【私のオススメ】NHK 土曜ドラマ『みかづき』第1話(4) | 頑張れ!法政野球部 ~法政大学野球部と東京六大学野球について語るブログ~

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法政大学野球部を中心として、東京六大学野球についての様々な事柄について、思いつくままに書いて行くブログです。
少々マニアックな事なども書くと思いますが、お暇な方は読んでやって下さい。

現在、NHK土曜ドラマとして放送中の『みかづき』(原作・森絵都は、

今週の土曜日(2/23)に最終回(第5話)を迎えるが、今、当ブログでは、その第1話について描いている。

前回は、家庭教師の仕事を持つ赤坂千明(永作博美)と、

千明の娘・蕗子(ふきこ)が通う、野瀬小学校の用務員にして、子供の教育に天才的な才能を発揮する大島吾郎(高橋一生)が出会い、

互いの教育観が一致し、意気投合するところまでを描いた。

 

 

それと同時に、吾郎の女癖の悪さも発覚し、

「何て破廉恥な奴!」と、千明は激怒したが、

この二人の運命的な出会いにより、物語は大きく動く出す事となる。

 

<赤坂千明の「本当の夢」とは…?>

 

 

 

帰宅した千明に対し、千明の母・頼子(風吹ジュン)は、

「千明の教えている子のお母さん達がみんな、子供の成績が上がったって、喜んでたわ」

と、千明の家庭教師の仕事の優秀さを誉めたが、それに対し、千明は首を振った。そして、

「私が教えている子達は、みんな、裕福な家庭の子供達で、元々、勉強が出来る子達よ。でも…私がやりたいのは、本当はそうじゃない」

と言った。

実は、千明には、もっと別な、大きな夢が有ったのである。

 

夜空に浮かぶみかづきを見て、ため息をついた千明の事を、

頼子は、ただ黙って見つめていた。

 

<「大島教室」の生徒のお母さん達にモテモテな、大島吾郎>

 

 

一方、大島吾郎は、朝、用務員室で寝ぼけ眼で歯を磨いていると、

そこへ、「大島教室」で教えている生徒のお母さん達が押しかけてきて、

「朝ご飯食べる?」だの、「髪、ボサボサだから直してあげる!」だのと、

何かと世話を焼いていた。

 

どうやら、大島吾郎という男は、女性が放っておけなくなるような魅力が有り、

生徒のお母さん達に大人気なのであった。

 

<頼子が千明に託した物とは!?>

 

 

 

あくる日の夜、頼子千明に対し、改まって話をした。

今まで書き落としていたが、千明はシングルマザーとして、家庭教師の仕事をしながら、蕗子を育てていたが、

実は、頼子もまたシングルマザーとして、千明を育て上げていたのである。

 

そんな千明に対し、これまで、頼子「貴方のお父さんは戦死した」と言っていたが、

実は、お父さんが戦死する前に、自分は家から追い出されたのだと打ち明けた。

 

驚く千明に対し、かつて女給だった頼子は、夫となる男に見初められ、玉の輿に乗ったのは良いものの、

夫が戦争に取られた後は、夫の親族達から徹底的にいびられていたというのである。

そして、最終的には、頼子は夫の家から追い出されてしまったのだが、

転んでもタダでは起きない頼子は、夫の親族から、手切れ金として、莫大なお金を受け取っていたのだ。

 

あまりにも意外な話と、目の前で大金を見せられた千明は仰天したが、

頼子は、千明に対して、

「今まで、一銭も使わずに取っておいたけど、そろそろ、機は熟したんじゃないかと思ってね。貴方に投資するわ。貴方には夢が有る。このお金で、思う存分、やってみなさい!持ってけ、ドロボー!!」

と、笑顔でそのお金を全て渡してしまった。

「お母さん…」

千明は、感激の表情で、そのお金を抱きしめていた。

 

<千明、強行手段で吾郎を学校から追い出す!!そして…>

 

 

 

 

それから幾日か経った後、吾郎が野瀬小学校で、用務員の仕事をしていると、

そこへ、あの千明が現れた。

千明は、とびきりお洒落な、青い服を着ていた。

そして、千明吾郎に対し、顎をしゃくって、校長の所へ行けと示した。

 

 

 

 

 

吾郎が、校長の元へ行ってみると、校長は、誰かから来たという密告文を持っていた。

吾郎がそれを読んでみると、そこには、こう書かれていた。

「この学校の用務員・大島吾郎は、生徒の保護者達と、不適切な関係になっている。そのような破廉恥な人物は、聖なる学び舎には、相応しくない…」

吾郎は、ハッとして、千明が居た方を振り返ったが、既に千明は立ち去っていた。

 

「この話は、本当なのかね!?」

校長に詰め寄られた吾郎は、事実であると認め、「申し訳ございません!」と謝罪したが、

校長は「何て事をしてくれたんだ!これが教育委員会に知られて、大事(おおごと)になる前に、荷物をまとめて、とっとと出て行ってくれ!」と、吾郎をクビにする事を、即座に言い渡した。

 

 

 

吾郎は、荷物をまとめ、ガックリと肩を落としながら、学校を去ろうとしたが、

その去り際に、あの平太君が、無邪気に「吾郎さん、また100点取ったよ!吾郎さん、また相撲取ろうよ!」と、吾郎に声を掛けて来た。

吾郎は、「それは、平太が頑張ったからだよ…。平太、ごめんな。もう勉強教えたり、相撲取ったりは出来なくなった」と、涙ながらに謝った。

そして、追い掛けて来る平太君を振り切るように、その場を走り去ったのであった。

 

 

そして、全てを失い、悄然として歩いている吾郎の前に、あの千明の姿が見えた。

千明は、吾郎を待っていたようである。

 

<千明、吾郎に逆プロポーズで、塾の立ち上げを迫る!!>

 

 

 

 

 

わけがわからないまま、吾郎千明に導かれるまま、とある空き家へと入って行った。

そこには「貸家」という張り紙がしてあった。

そして、千明「大島さん…いえ、吾郎さんと呼ばせて下さい。私は、ここに塾を開こうと思ってます」と、切り出した。

吾郎「あの…」と言いかけたが、千明「あ、千明で構いません」と言い、何か言いかけた吾郎の話を遮った。

 

「じゃあ、千明さん、校長に密告文を…」

そう言いかけた吾郎の話を、千明はまたもや遮り、

「私は、塾を開くのが、夢なんです。ここに、塾を開こうと思ってます。吾郎さん、どうか、私の道連れになって下さい!」

と、吾郎に迫った。

「あの…塾って何ですか?」

そもそも、塾というのが、何の事かわからず、そう訊ねた吾郎に対し、千明は、

「塾とは、勉強をする所です。今に、子供達が皆、塾を求める時代がやって来ます!」

と、言い切った。

「そんなアホな…」と呟いた吾郎に、千明「アホかどうか、一緒にやってみませんか!?」と、更に迫った。

「何をですか?」

「塾ですよ!」

どうやら、千明は本気のようだ。

吾郎は、咄嗟に身の危険を感じ、「あー…」と言いながら、何とかその場を逃れようとした。

 

 

 

すると、千明「逃してなるものか」とばかりに、吾郎にキスをした。

吾郎は、「校長に、密告文を…」と言いかけたが、千明吾郎の口を、またもや自らの口で塞ぎ、

「一緒に、塾をやりましょう」

と、再度、ダメ押しをした。

そして、千明は強引に、吾郎をその場に押し倒してしまったのであった。

 

<千明が語る「みかづき」とは?>

 

 

 

 

「吾郎さん、見て」

その夜、千明吾郎に、空に浮かぶみかづきを指し示した。

「私ね、学校教育が太陽だとしたら、塾は、みかづきのようなものだと思うの。太陽の光を充分に吸収出来ない子供達を、暗がりの中、静かに照らす月…」

千明は、自分が塾を開くのは、学校教育では充分に勉強がわからない子供達を救いたいからだと、自らの思いを吾郎に語ったのである。

 

「でも、僕には何も無い。貴方は自信に満ち溢れている。僕にはお金も無ければ、貴方のような自信も無い。そんな僕が、貴方の助けになるんだろうか」

吾郎は、正直に自分の気持ちを打ち明けたが、千明は、

「大丈夫。貴方は、私に無いものを持っている。だから、私は貴方に惚れたのよ」

千明は、そう言って照れ笑いを浮かべた。それを聞いた吾郎は、

「そういう事か…」と言った。

「そういう事かって…。そういう事だから、こういう事になってるんでしょ」

そう言った千明の頭を吾郎が撫で、千明もまた、吾郎の頭を撫でた。

こうして、千明吾郎は、本当の意味でお互いの気持ちを確かめ合い、心が通じ合ったのであった。

 

<千明と吾郎が結婚!遂に「八千代塾」を立ち上げる!!>

 

 

 

 

 

 

 

翌1962(昭和37)年、千明吾郎は結婚し、

遂に、千明念願だった学習塾を旗揚げした。

「八千代塾」

と名付けられた学習塾は、教育熱心な母親達の心を忽ち掴み、

「八千代塾」は、旗揚げ早々、大繁盛となっていた。

 

教室は、子供達で溢れ返っていたが、吾郎千明が子供達を教え、

頼子は、裏方として塾を支えた。

忙しい日々は続いたが、自らの夢を叶えた千明と、天性の教師・吾郎の顔は、幸せそうに輝いていた。

 

 

 

「この時、吾郎は千明に教えられた。自信なんか無くたって、そんなもん、どうにかなる!まずは、一歩、踏み出してみる事だ」

祖父の吾郎が書いた『みかづき』という回想録を読んでいた、孫の一郎(工藤阿須加)は、その言葉を何度も反芻した。

そして、一郎はアルバイト先で知り合った、あの美鈴という女の子に勉強を教え、

美鈴が、見事に正解を導き出した時、一緒になって大喜びしたのだった。

 

<順風満帆に見えた「八千代塾」に、忍び寄る影…>

 

 

 

 

 

 

 

1964(昭和39)年、吾郎千明の夫妻の間に、次女のも生まれ、

「八千代塾」も順調に発展していたが、そんな中、急成長する学習塾に対し、

風当りもまた、強くなっていた。

 

「塾は悪徳商売」だと、マスコミに叩かれ、

長女の蕗子は、ノートに「じゅく子」と落書きされるなど、

月が輝きを増せば、それを曇らす影もまた、強くなって行ったのである。

 

(第1話・終。第2話につづく)

 

…以上が、『みかづき』第1話の内容であるが、テンポが良く、登場人物達も魅力的で、本当に惹き込まれてしまった。

今回書いた、千明と吾郎の心が通じ合った場面は、本当に素晴らしい、素敵な名場面であった。

それもこれも、永作博美高橋一生の二人の名演の為せる業であろう。