作家の井上靖氏は

自伝的小説の中で

小学生時代、野山を駆け回る少年だったと記している。

一方、息子の修一さんが叔父から聞いた話によると

井上氏は座っていた畳がへこむほどの勉強家だったと。

修一さん曰く

父の井上氏は

「才能に恵まれて後に小説家になったのではなく

 才能はあったかもしれないが

 子供の頃からずっと勉強を続けた末

 幸運に恵まれて世に出たのである」と。

勉強し続けるということ自体

氏の才能の一つだったにちがいない。

才能は…

人生において、どう花開き、実を結ぶか分からない。

ゆえに…

一時の成功や失敗をもって

才能の有無を言うのは浅はかだろう。

大切なのは…

誰でも才能が芽吹き成長する可能性の大地を

自分の中に持っているということだ。

私たちは人生で様々な困難に出あう。

が…

それを乗り越えるたびに

きっと何かの才能を鍛え

生かしているのだと思う。

挫けず前を向いて進む限り

才能は必ず磨かれる。

「どんな運命も価値に転換していく人」――。

それが…

人間としての勝利者であり、王者であろう」

何があっても

それを前進の糧にできる

“負けない”という才能の根っこを育んでいきたい。


フランス料理で

「パルマンティエ風」といえば

ジャガイモ添えの意。

「パルマンティエ」は

18~19世紀に活躍した農学者の名前。

彼は…

いささかユニークな方法で

フランスにジャガイモを普及させた。

イモを植えた土地を、わざと柵で囲い

昼間はものものしい警備の兵に守らせる。

そして…

夜間は警備の手を抜く。

“うまいものにちがいない”

と思った人々が自由に“持ち去る”ことができるように……。

こうして…

実際に食べた人から

その評判が広がっていったらしい。

ジャガイモは

見た目の悪さから奇病の原因と噂されたりした。

そんな偏見や迷信を打ち破り

世界各地に広まった原動力は

食べた人の実体験と

飢饉や戦争の際に民衆を飢えから救った

“事実”にほかならない

これから学ぶことは

やはり…

“実証”こそ、万人を納得させゆく

唯一の方法である。

良識豊かな振る舞い

誠実な仕事ぶり

勝利の結果……。

その勝利の結果とは

「眼前の証拠」を築く以外には

ないのではないだろうか。

障害者雇用に積極的に取り組む

草分け的な企業が

テレビで紹介されていた。

全従業員74人のうち54人を知的障害者が占める。

勤続50年を迎える婦人の笑顔が、とても印象的だった。

誰もが仕事に誇りを持ち、輝いている。

なぜ、こんなに仕事に熱心なのか。

同社の会長はある日、その答えに気がついた。

“幸せ”を感じるために必要なのは

「人に褒められる」

「人の役に立つ」

そして…

「人に必要とされる」こと――。

いずれも、「働く」ことで自ら得られる喜びだった。

キューバ共和国の“精神の父”ホセ・マルティは

「人の役に立つ喜びにまさる喜びを、私は知らない」

と述べている。

自分のための幸せだけではない。

“人の役に立つ”ことから得られる“幸せ”が大切なんだろう。

他人や社会とのかかわりの中で

今の自分にできることは何か。

その何かに挑戦してみる。

それは…

何倍にも輝きを増して

自分に戻ってくるはずだ。

“人に必要とされる人”とは

そういった小さな努力を

繰り返し、積み重ねていく人のことを

言うのではないだろうか。

人のため、社会のため、未来のために

祈り、歩き、人と会い、人と語る。

そこにこそ

自分の心の中に

「歓喜の中の大歓喜」

が生まれるのではないだろうか。