り、ホームへと一気に帰って来る事を既に察知していたので、

サンタナが、山田にボールを返し、山田が中継して、山田が捕手・中村悠平に、送球するつもりであった。

「しかし、サンタナは、まさか福田が三塁を回って、ホームまで走るなんて、全然、思っていなかったのですね。だから、山田ではなく、二塁ベースへカバーに入った、ショートの西浦の方に、ボールを返してしまいました」

そう、つまりサンタナにとって、福田が三塁を回って、一気にホームに帰って来る事など、夢にも思っていなかった。

従って、サンタナは、福田が三塁で止まると思っていたので、ゆっくりとショートの西浦へボールを返した。

もし、サンタナが、福田がホームを狙っている事を察知していれば、急いで、山田の方へボールを投げた筈である。

 

 

 

 

 

 

 

福田は、ヤクルト守備陣の、一瞬の連携の乱れという隙を付いて、一挙にホームを陥れたというわけである。

「なるほど、サンタナの意識と、内野陣の意識にズレが生じてしまい、このプレーが生まれたのだな」

と、私は真中満の解説を聞いて、納得が行ったものである。

「福田が、ホームを狙っているから、俺にボールを投げろ!俺がキャッチャーに向かって、送球するから!!」

山田としては、そのつもりで、サンタナに向かって、手を上げてアピールしたのだが、

一瞬の出来事だったので、サンタナに対し、それが上手く伝わらなかったのである。

しかし、最も良くなかったのは、サンタナ「まさか、福田はホームまでは走らないだろう」と、完全に油断していた事ではないだろうか。

だが、グラウンドで、今まさにボールが動いている最中の、一瞬の内に的確に状況を把握するというのも、本当に難しいものである。

私は、「これが、野球の面白さであり、怖さなんだな」と、改めて思ったものであった。

ともあれ、このプレーによって、オリックスが1点を奪い、オリックスは1-1の同点に追い付いた。

 

<2021(令和3)年11月24日…「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第4戦⑤~6回裏2死1・2塁で、オスナが比嘉幹貴から勝ち越しタイムリー~ヤクルトが2-1と、再び1点リード>

 

 

 

 

 

 

 

オリックスが1-1の同点に追い付いた後の6回裏、オリックス・中嶋監督は、好投の山崎颯一郎に代えて、

投手を2番手・増井浩俊に交代させた。

しかし増井は、この回先頭の3番・山田哲人に、ボールカウント「3-2」(3ボール・2ストライク)から、四球を与えてしまい、山田の出塁を許した。

一番やってはいけない、先頭打者への四球に、ベンチの中嶋監督も、頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

 

6回裏無死1塁で、打席には4番・村上宗隆が入った。

ヤクルトにとっては絶好のチャンス、オリックスにとっては、重大なピンチである。

この場面で、村上は一塁へ火の出るような痛烈な打球を打ったが、

打球は一塁手・T-岡田の正面へのライナーとなってしまい、T-岡田が、この打球を直接捕球し、そのまま一塁を踏んで、あっという間にダブルプレーで、一瞬で2アウトとなった。

ヤクルトしては不運であり、オリックスとしてはラッキーであった。

 

 

 

 

 

 

これで、6回裏のヤクルトの攻撃は2アウト・ランナー無しとなったが、

その後も、マウンド上の増井は、今一つ、ピリっとせず、

増井は、5番・サンタナに四球を与えると、6番・中村悠平にもライト前ヒットを打たれた。

これで、ヤクルトは2死1・2塁と、再びチャンスを拡大させた。

 

 

 

 

 

ここで、中嶋監督は増井を諦め、3番手・比嘉幹貴に投手を交代させた。

比嘉は、これで日本シリーズ3試合目の登板である。

こうして、1-1の同点の6回裏2死1・2塁という重大な場面で、

マウンド上の比嘉と、打席に入った7番・オスナの対決を迎えた。

 

 

 

 

「比嘉幹貴VSオスナ」の対決は、ボールカウント「2-2」となった。

この試合の勝敗の行方を大きく左右する、重大局面に、

1球1球、東京ドームからは大歓声と、どよめきが起こった。

そして、東京ドームに詰めかけた両チームのファンと、全国でテレビ中継を見守っていた人達も、2人の対決を、固唾を飲んで見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この対決にも、遂に決着が着いた。

比嘉が外角に投じた変化球をオスナが捉え、オスナが放った打球は比嘉の足元を抜け、センター前に抜けるヒットとなったのである。

二塁ランナー・サンタナは、三塁を回り、一気にホームへと帰って来た。

オスナセンター前タイムリーヒットにより、ヤクルトは再び2-1と1点を勝ち越した。

 

 

 

 

 

 

6回裏、オスナ値千金の勝ち越しタイムリー安打が飛び出し、ヤクルトは2-1と1点のリードを奪ったが、

殊勲のタイムリーを放ったオスナと、ヤクルトのベンチの選手達は、共に喜び合っていた。

オスナは、仲が良い、チームメイトのサンタナのミスを取り返す一打を放ったが、

今年(2021年)のヤクルトは、例えばタイムリー安打を放った選手が、塁上でベンチに向かって、お決まりのポーズを取ると、ベンチもそれに呼応して、お互いに士気を高め合うという「儀式」を行なっているのであった。

これも、チームの一体感を高める、工夫なのであろう。

一方、せっかく同点に追い付いたのも束の間、オスナに痛恨の勝ち越しの一打を浴びてしまった比嘉幹貴は、ガックリとした表情を見せ、オリックス・中嶋監督も、落胆した様子に見えた。

こうして、「ヤクルトVSオリックス」の日本シリーズ第4戦の白熱の攻防は、ヤクルトが2-1と1点をリードし、試合は終盤戦へと向かって行く事となる。

 

(つづく)