外注先への支払明細書の交付事務を50%削減! | 中小企業の経営参謀「税理士星川」の戦略、税制、法務、海外展開のお役立ちブログ

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HOPラボの業務カイゼン日記~外注先への支払明細書~

 

「作業効率50%以上削減、切手代も50%削減」

 

先日、ある会社さんと新規の顧問契約をするに当たり、

業務の内容と経理事務のフローについてヒアリングをしました。

 

A社長:

外注さんへの支払いは、うちが各外注さんのひと月の稼働を集計して、支払明細書を作成して、

翌月末に振込みます。この支払明細書の「戻り」が悪いんですよ。あはは。

星川:

「戻り」って何ですか?

A社長:

あ~、以前税務調査を受けた際に、調査官に言われたのですが、

「支払明細書は2部作成して、一部は、外注先に渡す用に、もう一部は、外注先のサインを受けて

会社の保管用にしなさい。そうしないと*消費税の計算上控除を認めないって。

この外注先からの戻りがなかなか集まらないのです。

*消費税は売上に係る消費税額から、仕入れなどの経費に係る消費税額を控除することで

 納税額を算出します。この仕入に係る消費税額を控除する場面を意図しています。

星川:

なるほど。それは大変ですね~。こうしたらいかがですか?

 

【カイゼン案】

支払明細書の末尾に、

「記載内容に誤りがあった場合には、当該書面の交付後5日以内に通知して下さい。

当該期間が経過した場合には、当該書面の記載内容は確認されたものとみなします。」

という記載をし、先方からの返信は求めないという方法。

 

【解説】

消費税法は、消費税の仕入税額控除を認めるための条件として、原則として、

その仕入(経費の支払いのこと)の事実を証明する請求書等の保管を義務付けています。

この請求書等とは、

1)先方から交付される請求書、納品書その他これらに類する書類

2)仕入をする者が作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類

当該書類に記載されている事項につき、当該課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。

と規定されています。(消費税法30条9項)

 

ポイントは、この「課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る」とされている点です。

今回の事例では、A社長は、外注先には、自社で支払明細書を作成して

支払いをしているということで、上記2)のパターンに該当します。

そこで過去に税務調査官が、「相手方の確認を受けた」事実が分かるように、

先方の確認のサインを求めたということでしょう。さもないと、仕入税額控除を認めないぞと。

 

この「相手方の確認」については、国税の通達があり、

課税仕入れの相手方の確認を受けたもの」とは、

保存する仕入明細書等に課税仕入れの相手方の確認の事実が

明らかにされているもののほか、例えば、次のものがこれに該当する。

(1) 仕入明細書等への記載内容を通信回線等を通じて課税仕入れの相手方の端末機に出力し、

確認の通信を受けた上で自己の端末機から出力したもの

→システム上で解決する方法

(2) 仕入明細書等の写し等を課税仕入れの相手方に交付した後、

一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする

基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たもの

 →基本契約等で「確認」の前提を定めておく方法

とされています。

そこで、私は、上記(2)からヒントを得て、支払明細書に基本契約と同様の条項を明記して、

運用することを提案しました。

(各外注さんに趣旨を説明し、事前にこの条件について同意を得て、運用を変更して頂くことをアドバイス)

 

このカイゼン案で、外注先からの返信を求める必要がなくなり、作業効率は50%以上削減。

さらに、返信用封筒と切手代が不要になり、経費も50%削減です。

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