カエサル『ガリア戦記』 | ホーストダンスのブログ

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カエサルの『ガリア戦記』を読みました。

ローマ軍を率いてガリア地方(フランス)を平定した戦いに関する記録文書で、もともとはカエサルが戦況をローマの元老院に報告するために記した文書がベースになっているとのことです。

このような自らの戦果を誇る記録文書の場合、自分のしたことは一人称で語るのが普通だと感じますが、いわば上司への報告という体裁をとっているためか、自ら行ったことについても「カエサルは、・・・」という文章で記されており、そのことがこの書物自体が歴史文書としての客観性や真実性を備えているように感じさせる理由になっているように感じます。


できるだけ事実を客観的に記そうとはしたのでしょうが、当然ながらそこにはある程度の誇張が含まれているようで、例えば敵の兵力などは実際の数よりかなり水増しして記録されているようです。

また、自軍の奮闘ぶりに関する記述などもある程度は割り引いて受け止めた方が良さそうです。


それにしても、ローマ軍によるガリア遠征についての記録文書としてはかなり秀れたものであり、軍人としてだけでなく、歴史家・文筆家としてのカエサルの才能を世に知らしめた傑作古典の一つであることは間違いありません。

また、史実の記録の合間にところどころ用兵に当たっての心構えや人生訓的な記述が含まれており、兵法書的な読み方も可能な書物となっています。


ガリア遠征によって絶大な権力を握るようになったカエサルは、その後ポンペイウスと元老院派との争いに勝利した後、エジプト平定まで果たし、終身独裁官に就任して栄華の極みに達しますが、そこで暗殺され突然の死を迎えます。

カエサルのその後の栄光と悲劇に思いを致しながら、まさに出世街道を驀進するカエサルの奮闘録を堪能しました。