英国:電気自動車は、新しい充電制限により、多くの英国人にとって無用の長物となる可能性があります
2021年10月14日(木) 作成者:Cassie B.

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英国では、ピーク時に家庭用電気自動車(EV)の充電器を停止する法律が提案されており、電気自動車を所有することの意味が大きく損なわれる可能性があります。

 

 

この新しい法律は、送電網に過度の負担が掛らない様にする事を目的としていますが、グラント・シャップス運輸相が言う様に、家庭や職場で命をつなぐ充電器が「1日に最大9時間」も機能しない可能性があるとしたら、電気自動車を所有する意味があるのか疑問に思います。

 

 

この法律が施行される2022年5月30日には、家庭に設置される全ての充電器は、インターネットに接続されたスマート充電器でなければならず、朝の8時~11時迄と夕方の16時~22時迄の間に機能を制限できるようになっています。

 

1日9時間の停止時間に加えて、当局はグリッドスパイクを避けるために、特定の地域の個々の充電器に30分程度の「ランダムな遅延」を課す権限を持ちます。但し、公共の充電器は、この法律の対象外となります。

RACによると、3.6kWルノー・ゾーイのような車の充電には最大で7時間掛る為、充電ができない9時間、場合によってはそれ以上の時間を考慮して、車の充電を確実に行う為には、時間を慎重に計画する必要があります。

 

 

政府は、2030年までに1,400万台の電気自動車が英国の道路を走行すると予測されていることを挙げ、その多くがピーク時に家庭用充電器に接続され、人々が仕事から帰宅して車を接続する事で送電網に「過度の負担」が掛るとしています。

この法案は、ドライバーが夜間のオフピーク時に車を充電することを促進すると言っていますが、日中に何処かに行かなければならない人がどうやって車に電力を供給するのか説明できません。

 

 

詰り、イギリスで電気自動車を購入すると、政府が言った時にしか充電できない車になってしまうのです。

 

これがどこに向かうのか考えると怖いですね。

 

例えば、このスマートチャージャーを使って、ワクチン未接種者が車を充電して家を出るのを何らかの方法で阻止する事ができるのではないでしょうか?

 

数年前には、このアイデアは馬鹿げていると思われたかもしれませんが、最近の状況を考えると、それ程遠い話ではないと思います。



電気自動車の流入に対応できない英国の送電網

 

残念ながら、英国ではガソリン車とディーゼル車の新車販売が2030年まで前倒しで禁止されている為、殆どの人は選択の余地がありません。

 

中古車の販売は可能ですが、期限が迫っている事から、多くの英国人は電気自動車への切り替えを検討しています。

しかし、国内の充電インフラ電気自動車に対応しているか否かが疑問視されています。

 

ナショナル・グリッドによると、イングランドとウェールズに住む人々の40%は路上駐車ができない為、電気自動車の充電は困難であり、公共の歩道にケーブルを敷設する必要があるかもしれません。

ドイツのIFO研究所が行った生態学的評価によると、電気自動車の製造方法や、充電の為にグリッドから供給されるエネルギー量を考慮すると、電気自動車はディーゼル車よりも二酸化炭素排出量が少ない事が判っています。

 

電気自動車のバッテリーを製造する為のコバルト、マンガン、リチウムの抽出には膨大なエネルギーが必要であり、最終的にディーゼルエンジンよりも28%多くの汚染を引き起こすと計算されています。