相続税「隠れ増税」が直撃 | 中小企業の経営参謀「税理士星川」の戦略、税制、法務、海外展開のお役立ちブログ

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10月6日(土)の日経朝刊に『相続税「隠れ増税」が直撃』と
いうタイトルの記事が掲載されました。

相続税の大改正は、ここ数年の話題ですが、
未だ具体的な増税時期は決まっていません。
そういう意味で、記事は「隠れ増税」という表現を
使っています。

「隠れ増税」の内容とは・・・2010年4月に改正された
「小規模宅地等の特例」です。

この特例、簡単にいうと、被相続人が生前に居住用に利用していた
家屋の敷地については、課税を軽減しますよという制度。
従来は、例えば、
①被相続人の配偶者が引き続きその家屋に居住し
②相続により配偶者の他、子供らがその敷地を相続により共有
③ところが、子供はすでに自分の家庭を築いており持ち家に別居

こんなケースであっても、共有者たる子供の相続分についても
課税の軽減が認められていました。
しかし、2010年4月の改正は、このように子供が別途家庭を
築き、その被相続人の家に住まない場合には、課税の軽減は
認めませんと、このようにルールを変えました。
共有者というだけでは駄目だということですね。

国税庁は、2010年の全国の相続税の課税割合をとりまとめ、
平均で4.2%と発表したようです。これは前年の横ばい、
一般に言われるように「4%が相続税の課税対象」という
従来の説明の通りです。一概に増税とは言えないですね。

ところが・・・

記事は、2010年は地価が下がった年で、「本来なら課税割合は
下がったはず。課税割合が横ばいにとどまったのは、小規模宅地
特例の適用の厳格化の影響」ではないか?という資産税に強い
朝日税理士法人の小林先生のコメントを引用しています。
都市部ではじわりじわりと増税が始まっているという分析です。

この小規模宅地等の特例、まだ被相続人の配偶者が相続する
パターンは、課税の軽減を受けることができます。
本当の問題は、2次相続、つまりその配偶者からさらに
子供らが相続する時の課税でしょう。
将来的に課税割合を増大させる、そんな改正がすでに行われている
のです。

「都市部に不動産を持つ家庭」、資産家という水準ではなく
普通の家庭にも相続税課税の陰は迫っています。
小規模宅地等の特例が使えるかどうか、これは相続税がかかるか否かを
大きく左右します。
秋から始まる税制改正論議を注視すると共に、当該特例の条件を今一度
確認して頂きたいです。

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