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ベルギー式配列ボタン・アコーディオン奏者

今日は古くからの友人が企画制作を担当する、このコンサートに行って来ました。

http://www.taitocity.net/taito/zaidan/news/news20110701.html



「世界の車窓から」のテーマソングなどで有名なチェロの溝口肇氏と、アコーディオンの桑山哲也氏という組み合わせでした。


(アコーディオン??タンゴっぽいものはちょっと苦手だしなぁ…)←心の声。


普段は“ゴリゴリの”Jazzかクラッシックしか聴かないですし、やや軽い気持ちで上野に。

会場の旧東京音楽学校(東京芸大)奏楽堂という歴史的建造物にも興味あり。



しかし終わって自分の無知を反省。


全ての演奏に深く感動し、余韻をかみしめながら帰ってきました。


溝口チェロの馥郁たる調べには、耳を傾けているうちにいつの間にか泣かされていました。


もちろん大変な技量なのだと思いますが、うまいだけではこのような心にしみる音は出ないのでしょうね。お人柄の深さを感じました。



しかし、驚いたのはこの桑山哲也と言う人! → http://kuwayamatetsuya.net/  

このアコーディオンは相当なものでした。
この人凄い人です!


日本で唯一の「ベルギー式配列ボタン・アコーディオン奏者」だそうですが。。。

変な芸人、いや本物の芸術家でした。


話術もかなりのもので、そこらへんの芸人が尻尾を巻いて逃げるレベルですね。

高い技術と音楽性を基盤とした演奏に舌を巻いたのはもちろん、


ステージは楽しさとともに、その先にある奥行きの深さを感じさせます。



終了後の会場に女優の藤田朋子さんが!

小柄でものすごく可愛らしい人です♪

どうも桑山さんの奥さんのようですね。う~ん。


ステージ上の溝口桑山コンビは、とても心が通っており、尊敬し合っている様子で素敵でした。


チェロらしいマチュアーな雰囲気と、アコーディオンらしい芸人風人柄(?)のコラボは、トークでも演奏でも“絶妙”なハーモニーを醸していました。


ギターの伊丹雅博さんは相当な名手でしたね。今日はバッキングに徹していましたが、随所に非凡な煌めきを感じました。

また、ピアノの紺野紗衣さんと言う人の演奏も、行き届いた「伴奏」とか「サポート」というレベルを超えて、最高の音楽的バランスを提供する優れモノでしたね。

とても美しい人でもありました。


ともかくも大満足の演奏会でした。


誘ってくれた友人に心から感謝です。










「巻き込み」仕事術


CBC代表取締役 堀太郎のブログ

~ユニクロで学んだ「巻き込み仕事術」ダイヤモンド社~

http://amazon.jp/dp/4478013977/

親しくしている田中雅子さんが、こんな本を出版されました。

早速読んで、Amazonのカスタマレビューに書いたものを転載します。


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これはかなり面白かった!! 


ここには、時には「ベタ」と感じるほど、とても具体的で普通と思われることが書いてあります。しかし、そのシンプルな言葉に“響き”がある。それは、著者の姿勢に観念的な遊びがなく、柳井さんという傑出した経営者と切り結んだ、具体的な「汗」の量が感じられるからなのかもしれません。




一読して真っ先に感じたのは「意外性」です。

ユニクロの近年の成功から、なんとなく、この会社は「本来的にイノベーティブな企業」なのだという、我々の思い込みがありますね。


しかし、それは誤解であることが、この本で気付かされるのです。

例えば、ユニクロに、著者がダイバーシティを導入した際の岩盤は相当に固く、そこを突破した彼女の“戦い”は、なかなか執拗かつ巧妙であり、エキサイティングです。



ユニクロってけっこう男性社会であり、保守的な部分が強いんですね。ここで「巻き込み」の説得力がぐっと力を増します。


ユニクロでさえも。。。と思いつつ読み進んで思いました。



やはりどんな組織でも、思いの強い「一人」が周囲を「巻き込み」ながら、動き、語り、汗かいて挑戦してこそ変革が成し遂げられていくんだな、ということを。




そう思うと、ここで言われている「中心管理職」の「中心」という言葉の大切さが迫ってきます。日本型大企業のピラミッド型マネジメントスタイルの中で、「中間管理職」というものが存在しえた牧歌的な時代はすでに終わりました。



以前読んだドラッカーの「プロフェッショナルの条件」に次のような言葉があったのを思い出しました。(記憶なのでやや不正確ですが)


「プロフェッショナルに年齢や役職は関係ない。成果と貢献に責任を持つ者がプロフェッショナルである。成果と貢献に責任を持つ者はたとえ新入社員であってもプロフェッショナルなのである」と。ドラッカーの中では、すでにピラミッドは存在していないんですね。




この「プロフェッショナル」の考え方と、著者の「私が円の中心になって周りを巻き込んでいく」という意識の共通項に、マネジメント視点のみならず、新しい時代の仕事のヒントがたくさん詰まっているのではないかな?と思っています。


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しかしぼくの文章って、他の方のレビューと比べるとわかりにくいですね。。。

ハービー・ハンコック “The Imagine Project”



このYoutubeは“The Imagine Project”の、Céu Indicaとハービー・ハンコックとのコラボレーションです。
ここでのハービーのソロはまさに絶品!
炸裂するハービー節。。。それを見つめ、アイコンタクトするCéuの目線が色っぽい・・・。

このブログでもちょっと前に一度、“The Imagine Project”を紹介しました。
その時は「いいな」と思った程度で、軽い感じで載せておいたのですね。

しかし今日、このアルバムをちゃんと聴いて、心底「参りました」状態になっています。

現代Jazzの世界で最も有名なピアニスト、かつプロデューサーとしても大成功しているハービー。
(最近のグラミーでも、“The Joni Letters”で、Jazzでは43年ぶりの最優秀アルバム賞や、本作で今年2部門を獲っている)

マイルスグループ時代含め、ぼくが最も好きなピアニストであることは間違いありません。
非凡なハーモニー感はもちろん、タイミングのセンスはもう“魔術”と言えます。
ピアノ“一音”の音色はシックで最も好き。

別格的なエヴァンスはもちろん、チックもキースも好きですが、「生まれ変わったらJazzピアニストになりたい」と、学生時代のぼくに思わせたのはハービーのピアノでした。

“Maiden Voyage”における“Little One”のピアニズムは、ぼくの中でピアノJazzの極めつけです。

マイルス学校でモードJazzを極めて、その後もずっと立ち止まることなく変化し、前進し続けてきた彼。
“ヘッドハンターズ”はファンクによるJazzの革命なんだけど、ここでのハービーのフェンダーワークの美しさって半端じゃない!これが38年前の音楽なの!?!?いつ聴いても新しい。

“フュチャー・ショック”は、DJスクラッチという新しいコンセプトを、音楽シーンの表舞台に出した初めての試みであり、ロック少年がJazzに来る入口になりましたね。

また、近年のグラミーでもそうですが、彼のコラボレーション能力は超一流。
あらゆるジャンルと融合的に音楽を作り上げます。
Jazzの伝統に拘るウイントン・マルサリスとは対極ですね。

その後、映画“ラウンド・ミッドナイト”でアカデミー作曲賞を受賞。
輝かしいばかりのキャリアです。

でもぼくは、彼が「Jazzの歴史の中で本当に“偉大”なのか?」と問われると、僅かに保留する部分があったのですね。

パーカー、マイルス、コルトレーン、エヴァンス、その後のJazzシーンで、本当に偉大と思われるのは、ぼくはウェイン・ショーターしかいないと思っていました。

ハービーの盟友であり、同じくマイルスの弟子であるウェインの音楽の深さや神秘性からすると、一歩及ばないというか…少しビジネスが上手すぎるのか?
などと、一末の疑問を持っている部分があったんですね。
事実13、4年前だと思いますが、何と「日経産業新聞」に彼のインタビューが載っていたことがありました。

ぼくにとってWayne Shorterは絶対的な“神”なので、こんな評価になっちゃたのかも知れませんが。。。

実は少し前に、今年のグラミーで2部門を受賞した後に、この“The Imagine Project”を買って置いてあったんですが、正直あまり聴いていなかったんですね。  

しかし、今日これを聴いてハービーに謝りたいと思います。
これはもの凄い音楽でした。

「ただの音楽ではない」とすら思いました。

確かにグラミーを獲るのは、ビジネス的には大きな成功だと思いますが、それは結果なんですね。
人や音楽に対する本当の愛が無ければ、ここで起こったことは不可能であると感じました。

本作は7カ国言語に渡る、多様なミュージシャンとコラボレーションしたPJTであり、ジャンルのダイバーシティにチャレンジしたアルバムでもあります。

この作品中、ハービーのピアノは実に「ハービーらしい音」を奏でています。

ぼくはこのピアノを聴いて、ハービーのピアノが“さらにうまくなっている”と感じたのです。
うまい、っていうのはいい表現じゃないけど、何というか、より“色っぽく”なっているというのかな?

彼はもう71歳(!)のはずですが、若い頃より色鮮やかに、より瑞々しく、より艶やかな音を出しているのだから信じられませんね。

そして、どの演奏も、あらゆるジャンルの音楽に“完全に融合”しているんです。
これは実に美しく深く、見事なばかりの融合です。


ハービーのピアノは、指回りという点では超絶的テクニックはありません。手もやや小さく見えます。
だからピアノトリオには向きませんね。
その意味ではチックの方が相当うまいですから。

でも、音の深みと、“他者”とのコラボレーションの妙が、並はずれて素晴らしいのですね。

人生を深めるために最も重要なことは、“自己”を知ることだと思います。
しかしそこには、“他者”の発見なくして“自己”はあり得ないという逆説が横たわっています。

この“The Imagine Project”は、「“他者”との出会いのPJT」と定義できるかもしれません。

本作のメイキング映像が映画になっているらしいのですが、これはぜひ観たいと思っています。

しかし、5月13日にBillboard東京でライブがあったとは。。。