スタッフのSORAです

 

前回に引き続き「がんだけど、素敵な話」について、紹介させて頂きます。

 

【合せて読みたい!】

■【前々回の記事】がんだけど、素敵な話①


■【前回の記事】がんだけど、素敵な話②

 


本記事での本書とは「がんだけど、素敵な話」となります


 

  「執着」からのドレナージ

 

 患者例

患者さん画像 名前 Nさん(50)
性別 女性
診断

・子宮筋腫の手術後に悪性所見

・両下肢にリンパ浮腫

治療 ・子宮筋腫手術
【悪性所見後】
・子宮/卵巣/大網切除術

 

Nさんは看護師であり、医療施設の少ない町のクリニックに勤務しています

病気の為に一時期休職していましたが、復職しました

 


 

 復職後、辛い現実に直面する

 

看護師であるNさんは立ち仕事が多いことから、

復職後は両下肢のリンパ浮腫の辛さに苦しみました。

 

それに追い打ちをかけるように、職場の辛い現実と向き合うこととなりました。

その時の心境をNさんは、以下のように述べております。

 

「以前の自分自身との比較が始まります。前はこんなこと普通にできた。こんなミスしなかった。記録が書けない。文章が浮かばない。落ちだらけ。あー、私みんなのお荷物だ……。『前の私に戻りたい……。笑顔でサクサクと仕事していたあの頃に』。みんながテキパキと働く姿を、私だけが取り残されて鏡の向こうから見ている、そんな感覚でした。仕事に戻ればいつもの日常、今までの自分が取り戻せる、と思ったのは大間違いでした。日常は残酷なまでに私を打ちのめしました。元気で働いているみんながうらやましい!」

(引用:本書P124)

(前出・抜粋:『がんサバイバーの現役看護師がDr・保坂に吠える!余命なんか聞きたくない』)

 


 

 保坂院長の診断

 

保坂院長によると、この時のNさんは「抑うつ状態」であったと述べております。

 

抑うつ状態とは?

「適応障害」の一類型であり、「うつ病」とは異なる

抗うつ薬のような薬はないが、考え方の修正などの認知療法が有効とされている

 

保坂院長はNさんに対して以下の助言を行いました。

「上司からの理解も得られない職場は辞めて、リンパ浮腫で困っている人に対して、予防的・治療的にリンパドレナージのできる看護師を目指したらどうか?」

(引用:本書P125)

 

しかし、Nさんはすぐには聞き入れませんでした。

 


 

 何かを手放すと何かがやってくる

 

数か月後、Nさんは仕事を辞める決心をしました。

しかし、Nさんが住んでいる町には自分が働いてもいいやと思える医療施設がなかったことから、引っ越しまで決意していました。

 

このことを、20歳くらい若返ったような笑顔で保坂院長に報告していました。

 

保坂院長によると、Nさんは仕事に「執着」があり、それを断ち切ったからこそドレナージ(1)されて、次の職場へ目を向けることができたと述べております。

 


 

  感想

 

本記事では、Nさんのドレナージにより、生活環境が改善されたことを注目させて頂きましたが、『がんと就労』・『がんと抑うつ』の重要な事例でもあったと思います。

 

私自身も物事に『執着』してしまい、なかなか『ドレナージ』できない性格であることから、一歩踏み出せない時は、Nさんのことを思い出したいと思います。

 


 

  脚注

 

  1. ^ドレナージ・・・体内に貯留した不要な物質を体外へ排出する治療方法のこと

 


 

  書籍情報

 

がんだけど、素敵な話
【著者】
 保坂 隆
【発売日】
2019年12月24日
【購入サイト】
Amazon

 


 

 目次

 

目次を開く

 

第1章 ステージ4編

第2章 夫婦編

第3章 家族編

第4章 メンタル編

第5章 仕事編

第6章 「こうして生きていく」編

 


 

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